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君だけの勇者様  作者: ama
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第27話 1番大好きな人

ランは親切な人からもらった旗をクルクル回したり、投げて取る練習をしている

毎日、お婆さんを助ける為に封印魔法を練習していたランは努力家だ

大鎌なんて絶対に向いていないのに

ランは本気で扱うつもりで修行をしている

俺に練習している姿を見られたくないのか

俺が街に情報収集している間にこっそり練習している

俺は気配を消すことが実は得意で

派手な剣術は出来ないけれど、気配を消して近づいて倒す戦術の方が実は得意だ

カイトにはクーデルは暗殺向きだと言われていた

俺はランに気づかないようにこうしてこっそりランの練習しているところを覗いている

少しずつ出来ることが増えていることに本人は満足そうに楽しく練習している

ランの方が本気で魔王を倒す気でこの旅をしているから

遊び半分ではない

本気で大鎌使いとして魔王を倒そうとしているのだ

誰がどう判断しても向いていないのに

自分の努力と信念を貫く姿は

とてもかっこよく感じた

全然上手くないことに悲観することなく

少しずつ成長出来ることに喜びを見出せるのは

ランの強さの秘訣そのものだろう

それにしても…

明らかに不審な点がある

このリービル国には初めて来たはずなのに

ランは詳しいことを知っている

隠れ家レストランとか

近道とか

水龍ドラゴンの情報とか

何故か詳しい

ランも冒険者ギルドで情報収集しているのかと思っていたが

冒険者ギルドでランのことを聞くと全然知らないと言われる

ならば何処でランは情報を仕入れているのか?

そう思っていた矢先に旗を貰ってきた

俺はランが朝、寝ている間に今朝こっそりランが貰った旗を探っていた

旗には名前が書いてあり

“カーラ”

と記入されていた

ランはカーラから旗を貰った

カーラという女の子がランに情報を渡している相手なのだろう

俺は街に聞き込みをしてカーラという女性について教えて貰った

八百屋の店主がカーラを知っており、カーラの家を教えて貰った

俺は教わった場所へと移動してカーラの家に着いたが

いざ目の前にするとどうすればいいのかわからない…

俺は家の前でうろうろしていると

「勇者様?」

と声をかけられた

俺が振り向くと俺と同じ歳ぐらいの女の子だった

この子がおそらく

ランといつも話している人物

「初めまして。クーデルと申します。」

内心バクバク心臓がなってきたが

悟られないようにポーカーフェイスで話す

「初めまして。カーラです。」

と落ち着いた様子でカーラは挨拶を返してくれた

「ランがカーラから旗を貰ったと言っていたのでお礼にと思って…」

「わざわざその為に?ありがとうございます。こっそり練習していたのに、勇者様にバレちゃったのね。」

「うん…」

カーラはどうしてランと仲良くなったのだろうか

俺はそのことが気がかりでここまで来てしまった

ランにはバレていることを話していないのに

勝手に探りを入れたことが知られたら

ランに嫌われてしまうだろうか…

素直にランに“カーラって誰?”と聞くべきだったのはわかるが

おそらくはぐらかされるのが目に見えていたので

こうして本人に会いに来るという強行突破に出てしまった

「ランといつも仲良くしているみたいだね。」

「おかげさまで。」

とカーラはにっこり笑う

ランと親しいということを堂々と宣言されてしまった

なんだろうかこの気持ちは

ランを独り占めしている気持ちで旅をしていたのに

誰かに獲られる感覚

これが嫉妬か

「ランと何処で知り合ったの?」

「あれ?そこは話していないのね。私がランの魔法に夢中になっていたら話しかけてくれたことがきっかけね。」

「ランの魔法に夢中に?」

「はい。とても綺麗だったので。綺麗だねって話したら喜んでくれました。そこから友人として話すようになったのです。」

「そう…」

カーラから聞くランの姿が想像つかない

人に悪態ばかりつくくせに

ありがとうとお礼を言って

仲睦まじく会話をしているようだ

まるでランが普通の女の子のように

「ランは我儘ばかりで迷惑をかけていませんか?」

「とんでもないです。とても楽しく過ごさせて貰っています。」

とても穏やかに嬉しそうにカーラは微笑む

ランと過ごす時間が本当に楽しいのだろう

日中は俺とほとんど一緒にいるはずなのに

いつこんなにも親しくなるほど会話をしているのだろうか

おかしいと思っていたんだ

すぐに魔王を倒してお婆さんを助けたいはずなのに

修行をしたいと言い出したこと

きっとこのリービル国に

ランは留まりたい理由があること

そしてそれは…

この1人の少女カーラが原因だろう

ランはカーラと過ごす日々が気に入っており

離れがたいのだろう

普通の女の子のように過ごす日々が

楽しいのだろう

カーラは俺の知らないランをよく知っている

その事実が俺には耐えがたい

「ランは俺と過ごす方が楽しくしているからな!」

とつい最悪で幼稚なことをカーラと対抗する台詞を言ってしまった

言ってすぐに自己嫌悪に陥る

カーラは目をまんまるくさせて驚き

笑い出した

「アハハ!当たり前ですよ!ランは私といる時もずっと勇者様の話ばかりですよ。自慢のかっこいい勇者様だってね。」

「いや…俺は…かっこよくなんか…」

「フフッ。そうね。今の台詞はカッコ悪かったかも。」

「ごめん。ランの友人に酷いことを言って。」

「アハハ!本当にお人好しで善意の塊のような人ね。いいのよ。気にしてないわ。」

「ありがとう…」

自分の器の小ささが嫌になる

恥ずかしい

穴が入ったら入りたい

「安心してください。ランは貴方のことが1番に大好きですから。」

「すみません…変なこと口走って…恥ずかしい…。実はランには内緒で会いに来てるんです。ランが親しくしている相手がどうしても気になってしまって…」

「あらら。意外と独占欲が強い人なんですね。」

「俺以外に懐いている人が初めてだったので…」

「そうなんですか?あんなに人懐っこいのに。フフッ。わかりました。ランには内緒にしておきますよ。勇者様と会ったこと。」

「すみません…助かります…」

「ランのことが好きなんですよね?」

「え?…いや…その…」

「そんなに独り占めしたいほど好きなのに、まさか他の女が好きなんて言わないですよね?」

「…俺達はただのビジネスパートナーだよ。ランもそう言ってる。」

「じゃあランは私が奪っちゃおうかしら。」

「無駄だよ。ランはお婆さんを助ける為に旅をしている。お婆さんを助ける為には旅を続けるからね。このリービル国とももうすぐさよならだ。」

「お婆さんを助けた後は?」

「え?」

「お婆さんを助けた後はどうするの?旅は終わり?」

「まぁそうなるね。」

「じゃあこのリービル国でランと私が一緒に暮らしても問題ないわよね。」

「馬鹿いうな。ランはお婆さんと一緒に過ごすに決まっている。その為に命懸けで旅をしているのに…」

「ランは言ってたわよ?旅が終わったらリービル国で過ごしたいってね。」

「…冗談だろう?」

「旅が終わればビジネスパートナーも解消してランと一緒にいる理由なんてないものね。勇者様には。だから旅が終われば私とランが仲良く暮らすから。それまでランをよろしくね。」

と宣言されてしまった

俺は言い返すことが出来ずに

宿へと戻る

この旅が永遠に終わらなければいいのにと

馬鹿なことを考えてしまっている

お婆さんにもカーラにも渡したくない

マリナのことが好きだったはずなのに

俺はいつのまにか

ランが1番大好きになってしまったようだ


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