第40話 花祭り
それから俺達はコーク街の花祭りを楽しんだ
「見て!勇者様!ふわふわだよ!!」
屋台で売っているふわふわの白い食べ物にランは大喜びしている
わたあめという食べ物らしい
「すごいね。こんな雲みたいな食べ物初めてみたよ。」
「すっごく甘いんだよ!ほら!勇者様も食べてみて!」
とランはわたあめを摘んで俺の口に入れた
あーんして食べさせてもらって
俺はたじたじになりながら食べた
「本当だ…あまい…」
「ね!これ全部砂糖で出来てるらしいよ。」
「砂糖がこんなにふわふわになるのか?」
「うん。不思議だよね。」
そう言いながらぱくぱくとわたあめをランが食べていると
「ねぇ。びっくりすると思うんだけどお腹いっぱいになっちゃった。」
「え!?まだ半分も食べてないよ!?」
「うん。溶けてなくなるのにすごいお腹いっぱいになる。だからあげる。」
そう言って残りのわたあめを渡された
俺は半分以上残ったわかあめを食べると
本当にすぐにお腹いっぱいになった
雲のように空気みたいなのかと思っていたが
全然そんなことはなくすぐにお腹いっぱいになった
「こんなにふわふわなのにすぐお腹いっぱいになるね。」
「そうでしょう!?」
「砂糖を食べ続けているから当たり前か。面白い食べ物だけど食べるの大変だ。」
「フフッ。私達まだまだ知らないことたくさんあるわね。」
とランが笑う
その後も俺達はお祭りを楽しんだ
収穫祭しか知らないので、大きなお祭りは初めてで屋台でゲームをたくさんして楽しんだ
金魚すくい、射的、くじ引き等をしてお祭りを豪遊した
お面を売っている屋台があり
「これ買って欲しい!お願い勇者様!」
とおねだりされたので狐のお面を買ってあげた
「えへへ。嬉しい!ありがとう!勇者様!」
と満面の笑みでお礼を言われた
世の中の男達がデートで女の子に物を貢ぐ行為なんて理解できなかったけれど
実際に好きな子におねだりされて買ってあげたらありがとうなんて言われたら
ものすごい優越感に浸れてしまった
これが癖になる男共の気持ちがわかってしまった
今ならどんな高級品をおねだりされても買ってしまいそうになる
今は魔王を討伐する旅の途中だから散財しないようにランも気をつけているけれど
魔王を討伐後、世界が平和になれば
ランはたくさんおねだりをするタイプだと思う
ランが欲しい物をなんでも買えるぐらい金持ちになりたいな
魔王を討伐したらたくさん報酬を貰ってランに何でも買ってあげられる金持ちになろう
そんな夢物語を妄想してしまう
お祭りを楽しんでいるとすっかり日が暮れてカヌーを乗る時間になった
受付を済ませて俺達はカヌーに乗る
「綺麗…」
カヌーの川にはたくさんの種類の花びらが浮いていて
色んな色の花びらで川は彩られていた
「本当だ。とても綺麗だね。」
ドンッ!!
と音がして空を見上げると、空に花が咲いていた
キラキラと空に花の光が光る
「すごい…」
俺は思わず呟く
「花火だ。」
とランは言う
「知っているの?」
「初めてみたけど本で読んだことがある。空に花を咲かせる花火という物があるって。」
「凄い綺麗だね…」
「うん。ババアは見たことあるのかな。」
「どうだろう…チャイナお婆さんはランを引き取る前には魔法使い達と一緒に暮らしていたみたいだからね。」
「あのババアは花火を見て感傷に浸るなんてことしないだろうけどね。くだらないとか言いそう。」
「まぁ…確かに。」
「フフッ。それでもいつかババアと一緒に花火見たいな。隣で文句ばっかり言うババアの小言を聞きながら見る花火は楽しいだろうから。」
と言いながらランは花火を眺める
俺はいつでもランと一緒に来たいと思う
でもランにとっての1番はチャイナお婆さんで
俺はまだまだランの1番になれない
「魔王を倒して、来年はチャイナお婆さんも連れて3人で来よう。きっとチャイナお婆さんも喜んでくれるよ。」
と俺が言うと
ランは目に涙を浮かべてにっこりと
「ありがとう。」
と言った
世界の平和とか、魔王が生きていようが死んでいようがどうでもいい
俺はランを望む未来を叶えてあげたい
ランの望む全てを叶えてあげられる男になりたい
俺は君だけの勇者様
俺はいつだってランを中心に世界が回っている




