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君だけの勇者様  作者: ama
第1章 君だけの勇者様
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42/55

第42話 ハッピーエンド

俺達は急いでハーデス村へと帰った

空から見た様子ではハーデス村は無事で荒らされた形跡がなく、ほっとする

俺達はチャイナお婆さんが封印されている場所へと降りた

「いない…!!!!」

とランが言う

魔物化していたチャイナお婆さんをランが氷漬けにして封印していたはずなのに、氷が溶けてチャイナお婆さんがいなくなっていた

「大変だ!早く探さないと!!」

と俺が言う

ハーデス村は無事だから森の方に逃げたのかと森を捜索しようとすると

「お!やっぱり帰ってきたか。」

とカイトが声をかけた

「カイト!ここに封印されていたお婆さんを知らないか!?」

と俺が言うと

「もちろん知ってるぜ。」

「どこにいる!?」

「こっちだよ。」

と言ってカイトは俺達をハーデス村の中心の広場へと案内した

「おばあちゃん…!!!!」

とランが叫ぶ

そこには魔物化していたはずのチャイナお婆さんが人間に戻り、平穏に過ごしていた

ランはお婆さんの姿を見つけると抱きついてそのまま泣き出してしまった

「どうして…まだ魔王を倒していないのに…」

チャイナお婆さんの魔物化は魔王を倒さないと人間に戻れないはずだ

それなのに魔物化したチャイナお婆さんは人間へと戻っている

「クーデル!!!」

そう言って俺に抱きついてきたのはマリナだった

「マリナ。久しぶり。」

「無事でよかった…!!!あのね!あのね!私、聖女の力が目覚めたの!!」

「聖女の力…?」

「うん!だからチャイナお婆さんの魔物化も私が聖女の力で人間に戻すことが出来たの!!」

「えっ…!!凄いじゃないか!!マリナ!!」

「えへへ〜!!そうでしょう!?」

マリナは突然、聖女として目覚めたらしい

カイトから聖女ならチャイナお婆さんを元に戻せるかもと言われ、力を試してみたようだ

その結果、人間に戻すことに成功した

チャイナお婆さんは人間に戻ったので、氷漬けはカイトが粉々にしてチャイナお婆さんを助けたようだ

「そうか…よかった…」

ランは人間に戻ったチャイナお婆さんをずっと泣きながら抱きしめている

俺達の冒険は唐突に終わったが

チャイナお婆さんが人間に戻り、ハーデス村で過ごすことが出来る

これからは俺とランとチャイナお婆さんはこのハーデス村で穏やかに過ごしていける…

「ねぇ…クーデル。私、聖女になったよ。」

とマリナが言う

「そうだな。本当に凄いよ。マリナ。チャイナお婆さんを人間に戻してくれてありがとう。」

「私、もう足手纏いじゃないよ。魔物だって倒せる。冒険に行けるよ。」

「え…」

「ねぇ。クーデル。私と一緒に冒険に連れて行って!」

「えぇ!?いや…俺とランはチャイナお婆さんを人間に戻す為に冒険をしていただけだから…」

「でもでも!まだ魔王を倒していないでしょう?」

「魔王を倒すのはチャイナお婆さんを人間に戻すための手段だっただけだよ。チャイナお婆さんが人間に戻ったんだ。俺とランはもう冒険に行かない。このハーデス村で過ごすよ。」

「私!聖女として目覚めたの!魔王を倒す為に!!だから…私は冒険に行かなくちゃいけない。」

「そうか。マリナなら絶対に魔王を倒せるよ。」

「どうして他人事なのよ!!今度は私と一緒にクーデルが冒険に行くのよ!!」

「…え!?」

「私と一緒に魔王を倒す冒険に来て欲しい!」

「いやいやいや…俺が魔王を倒すななんて…」

「ランと一緒に魔王を倒す冒険してたじゃない!!」

「それは…そうだけど…カイトは?カイトの方が俺より強いじゃないか。カイトと冒険に…」

「好きなの!!」

「…!?」

「私…クーデルが好き。ランとクーデルが一緒に冒険に行ってしまって何も力のない自分が悔しくて悔しくて仕方がなかった。私だって一緒に行きたかったのに!!でも…今はクーデルと一緒に魔王を倒せる力がある。私は魔王を倒す為に聖女として目覚めた。クーデルと一緒に魔王を倒す冒険がしたい。」

