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君だけの勇者様  作者: ama
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33/36

第33話 悪魔の子

じゃあお風呂入ってくるねーとランは1人でお風呂場へと行ってしまった

俺はハァ…と深い溜息をつく

とりあえずランの機嫌が良くなってよかった

嫌われてパーティを解散するなんて言われたら…

俺はこの後生きていけない

「ランは随分破天荒な女の子ですね。疲れませんか?一緒に旅をしていて。」

とスイさんが俺に尋ねる

「ランは破天荒だけれど、根は優しくていい子なんだ。俺達が旅をしているのはランのお婆さんを助ける為だからね。本当はお婆さん想いの優しい女の子なんだよ。」

「魔法使いチャイナ。」

「ランのお婆さんを知っているのか?」

「もちろん知っているわ。魔法使い界隈は狭いからね。チャイナは全魔法が使える大魔法使い。魔法使いなら誰でも知っているわ。」

「そんな凄い人だったんだ。チャイナお婆さん。」

「魔法使い界隈の重鎮であり、これからの魔法使い界隈を支える役目を担うはずだったのに、急に“孫を育てることになった”と言って姿を消したのよ。」

「チャイナお婆さんは魔王が復活すると同時に自身が魔物化することを知っていたようだ。魔法使い仲間を傷つけることをしたくなかったからハーデス村なんて辺鄙な場所で暮らすことにしたんじゃないかな。」

「じゃあどうして孫を育てることにしたのかしら。1人で魔物化するべきじゃないの?孫を危険な目に合わせるなんておかしくない?」

「チャイナお婆さんはランに殺されることを望んでいた。ランはお婆さんを封印している。お婆さんを人間に戻す為に魔王を倒す旅をしているんだ。」

「どうして大事な孫にそんな残酷な役目を担わせたのかしらね。私達、魔法使いに封印を頼んだ方が確実だったはずなのに。」

「それは…」

確かにそう言われてみればそうだ

チャイナお婆さんはハーデス村でも孤立していたから勝手に交友関係が薄い人だと思い込んでいた

魔法使い仲間がいたのならば

魔法使い仲間に封印を頼んだ方が確実だったはずなのに

「チャイナの孫は悪魔の子。」

「…なんだよそれ。」

「魔法使い界隈ではよく聞く話よ。魔法使いチャイナの孫は悪魔の子だと。」

「どうしてそんな酷い話が魔法使い界隈に広まってあるんだ?ランは悪魔の子なんかじゃない!!」

「わからないけど…魔法使いチャイナは偉大な魔法使いだったから孫を育てると聞いた弟子達が怒りで、でっちあげた悪評の可能性が高いわ。」

「少し我儘なだけで本当にいい子なんだ。そんな噂話出鱈目だよ!!」

「そうね。わかっているわ。でも魔法使い達はランの印象が悪い可能性が高い。ちゃんと話せば誤解だって気づくと思うけど。初対面では悪評のせいで塩対応されることが多いことを覚えておいて。」

「わかった。忠告どうもありがとう。」

俺達が話を終えるとちょうどランはお風呂から出てきて

「久しぶりのお風呂最高だったわ〜。砂だらけになってて気分悪かったのがスッキリしたわ〜。」

とランが満足気に話している

「よかったね。ラン。髪の毛を乾かしてあげよう。」

と俺がタオルを手に取ってランの髪を拭こうとすると

「大丈夫!大丈夫!見てて!」

とランが言うと

ランは風魔法であっという間に髪が乾いてしまった

「ふふーん。どう?」

「あっという間に乾いて凄いね。でもランの髪を拭くのは楽しかったから少し残念だな。」

「人の世話をするのが楽しいなんて変な勇者様。」

とランが心底理解出来ないと言う顔で俺を見つめる

「さすがチャイナお婆さんのお孫さんね。魔法がとてもお上手だわ。」

とスイさんが言う

「へへーん!当たり前でしょう!?私は最強なのよ!」

「魔物相手には魔法が効かないけどね。」

と俺が言う

「え?そうなの?」

とスイさんが言う

「ランの魔法は魔物相手には効かないんだ。」

「そんな魔法使い聞いたことないわ。」

「屈強な男も魔物は倒せない人もいるようだよ。心が綺麗な人じゃないと魔物に傷をつけることも出来ないみたいだよ。」

「そんな話初めて聞いたわ。」

「いや…あくまで俺達の予想でしかないけれど。魔物を切れるかどうかはレアジーニャ城にある水晶で調べることが出来るみたいだ。」

「そうなんだ。魔物達が復活してから私も他の魔法使いに会ったのは3人だけだから他にも魔法が効かない魔法使いがいるのかもね。データが少なすぎるわ。」

「たぶんいると思うよ。」


ガチャリと扉を開けてイザヨイさんが部屋に入ってきた

「ランが起きたの?いい話があるんだけど。」

「イザヨイさん。何ですか?いい話って。」

「クーデルの装備のことよ。」

「俺の装備ですか?」

「これから風のドラゴンを倒しに行くのに防具が弱すぎるわ。ただの洋服じゃない。」

「まぁ…確かに。」

「砂の洞窟ヨーデルに幻の防具リフレクションがあるわ。たくさんの魔物がいるから手に入れるのが大変かもしれないけれど、風のドラゴンを倒すほどの実力があれば手に入れることが出来るはずよ。腕試しにもちょうどいいし、行ってきなよ。」

「それは是非手に入れたいですね。早速明日行こうか。ラン。」

「えーーーーー。やだーーーーー!!」

「えぇ…。」

「あの砂嵐にまた行くのー?」

「またお風呂に入れるからいいだろう?」

「やだ!砂だらけになるのも、道に迷うのもいやだ!!」

「そうは言っても風のドラゴンの討伐だって砂嵐の中で戦うんだよ?練習した方がいいと思うよ。」

「風のドラゴンの時は我慢するけど、砂の洞窟なんて雑魚相手に砂嵐にまた行くのは嫌!!雑魚相手なら勇者様1人でも大丈夫でしょう?」

「俺1人で行くなんて寂しいよ。一緒に行こうよ。」

「大丈夫よ。私達は心で繋がっているから!ソウルメイト!ソウルハート!ソウルビジネスパートナー!!」

どこで覚えたのか謎の言葉を言っている

ソウルビジネスパートナーってなんだよ

「私が同行しましょうか?」

とスイさんが名乗り出る

「いや…俺はランと…」

「いいんじゃない!?砂の洞窟はスイさんと一緒に行ってきなよ!私はここで待ってるから!!」

砂嵐の中で迷子になって遭難しかけたことが余程トラウマになっているらしい

絶対に行かないと言う強い意志を感じる…

「はぁ。わかったよ。でも風のドラゴン討伐は絶対に一緒にやるからな。」

「それまでに砂嵐を止める方法を考えておくわ。」

「たぶん風のドラゴンを倒さないと無理だよ…」

明日は俺とスイさんで砂の洞窟ヨーデルに行くことになった

ランはシラカバ村で留守番する

ランと冒険出来ないことは残念だけれど、幻の防具リフレクションは欲しいので仕方ないな


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