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君だけの勇者様  作者: ama
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第2話 選ばれし勇者

目の前のチャイナお婆さんは禍々しいオーラを発しながら黒い羽とツノを生やしていた。

「なっ…。」

「早くトドメを刺してくれよ。このままほっとくとどんどん力を増してこのハーデス村を襲っちまう。私はこの村を気に入ってるんだ。そんなことはしたくない。」

「くそばばあ!絶対死なせないから!!」

ランは魔法の杖を手にしていた。

「無理だよ。ランの封印魔法は成功したことがない。私を止めるのは殺すしか手はない。」

「私は本番に力を発揮出来るタイプなんだから!」

「はぁ。出来損ないの弟子を持ってしまった…。」

「うるせぇくそばばあ!!黙ってろ!!」

ランの魔法の杖から光が出る。

しかし、光はチャイナお婆さんを通り越して何も意味もないように光るだけだ。

「ほら。お前には魔法の才能なんてないんだ。」

そうチャイナお婆さんが言うとランの目から涙が溢れる。杖を掴む手は震えていた。

「酷な役割をさせて悪いね。私を倒して勇者になってくれるか。クーデル。」

「お婆さんが魔王なの…?」

「私は魔王ではない。でも魔族の血を引いている。だから魔王が復活すると暴走してしまう。人としてはもう生きられない。」

「魔族になると人を襲うのか?」

「そうだ。」

「…いいんですね。」

「あぁ…。ありがとう。」

俺はチャイナお婆さんを殺そうと覚悟すると先程貰った鍵が、剣に変化した。

「これは…。」

「この鍵の剣で殺してくれ。」

俺はチャイナお婆さんを殺そうと剣を振りかぶると

パン!

ランが俺を平手打ちをした。

「何すんのよ!!」

「お婆さんはもう人ではない。今殺されることを望んでいるんだ。」

「そんなこと絶対望んでない!!この村で私と一緒に暮らすことを望んでるんだ!!」

「それはもう無理だから…。」

「無理?ふざけんじゃないわよ!!あんた勇者でしょ?くそばばあも助けてよ!!」

「お婆さんの望みは殺されることだよ。」

「じゃあ私を助けてよ!!そんな老い先短いくそばばあより私の願いを聞いてよ!!お願い!殺さないで!私が絶対封印するから…。」

涙を流し叫びながら俺に訴える。その手は震えており、お婆さんを失うことに怯えていた。

「…ごめんね。お婆さん。俺。可愛い女の子のお願い無視出来ないや。」

「このクソガキが…。」

そう言った後にお婆さんは少し笑っていた。その後、目が赤く光りいよいよ魔族として覚醒しようとしていた。

「ランを信じる。俺はお婆さんを村を襲わないように止めるから、その間に封印して。」

「任せてよ。私は出来損ないの弟子じゃないんだから。絶対成功させてみせる。」

お婆さんはどんどん羽が大きくなり、尻尾も生えてきて角も伸びてきたが、

まだ自我があるのかこちらを攻撃しようとはしていない。その間にランは杖に魔法を込めていた。

お婆さんはついに自我がなくなり、尻尾を使って攻撃してきた。

その尻尾を弾き、攻撃を防ぐ。尻尾の動きがどんどん早くなって抑えることが難しくなってきた。

今度は目からビームが飛び出した。俺は剣で辛うじて弾いたが、怪我をおった。

力が強すぎて何回も受け切れるものではなかった。

「おい!まだなのか!!」

「くたばれ!くそばばあーーー!!」

ランが叫ぶと先程とは違う氷の魔法が放たれた。

氷はお婆さんを覆い被さる。

お婆さんは抵抗してビーム放っている。

ビームは氷を破壊し、ひび割れていく。

「まだまだぁ!!」

ひび割れた所もまた氷が覆い被さり巨大な氷が出来上がっていく。

「殺して…。ころ…」

お婆さんの声が微かに聞こえる。

「絶対に死なせないんだからー!!!」

ランが叫ぶ。氷が完全にお婆さんを覆い、

お婆さんは動かなくなった。

「ハァ。ハァ。ハァ。」

ランが息切れをする。ランの封印は成功したのだ。

「くそばばあ。ざまぁみやがれ。老い先短いのにこんな姿になっちまって。死にたかったのに。こんな小娘に封印されちゃって…。」

ランは涙をボロボロ流し声を震わせる。

「絶対に…元に戻すから…。それまではごめん。ごめんね。おばあちゃん…。私の我儘を許して…。」

泣き崩れてその場にランは倒れた。

 

 

 

 

俺はランを抱き抱え、ランの部屋であろうベッドへ運んだ。

禍々しいオーラは村の人達も気づいて駆けつけていた。

そこで親に説明をして俺はここに残りランの目覚めを待つことを伝えて家に帰って貰った。

カイトとマリナも一緒にランの目覚めを待つと言ってくれたけれど、断った。

なんとなく目覚めた時は二人で話がしたかったから。

俺はランの手を握り、近くにある椅子に座って眠りについた。

 

 

 

