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君だけの勇者様  作者: ama
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第13話 ミランの過去

「倒れちゃった。」

「ドラゴンを倒したんだ。力を消耗したんだろう。」

「どうしよう。風魔法で運ぶしかないかな…。私風魔法は苦手なんだけどな…。落としたら死ぬかな。」

「おい。ドラゴンを倒した英雄だぞ!こいつは!安全に運べよ!」

「じゃあミランが運んでよ。」

「はぁ!?なんで俺が…。」

「何よ。ドラゴン退治して欲しかったんでしょう?ドラゴンを倒した英雄が困ってるんだから手伝う義理があるんじゃないの?」

「いや…おかしいだろう…魔物が人間に手を貸すなんて…。」

「人間に手を貸すと魔物界隈で虐めでもあうの?」

「いや…。魔物は全員孤独な生き物だ。馴れ合いなんてしないよ。」

「じゃあ問題ないわね。運んでよ。」

「お前俺が怖くないのか?魔物だぞ?化け物だぞ?」

「ただの気が弱い魔物じゃない。え?自分が怖い存在だと思ってたの?鏡見たら?ブルブル震えて何も出来なかったお子ちゃまじゃない。」

バンッと目の前で殴るフリをされた。

「おい。俺は知ってるんだぞ?お前は優れた魔法使いだけど魔物相手にはスライム相手に傷ひとつつけることが出来ないんだろう?つまり俺に勝てないってことだ。」

「魔物になって力を手にして調子乗ってるガキ。」

「そこの勇者には勝てないけれど、お前はすぐに殺せるぞ?」

「自分より弱い相手にはイキる典型的なガキね。ガキ要素のてんこ盛り。役満ね。」

「おい!本当に殺すぞ!!」

「はいはいどうぞご勝手に。」

「なんでそんな余裕なんだよ!」

「貴方には勝てないけれど負けることもないから。見てたでしょう?私は強いのよ。勇者様に火の粉ひとつつけなかったわ。私の攻撃も当たらないけれど貴方の攻撃も当たらないってこと。」

「……ムカつく。」

「わかったなら運んでよ。勇者様には感謝してるんでしょう?」

「俺が勇者を殺すとは思わないのか?」

「貴方にとって恩人でしょう?そんなことしないわよ。」

「俺は魔物だぞ。」

「だから?」

「怖くないのか?」

「うっさいな!何回言わせんのよ!!ぜーんぜん怖くないわよ!ボケ!!村の女の子に会うのにびびってるだけの小物がよぉ。」

「な…!」

「そうでしょう?いいから勇者様運んでよ。村に帰るわよ。」

ミランは観念したのか勇者様をおんぶして歩き始めた。

「村のみんなは俺の姿を見て恐怖するだろうな。」

「どうだか。あんた自分のこと買い被りすぎじゃない?」

「だって俺は人を殺める魔物だから…。」

「僕はそんなことしないよ。仲良くしてねって言ってみれば?」

「無理だよ…。目の前でドラゴンになった男が村を崩壊したんだ。俺なんてドラゴンになる前に殺せと指示されるに決まってる。」

「世の中生きづらいわね。魔物って。」

「人のままでも生きづらかったよ俺は。あのままの自分でもみんなに馬鹿にされて生きるだけだったから。もう師匠もいないし、今の魔物暮らしはそこまで悪いものじゃない。誰にも怒られないし、自由だからね。」

「ねぇ…。なんで女の子殴ったの?」

「時計の修理を頼まれたんだ。動きが変だから見て欲しいってね。その子の目の前で時計の中を開けたんだ。そしたら…中にはカメラが仕込まれていたんだ。盗撮されていたんだよ。その子は。だから中を見られないように…触るなって叩いてしまったんだ。俺も余裕がなくて…よりにもよって顔を叩いてしまった。それで…その子が泣いちゃって。それを師匠が見て…ドラゴンになってしまった。」

「………。」

「最低だろう?もっと上手く対処すればこんなことにはならなかったのに。俺の弱さが女の子も傷つけて、師匠をドラゴンにしてしまった。」

「……。」

「気づいたらこんな魔物になっちまってた。もうパニックだよ。騎士が俺を殺そうとしてきて思わず反撃したらあっさりと死んでしまった。」

「……。」

「こんな大罪を犯しておいて、死ぬのは怖いとか笑っちゃうよな。」

「貴方の罪って何?」

「は?だって女の子も師匠も騎士も…」

「女の子を叩いて死刑だなんて聞いたことないけど。」

「師匠は俺のせいで…」

「貴方のせいじゃないわ。魔族の血をひいていると魔物化するのよ。タイミングがその時だっただけ。貴方は関係ないわ。」

「騎士は俺が…」

「何もしてないのに殺そうとする相手反撃して当然じゃない?死にたくないなんて当たり前の感情よ。」

「……。」

「そうでしょう?貴方に罪なんてないわ。やりたいように自由に生きればいいのよ。」

「やりたいことなんてないよ。」

「じゃあ今から探せば?まだまだ人生これからなんだから。」

「……うん。」

「私のね。おばあちゃんも魔物化したの。」

「え…。」

「完全に魔物になる前に氷漬けにした。おばあちゃんを元に戻すために魔王を倒す旅をしてるの。」

「そうなんだ…。助かるといいね。おばあちゃん。」

「ありがとう。」

「君の勇者様なら魔王を倒せるよ。きっと。」

「うん。私の勇者様は最強なの。」

「旅が終わったらさ、また会いにきてよ。」

「え?なんで?」

「だって君は…*****だろう?」

 

 

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