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君だけの勇者様  作者: ama
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22/36

第22話 友人

すぐにリービル国を出発すると以前の私なら絶対に言っていただろう

修行したいだなんてもっともらしい言い訳を並べてこの国に留まったのは

「こんばんは。ラン。」

夜中にこっそり会う初めて出来た友達と呼べるカーラがいるから

「こんばんは。カーラ。」

ハーデス村にはカリンがいたけれど、私はほとんど会話をしたことがない

学校から帰ったら修行の日々だったから

遊ぶ時間なんてなかった

同い年の女友達と穏やかに会話を出来ることに

ちょっと

いやかなり

浮かれてしまっている

「今日は海の絵を描いているのね。」

「うん。私、夜の海が好き。」

「昼間は青くてキラキラしているのに、夜の海は真っ暗で吸い込まれそう。私は少しこわいな。」

「この静寂な雰囲気がいいのに。」

「何もないのに?」

「何もなくて真っ暗だからこそ月が綺麗に光輝くのよ。」

「たしかに月は綺麗だわ。でも海は関係なくない?綺麗なのは月よ?」

「わかってないな。月が綺麗に輝くのは真っ暗だからよ。真っ暗で何もないからこそ月が美しく輝くの。真っ暗な海が月を引き立てる役割を果たしているの。」

「なるほど。じゃあ月が好きでよくない?どうして夜の海が好きなの?」

「主役は引き立てる役がいるからこそ輝くのよ。月を輝かせる静寂な海が私は好きなの。」

「なるほど。だからカーラの夜の海の絵は一色じゃないのね。」

「このミステリアスな暗さが素敵でしょう?」

「うん。とても綺麗だわ。」

「引き算の美学よ。」

「引き算の美学か…私には縁がないものだったわね。」

「いっぱい詰め込むタイプ?」

「うん。たくさんの魔法が使える魔法使いが強いと思っていた。だから私には向いていない魔法もたくさん練習した。全力で頑張れば出来ると信じて。」

「いいことじゃない。」

「でも…結局私は得意魔法以外は使えなかった。」

「それでも頑張った時間は無駄じゃないって証明したいって言ってたじゃない。」

「そうね。でも引き算の美学を私も理解していたらもっと強い魔法使いになれてたかもなって。」

「今からでも遅くないでしょう?」

「…そうね。」

私は風魔法の練習を始める

でも今日はいつもとイメージを変えて

風を操る

たくさんの風を操ることで大きな力が発揮出来ると思っていたけれど

違うのかもしれない

引き算の美学

たった1つの突風に集中して

自分の思うがままに操るように

「わぁ…すごい…いつも綺麗な魔法だけど、今日は特別綺麗ね。」

とカーラが褒めてくれた

私は風に乗って夜空を自由に飛び回る

「すごいすごい!今日は風の龍に乗ってるみたいにコントロール出来てる!」

私は風魔法をやめて、カーラの元に帰ってきた

「引き算の美学を意識して風を操ってみたら上手くいったわ。アドバイスありがとね。」

「別にアドバイスしたつもりはなかったけど、コツを掴めて良かったね!」

「力が強ければ強いほどいいと思ってた。でもき違うこともあるのね。もっと早くに気づかたかったなぁ。」

「でも気づいてすぐに出来るのはすごいよ!きっと何度も魔法を練習したからよ!」

「そう…かな…」

「うん!出来なかった魔法を練習した時間だって無駄じゃないよ。こんなに飲みこみ早く上達できちゃうんだから!」

「そうね…ありがとう。」

「私の絵もいつか報われるかしら。」

「評価されるかってこと?」

「うん。絵を描くことは好き。でも自分の絵を酷評されることがこわいの。絵を広めたいなら他の人に見せないといけないのに。」

「こんなに素敵の絵だから大丈夫だよ。」

「世の中そんなに甘くないのよ。私は技術も知識も不足している。絵が好きで描くだけでは世の中には評価されないのよ。」

「誰かに絵を見せたことがあるの?」

「うん。バイヤーに一度だけ見せたことがあるの。技術も知識も感じられない絵は売れないからダメだって門前払いされちゃった。」

「他の人に見せた?」

「見せてない。ショックで…こわくて…ここでずっと絵を描いてるだけ。」

「ばかばかばか!絶対バカよ!それ!1回断られただけでカーラの絵の評価が世の中の全ての評価なわけないじゃん!もっとたくさんの人に見せないと!」

「でも…また門前払いされるのがこわくて…」

「数打ったら当たるかもしれないでしょう?たまには引き算の美学をやめて手当たり次第見せてみた方がいいわよ!」

「自分の最高傑作だと思っている絵が否定されると苦しくなるの。そんなに私強くない。」

「自分の最高傑作なら堂々としなさい。自分の絵を自分が1番愛してあげなくちゃ。酷評されたら“こいつ見る目ないな”と思えばいいのよ!」

「フフッ。それいいわね。他のバイヤーにも見せてみようかしら。」

「絶対そうした方がいいよ!」

「たまには足し算の美学も実行してみないとね。」

「あ!もうこんな時間!そろそろ宿に帰らなくちゃ。」

「今日はとても楽しかったわ。また明日ね。ラン。」

「うん!明日はカーラも風魔法で一緒に飛べるようにしてあげる!!」

「それは楽しみね。じゃあ良い夢を。ラン。」

「おやすみー!カーラ!!」

私は風魔法で宿に帰った

明日の夜もカーラと会う約束をして

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