第41話 異変
「さあ!出発するわよ!!」
とジェシカは意気揚々とA級モンスターがいるダンジョンへと進む
「はぁ…こんなことしてる暇ないのに。」
とランが気だるげに呟く
「ランはコーク街で待ってても良かったのに。」
「どこで待つのよ。ジェシカの家で待つなんてそれこそ地獄よ。ジェシカの母親と父親と一緒に家で待つなんて拷問よ。」
「まぁちょっと気まずいね。」
「ちょっとどころじゃないわよ。激きまずいわよ。激!!!」
「激気まずいなんて言葉初めて聞いたよ。」
「さっさと終わらせて帰りましょう。もうこんな所滞在する理由なんてないし、次の街へ行かなくちゃいけないのに。」
「お祭りも終わったから安い宿も空いてるし、そんなに急がなくても大丈夫だよ。」
「バカなの?早くババアを助けないといけないのにこんな道草したくないって言ってんの。」
「でも宿がない時に泊めてくれたお礼をしなくちゃいけないからさ。」
「普通に金で解決したかった。めんどくさいことに巻き込まれて最悪。」
「まぁまぁ。泊まらせてくれたんだからさ。」
と俺達はジェシカの後方で話をしながらダンジョンを進んでいく
「クーデル!見て!モンスターよ!」
と僧侶の回復係にも関わらず先頭を歩いているジェシカが叫ぶ
「鍵よ!力よ!!」
俺が鍵の剣を発動させて光魔法を放つとイノシシの姿をしたモンスターは一瞬で消し炭になった
「えっ!?もう倒しちゃたの!?」
とジェシカが言う
「これぐらいのモンスターなら剣を振らなくても倒せるよ。」
「イノシシモンスターだってそこそこ強いのに…」
「倒せたからいいだろう?A級モンスターまで進もう。」
「うん…」
俺は奥のA級モンスターに辿り着くまで、鍵の剣から放つ光魔法だけで倒していく
このダンジョンは一本道で迷うことなく、最上階まで来た
「クーデル!いたわ!」
最上階の最深部まで進み、遂にA級モンスターのクマに出会った
「ガオオオオオオオオオオ!!」
と大きな声で俺達を威嚇する
「クーデル!気をつけてね!」
「うん。」
俺は鍵の剣を大剣に変形させ、そのままクマのモンスターに向かって振り下ろすと
「グワアアアアアアアアアアアアアア!!」
と大きな声を叫びながら消えた
「ふう。終わったね。じゃあ帰ろうか。」
と俺が言うと
「…つまんない。」
とジェシカが呟いた
「えっ。」
「つまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんない!!」
「何…?どうした…?」
俺はジェシカが地団駄踏んで怒る様子に戸惑う
「あのさぁ!私がこのモンスター討伐を楽しみにしてたのわかってたよね!?」
「それは…まぁ…」
「それなのに何!?クーデル1人で一瞬でやっつけちゃってさ!!私の出番は!?」
「そんなこと言われても…」
「強いのはわかるけどさ!ちょっと私に花を持たせるように普通はするんじゃないの!?何!?私は何しに来たのよ!お散歩かよ!!」
「でも2人に怪我させるわけにはいかないし…」
「寧ろちょっとぐらい怪我させろよ!!私!!回復役なんですけど!?」
「怪我がないことが1番いいと思って…」
「私だって活躍したかったのに!」
「えっと…帰り道ちょっと怪我しようか?」
「わざと怪我するのか舐めてんのか!?」
「えぇ…じゃあどうしろと…」
「こんなにおもんないモンスター討伐は初めてだったわ。強い人か組むと達成感なくて最悪ね。勉強になったわ。」
「はぁ…すみませんでした…」
俺は謎に謝る
モンスター討伐に行きたいと言われて討伐して怒られるのんて思ってもみなかった