「マリナは…カイトが好きだと思っていたし…その…」

「返事はすぐじゃなくていいの。私はクーデルと冒険に行きたい。クーデルと一緒がいい。よく考えて決めてね。」

「わかった…」

そう言ってマリナは家へと戻った

ランとチャイナお婆さんも感動の再会が終わり、2人で自宅へと帰って行った

2人の感動の再会に水を刺すのは野暮だから今日はランとチャイナお婆さんの家を訪ねるのはやめておこう

「あーぁ。ついにフラれたよ。」

とカイトが俺に言う

「マリナにフラれたのか?」

「そうだよ。俺と一緒に魔王を倒す冒険に行こうと言ったけど、クーデルがいいってさ。」

「みんな一緒に行けばいいじゃないか。俺とカイトとマリナとランで。」

「そりゃあみんなで冒険すれば強いだろうけどそうはいかないよ。俺はマリナが好きなのに、クーデルとイチャイチャしてあるところを見て冒険するほどお人よしじゃないしな。」

「別にイチャイチャなんてしないよ…」

「はあ?両思いのくせに?」

「俺はマリナを妹のように思ってるだけだよ。恋愛感情じゃない。」

「そんなわけねぇだろうが。いつも俺とマリナが仲良くしているとヤキモチ妬いていたくせに。」

「それは…」

「ずっと黙っていたけれど、マリナが好きなのはクーデルだよ。俺じゃマリナを幸せに出来ないし、守れない。だから…マリナを頼んだぞ。」

「俺は…マリナはずっとカイトが好きだと思っていたし、マリナはカイトがいるから幸せに…」

「違うんだ。マリナは俺じゃなくて、クーデル。お前を選んだんだよ。」

「でも…俺は…ランが好きだ。マリナの気持ちに応えられないよ。」

と俺が言うとカイトはものすごく驚いて

「マジ?2人で冒険して好きになったのか?もう2人は恋人同士なのか?」

「いや…俺の片思いだけど…」

「じゃあマリナを選んでくれよ。」

「え…」

「俺と冒険したくない。クーデルと絶対に行きたいってマリナが言うんだ。マリナを1人で冒険に行かせるわけにはいかない。」

「俺は…ランと一緒に…」

「マリナのこともよく考えてあげてくれよ。あいつはずっとクーデルが好きだったんだ。魔王を倒す間冒険の間だけでもいい。マリナにもチャンスをあげてやって欲しい。」

「俺よりカイトの方が…」

「頼むよ。クーデル。俺じゃダメなんだ。」

とカイトが柄にもなく真剣な顔付きで俺に頼む

俺はどうすればいいのかわからず自分の家に帰る

久しぶりに会う父と母は泣いて喜んで歓迎してくれた

「マリナとまた冒険に行くんだろう?頑張れよ!」

と父に言われる

「マリナちゃんのことずっと好きだったものね!よかったわね!クーデル!」

と母が言う

俺は答えることが出来ずに黙ってしまう

俺は…ハーデス村でランと一緒に過ごしたいのに

疲れた

俺は考えることを放棄して眠りについた

早朝、早くに目が覚める

とりあえずランとチャイナお婆さんに会いに行こう

ランはまだ寝てるかもしれないけれど

俺はまだ寝てるかもしれないけれど

頭がぐちゃぐちゃになっているので、ランに会いたかった

俺がランとチャイナお婆さんの扉をノックする

ドンドン

「…だれ?」

とランの声がした

「ラン。俺だよ。クーデル。」

「ああ。どうしたの?」

「開けてくれよ。」

「いや。」

「ど…どうして?」

「嫌だから。」

「もしかして寝起きだから?そんなのいつも見てたから気にしないでいいのに。」

「よかったじゃない。マリナと両思いになって。」

「…え?」

「マリナこと好きだったものね。マリナと一緒に冒険して魔王討伐してくるんでしょう?」

「いや…俺は…」

「おめでとう。じゃあね。クーデル。行ってらっしゃい。」

「ちょっと待ってよ!!ランは!?ランも一緒に…」

「行くわけないじゃない。お婆ちゃんが元に戻ったのよ。私が冒険に行く理由はないわ。」

「俺はランと…!!」

「次はマリナを守ってあげてね。さよなら。クーデル。」

俺はショックで家にもう一度帰る

ランがもう俺を必要としていない

勇者様と呼んでくれない

お婆さんが元に戻ったから俺は用済みなのか?

俺達の関係って本当にそれだけだったのか?

家にマリナが訪ねてくる

「クーデル…私と一緒に冒険してくれる?」

俺のことを必要としていないランよりも

俺を必要として頼ってくれるマリナを選んだ方がいいのだろうか

わからない

沈んでいく心をマリナが癒してくれるだろうか

俺はマリナの手を取り

マリナと2人で魔王を倒す冒険に行くことにした

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