第11話 泣き虫
「私は悪くないから!」
と捨て台詞を吐いてマーブルは去ってしまった
俺は泣きじゃくるランを連れて宿へと入る
宿に到着しでランはずっと泣きじゃくっている
顔をタオルでゴシゴシ拭いてやってからベッドに寝かせた
泣き疲れたのか、ランはすぐに眠りについた
俺も疲れたので、すぐに眠りについた
次の日になり、俺はランの部屋にランを迎えに行った
「おはよう。ラン。」
「おはよう…」
少し泣き腫らした目でランは答えた
思えばランは俺と旅をしてからほぼ毎日泣いている気がする
魔物化して、失恋したから泣きたくなる気持ちはわかるがあまりにも涙腺が緩すぎる
クーデルの話もすぐに泣くし
少し恥ずかしい服を着せただけで泣くし
この前なんて犬に吠えられただけで泣いていた
一緒に学校に通っていた時はランのことをクールビューティー系だと思っていたのに
人は見た目によらないものだな
「ランって泣き虫だよな。そんなに豆腐メンタルで、すぐに泣く女はめんどくさがられて嫌われるぞ。俺は懐が深いから許せるけどな。」
「だって…勝手に涙が出るんだもん…」
「女の涙は武器だというけれど、ランの涙は毎日出てるから何の価値もなくなっているぞ。メンヘラはよくないぞ。」
「うるさーーーーーーい!!!失恋して魔物化した辛さがカイトにはわからないからそんなことを言えるんだ!!」
「失恋の辛さは俺達一緒だろう?俺は泣いたことなんてないぞ。」
「魔物化してないくせに!」
「誤差の範囲だよ。」
「全然違う!!」
「とにかくすぐに泣くのやめなー?誰にも相手にされなくなっちゃうよ。」
「別に慰めて欲しかったり、相手にされたくて泣いてるわけじゃないから。」
「それでも周りの空気悪くするからな?わかってるか?昨日もランが泣いたからマーブルは逃げるように去ってしまったからな?」
「うるさい!このモラハラ男!!」
「モ…モラハラ男!?」
「ねちねちねち小言の説教うるさい!!」
「逆ギレじゃないか。」
「力を持つ者は傲慢で我儘で嫌だわ。」
「ランのことだろう?」
「お互い様よ。」
俺達がいつものように喧嘩をしていると
コンコンと扉がノックされた
「どうぞ。」
と俺が返事をすると
「失礼する。」
と屈強な男が入ってきた
「何か用か?」
と男に尋ねる
「ここに魔物がいると聞いた。」
「うん。いるよ。とってもチャーミングで可愛い無害の魔物だよ。」
「…ランさんですよね。」
「そうそう。このナーチス村を救った英雄のランだよ。」
「魔物化してしまったのですね…」
「ええ。人間の時よりチャーミングでしょう?」
「この村を救った英雄様にこんなことを言いたくはないのですが…本当に大丈夫なのですか?魔物化したのに…暴れて人を襲ったり…」
「いえいえ!とっても無害で哀れな魔物ですよ!失恋したショックで魔物化したんですよ〜。はっはっは!」
「ナーチス村は人間がドラゴンに変わってこの村を襲った。だから魔物化した人間は警戒心が強いんだ。」
なるほど遠巻きにランを見ていた理由がわかった
ドラゴンはこの村の出身だったのか
仲良くしていた人間が急にドラゴン化して村を襲えばそりゃあ魔物化した人を警戒するのは当たり前だ
逆にマーブルとかいう女の子の方が異常だ
「お気持ちは分かりました。でもランは安全です。ランは純粋な魔族であり、自我がしっかりとしている。心が人間であるランは村を襲ったりしない。」
「そうですか…ナーチス村には何しに来たんだ?」
「魔物ミランに会う為に。」
「…魔物の生きる世界なんてナーチス村の人間は反対だよ。」
「ミランはいい魔物だと聞きました。」
「彼も人間を殺している。魔物は悪だ。」
「魔物とか人間とか関係ないわ。」
とランが言う
「ミランが魔物でも人間でも関係ない!ミランに会いにきたの。人間でも魔物でもミランは私の…大事な友達だから!!」
とランは力強く言った
「そう…ですか。」
と言って男は部屋から出て行った
「俺もランが人間でも魔物でもずっと友達さ!」
とランに言うと
「当たり前よ。裏切ったらぶっ殺すから。」
と素直じゃない言葉を返された
嬉しい。ありがとうと素直に言えばいいのに