世の中色んな人がいるんだなぁ…
「さっきから黙って聞いていれば…勇者様に対して失礼すぎ!!ジェシカがモンスター討伐にどうしても行きたいっ我儘言うからわざわざ時間作って一緒に討伐してやったのに…感謝しろ!!」
「ふん。別に経験値になってよかったでしょう?」
「ジェシカも見たでしょう?勇者様にとってA級モンスターなんて雑魚相手にするなんて時間の無駄でしかないの!!経験値になんてなりません!!」
「まさかこんなチート級に強い何て思わなかった。」
「勇者様は魔王を倒す英雄になる男よ!?そんな偉大な男と一緒に討伐に行けただけ名誉あることなの!!」
「まぁ確かに。クーデルが魔王を倒したら一緒に冒険したことあるって自慢して話せるわね。」
「自己承認欲求に勇者様を利用するな!!」
「なによー。ごめんって。言い過ぎました〜。」
「謝罪の気持ちが感じられないんだけど!?」
「反省してま〜す。」
「コロスゾ!!!」
とランが殺意で炎の魔法が溢れてしまっている
「ちょっと落ち着けって!!ラン!!」
「この生意気な女は一回痛い目に遭わないとわかんないわよ!!」
「いいって!俺達はこんなところで喧嘩してる場合じゃないだろう?次の街に行く準備しよう!な!?」
「…。」
ランの炎が消えていき収まってきた
落ち着いたかのように見えたけれど、何か様子がおかしい
「ラン?どうした?」
「…なんで?」
明らかに動揺して戸惑っている
「ラン!?大丈夫か!?何かあったのか!?」
「私の魔法が解けた。」
「魔法が解けたって…まさか…」
「おばあちゃん…」
「嘘だろう?どうして…!!」
ランが魔物化したお婆さんを封印する為に氷漬けにした魔法が解けたと言う
「早く!!ハーデス村に帰らなきゃ!!」
「うん!!!」
俺とランの2人をランは風魔法で飛ばす
「ちょっと!!何!?私を1人にしないでよ!!」
とジェシカが叫んでいる
「ジェシカごめん!!緊急事態が起きたんだ!!もう弱いモンスターしか残ってないからなんとか1人で帰りは頑張って!!」
と俺は空から叫ぶ
「ハァアアアアアア!?私、回復しかできないんだけど!?」
「本当にごめーーーーん!!」
「許せるかあああああああああああ!!」
と断末魔が聞こえたが、回復魔法が使えるならあれぐらいのモンスターの怪我なら回復しながら帰ることが出来るはずだ
死ぬことはないだろう
置き去りにしたことはいつか謝罪しに行こう
それよりも…魔法が解けたってどういうことだ?
誰が解いた?
魔法が解けたならチャイナお婆さんはハーデス村を襲っているのか?
ハーデス村は一体どうなっているんだ?
俺が不安になるんだ
ランの心境はもっと不安だろう
「きっと大丈夫だよ。」
と俺はランを励ます
「そんなのわからないじゃない!!気休めの優しい言葉なんていらない!!」
と声を荒げてランは言う
「ごめん…」
こんな時にどうやって不安を拭ってあげたらいいのかわからない
俺はまだまだ未熟な人間だ
「俺はランに落ち着いて欲しくて…」
「落ち着けるか!!魔法が解けておばあちゃんが暴れてる可能性が高いのに!!なんで?私の魔法は私にしか解けないはずなのに!!」
ランは不安そうに涙目になりながら叫んでいる
「とにかくすぐに行こう。お婆さんが魔物化してハーデス村を襲っていたとしても俺がすぐに止める。もう一度封印すればいい。」
「…わかってる。とにかく早く!!早く!!」
風魔法の威力が増してスピードを上げる
おそろしいスピードで飛んでいるが今は怯えている暇はない
早くハーデス村に帰らなければ
お婆さんがハーデス村を襲って滅ぼしてしまう前に