「キャ!!!」

可愛い叫び声で目を覚ます。ランが起きたようだ。

「おはよう。ラン。」

「何でここで寝てるの!?」

「お婆さん封印して力尽きたランが心配だったからだよ。」

「なにそれ!?キザすぎない?」

「はぁ?こんなの普通だろ?」

「そ、そうなの…?」

「うん。」

「おばあちゃん封印出来てる?」

「うん。見に行く?」

「うん…。」

俺達は下に降りて昨日封印したお婆さんを見に行く。

氷は溶けることのない絶対的な冷気を発していてお婆さんはツノと羽と尻尾の生えた姿のまま封印されていた。

「………。」

「後悔してるの?封印したこと。」

「私は知っていたの。魔王が復活したらおばあちゃんが魔物になること。私が初めに頼まれたんだから。魔王が復活したら殺してくれってね。」

「………。」

「ずっと暮らしてきた唯一の家族。大事なおばあちゃんを殺せるわけないじゃん。だから探したの。おばあちゃんを殺さないで助ける方法を。魔族を浄化出来る存在。聖女。この世にたった一人しかいない。聖女を見つけないとおばあちゃんは助からない。でも三百年前の魔王が復活した時も聖女は現れなかった。だから魔王は倒すことは出来ずに封印するしかなかった。だから…今は封印するしかなかったの。封印魔法は高度でね。私は使うことが出来なかった。それでもおばあちゃんを諦めたくなくて毎日魔法の練習をした。私が出来たのは氷魔法で固めることだけ。これは封印魔法じゃない。」

「じゃあ…。」

「意識があるかもね。ずっと動けなくて地獄のような日々になるかも。」

「……。」

「私は絶対聖女を探すか魔王を倒す。おばあちゃんをずっとこの状態でいさせるわけにはいかない。それでもおばあちゃんを諦めることは私には出来ないから。」

「今、ここで殺してあげた方が幸せかもしれないよ。」

「そんなことわからないじゃない。命は一つしかないんだから。死んだら終わり。死ぬまでは何が起こるかわからない。聖女を探すか、魔王を倒してこれから幸せな日々を暮らせるようにする。死より不幸なことなんてないのよ。生きてさえいれば人生何があるかわからないんだから。私の我儘に付き合わせて可哀想なおばあちゃんだけど、私を育てたのはおばあちゃんだからね。因果応報よ。」

「泣いてるじゃん。」

「うるさい。後悔なんか絶対しないんだから。封印する為に血を滲むような努力して成功したんだから。絶対に魔王を倒すんだ。元のおばあちゃんに必ず戻すから。」

泣きじゃくるランを抱きしめる。

「大丈夫だよ。お婆さんはランとまた一緒に暮らしたいと望んでいる。お婆さんが元の姿に戻った時には一緒に怒られてあげるから。きっと笑って許してくれるさ。」

「そうよ…。クーデルも共犯者なんだから。私と一緒に旅するわよね?」

「え?」

「可愛い女の子のお願いは叶えてあげるって言ったじゃない。私はおばあちゃんを助けてって言ったのよ。一緒に魔王を倒してくれるわよね?」

「いや…。俺にそんな力はないよ。カイトに頼んだ方がいい。」

「私が助けて欲しいって頼んでるのはクーデルよ。」

「無理だよ。俺には出来ない。」

「やってもないくせに。」

「わかるよ。それぐらい。」

「……。」

「カイトに頼んでみよう。カイトならきっと魔王を倒せる。」

俺達は二人で村へ行く。村の皆んなは心配してくれていたのか広場に全員集まっていた。

「ラン!クーデル!」

村のみんなは俺達を抱きしめる。

「よかった…。無事で。心配したんだから…。」

俺の両親が抱きしめて言う。

「みんな心配掛けてごめん。もう大丈夫だから。お婆さんは魔物になっちゃったけど、封印出来てるから村を襲うことはない。でもお婆さんを助けるには魔王を倒すか、聖女を探すしかない。」

「そんな!お婆さんが!」

村の皆んなはザワザワして混乱している。

「カイト。ランと一緒に魔王を倒してくれないか?」

「え?俺?なんで??」

「なんでって…お前が一番この村で強いだろう?」

「うーん…。ランはお前と行きたいんじゃないのか?」

「それは…でも俺には何もできない。魔王を倒すなんてとても…。」

「出来るさ。大丈夫。クーデルはお婆さんを封印することもできたじゃないか。」

「それは…。お婆さんに貰った鍵の剣があったから…。」

そう言って鍵をカイトに見せる。

「鍵なんて見えないけど?」

「え?いやここにあるじゃん。」

「マリナ見える?」

「見えないけど…。」

「は?みんなここの鍵見えるよな??」

俺は村のみんなにも鍵を見せるが、誰もそんなのは見えないという。

「私も見えてないよ。」

ランまでも。どうやらこの鍵は俺にしか見えていないらしい。俺しか。俺にだけ。

「あ…。」

涙が溢れてくる。ボロボロと流れる。

自分は何も価値もないと思っていた。

普通に生活して、普通に死んでいくんだと。

でもずっと憧れていた。

本当は特別な何かになりたかった。

この鍵が俺にしか見えていないなら、信じてもいいんだろうか。

俺にも特別な力があるってことを。

俺にだって世界を救うような勇者になれると。

「俺が…行きます。」

お婆さん。ありがとう。俺を特別な存在にしてくれて。俺に勇気を与えてくれて。

「魔王を倒しにランと一緒に旅に出ます!!」

 

 

 

 

 

 

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