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君だけの勇者様  作者: ama
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第15話 形見

翌朝になり、ランは相変わらず朝が弱く大暴れをしてやっと起きる。

ミランは大暴れをするランを見てブルブル震えていた。

俺達はドラゴン討伐をギルドに報告しに今日からレアジーニャ城へ向かう。

その前にナーチス村へと挨拶に向かった。

「本当にありがとうございました。今は食料に余裕がなく、宴会を開くことも出来ずに申し訳ございません。」

村長が挨拶に来てくれた。

「いえ。お気遣いなく。」

「代わりとはいってはなんですが、この村の秘宝をお渡しします。」

「そんな大事な物は受け取れません。」

「この村の勇者に受け取って頂きたいのです。」

そう言われて渡されたものは綺麗な石が入ったブレスレットだった。

「精霊石のブレスレットです。災いから身を守ると言われています。勇者一行に幸運を祈って。」

「ありがとうございます。大事に致します。」

「あの…お願いがあるんですけど。」

ランがそう言い出す。

「出来ることならなんでも。」

「マグタットさんが作った時計はありますか?」

俺達は村長に案内されてかつてマグタットの時計屋だった場所に案内される。

瓦礫の山になっており、時計屋の面影は残っていなかった。

瓦礫の山をランが風魔法で浮かしながら瓦礫を崩していく。

一時間程探すと瓦礫の中から懐中時計が出てきた。

懐中時計は奇跡的に動いており時を刻んでいた。

見つけた懐中時計をランはミランの首にかける。

「なんでこんなこと…。」

「形見ぐらい持っていたっていいじゃない。大事な人だったんでしょう?」

ミランはその場に泣き崩れた。

「ありがとう…。ありがとう…。」

ランに何度も感謝の言葉を口にして。

「勇者一行は私達の恩人です。また機会があれば是非この村にお越し下さい。今は枯れ果てた大地ですが、必ず復興して美しい景色を取り戻しますから。」

ランは大鎌を構えて魔法を使う。

大鎌からは黒い煙のようなものを纏い、煙はどんどん空高く上がっていく。

黒い煙は雲となり、黒い雲から大雨が降る。

それも広範囲に。

ナーチス村、ナーチス山、この辺りが炎のドラゴンの影響で枯れていた大地の場所全てに大雨を降らした。圧巻だった。

「……あぁ!!あああああああ!!ありがとうございます!ありがとうございます!!」

村長だけではなく、村の人々全員が泣いて喜んでいた。

ランはそんな村の人々の様子を静かに見つめていた。

「凄いね。ランはこの村の勇者だ。」

「やめてよ。そんなんじゃない。ただマグタットさんが安らかに眠れるようにしたかっただけ。」

「優しいね。ランは。」

「気持ち悪いこと言わないでよ。」

「素直じゃないなぁ。」

俺達は大雨に打たれながら、村の人々と別れを告げて村を出た。

そしてミランとも別れの時がきた。

「ありがとう。お前らは最強の勇者パーティだよ。魔王を倒してランのおばあちゃんも救えるよ。きっと。」

「これからどうするの?」

「ナーチス山で一人で暮らすさ。」

「一緒に来る?」

ランがそう言ったことに驚く。

ランはミランのことそんなに好きになったのか?

ミランはなんて答えるのか?

嫌だ。

俺とだけじゃダメなのか??

「いや…やめておくよ。俺は魔物だから。街に降りたら俺は化け物だから。お前達の邪魔になるだけだよ。」

「そんなの気にすることないよ。」

「俺が気にするの。俺はこの山でひっそり暮らしたいんだ。」

「そう…。」

「ラン。時計探してくれてありがとう。感謝してもしきれないよ。」

「苦労して探したんだから無くさないでよ?」

「うん。これは師匠の形見でもあるけど、ランが俺にくれた初めてのプレゼントでもあるからね。一生の宝物だよ。」

「骨になるまでずっと身につけておきなさい。」

「うん。ありがとう。」

「さよなら。ミラン。」

「また会いにきてね。ラン。勇者様。」

正直、ミランが旅についてこないと答えてくれてほっとしてしまった。

ランが俺だけ特別にしてくれるのが嬉しかったのに。

他のやつと一緒になんてされたくなかった。

ランには俺だけに最強の勇者だよと言って欲しい。

他のやつにも言うなんて耐えられない。

「ミランを仲間にしようって何で言ったの?」

「山で一人で暮らすのは寂しいかなと思ったから。余計なお世話だったみたいだけど。」

「魔王を倒すパーティだから命の危険もあるんだよ?あまり気軽に誘わない方がいいんじゃないかな?」

「そうだね…。大事な人が魔物になっちゃって孤独になったミランに感情移入しすぎちゃった。どうしてもほっとけなかったの。私も同じことになっていたかもしれないから。」

「誰かパーティに誘う時はこれからは相談してね。俺も一緒に旅するんだから。」

「わかった。」

俺達は、レアニージャ城行きの汽車に乗る。

ランの様子が少しおかしい。

いつもは元気にお喋りするのに

「ラン?どうしたの?」

「ガハッ」

ランの口から血が吐かれる。

「ラン!?大丈夫か!?ラン!!」

「ごめん…。昨日と今日で魔力使いすぎたみたい…。少し休めば回復するから気にしないで…。」

そう言って口から血を流しながら意識がなくなるようにランは気絶した。

「誰か!医者はいませんか!?ランが!!」

俺は周りの乗客に必死に助けを求める。

乗務員が対応してくれて、ランは汽車内の休憩室のベッドで寝かせて貰えた。

たまたま、汽車に神官が乗っており、回復魔法をかけてくれた。

しばらく寝れば落ち着くと言われ、お礼言い、お金を渡した。

俺はランの手を握り、目を覚ますのを待った。

どうして…。

何も言ってくれなかったんだ。

あんなに魔力を使って平気なわけがないのに。

俺はどうして気がつかなかったんだ!!

「勇者様…。」

「ラン!」

ランが目を覚ます。

「ちょっとやりすぎちゃって…ごめんね。心配かけちゃった。」

「バカ!!もう二度と血を吐くまで魔法を使わないって約束しろ!!」

「うん。本当にごめん。」

「しんどかっただろう?もう一日ナーチス村に泊まってもよかったのに…。どうして言ってくれなかったんだ?」

「だって…あの村何もないし。魔力回復するにはご飯を食べて、水分補給しないと…。」

「血を吐いてるのに食べて大丈夫なの?」

「これ回復魔法されてるよね?身体的には回復してるから自分の魔力を取り戻すには食べて寝ないとダメなの。」

「それにしても一言言ってくれればよかったのに…。俺ってそんなに頼りない?」

「そうじゃない。調子乗ってかなり広範囲に大雨を降らせちゃって…倒れたらかっこ悪いと思って無理しちゃった。」

「バカ!変なプライドもつのはやめろ!自分の体を一番大事にしろよ!絶対だからな!」

「うん。勇者様もね。目の前で倒れられた時困ったんだよ?」

「ごめん…。俺も気をつけるから。」

「えへへ。着くまでちょっと寝るね。」

「ゆっくり休みな。」

そう言ってまたランは眠りについた。

もっと鍵の剣を使いこなせるように修行しないと。

ランを守る勇者は俺なんだから。

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