第11話 魔物ミラン
「え〜?このお子様2人がドラゴン討伐に??絶対無理に決まってるのに。」
俺達がドラゴン討伐しようとナーチス山に向かおうとすると女の子3人組に話しかけられた。
年は俺達と変わらないぐらいだ。
「ふん。私達はあのレアジーニャ王国の王様から正式に勇者認定を受けた勇者パーティなのよ?」
「うわ。性格悪そう〜。こんなやつが勇者パーティの一員なの?こんなやつを合格させるなんてこの国やばいわね。性格悪くて顔もブサイクになってるわよ。」
取り巻きの2人もそうよそうよ。
ブサイクのくせに生意気ね。
と野次を飛ばしていた。
ランが静かに女の子を睨みつける。
どうやら敵認定をしたようだ。
「ラ、ラン落ち着い…」
そう言い終わる前にランは目の前の女の子の胸を触っていた。
「な!?」
「あっれー??貴方おいくつ?私のこと子供扱いするくせになんでお胸がぺったんこなのかしらー??何これ?本当に何もないわね。まな板すぎない?」
「ちょっと…何して…」
女の子が戸惑っていると女の子の手を鷲掴みしてランの胸を無理やり触らせた。
「!?」
「こ、れ、が、大人の胸よ。知らなかったでしょう?ブラの使い方から教えてあげようか?お子様のまな板ちゃん。」
女の子は手を振り解く
「ちょっと胸がでかいだけで調子乗ってんじゃないわよ!!」
「ちょっと?どこが?触ってわからなかった?私の胸はふかふかで気持ちよかったでしょう?まな板ちゃん。全然違うわよ!ブラつけれるようになってから喧嘩売ってこいこのまな板女ぁ!!」
「うっ。覚えておきなさい!」
そう言い残して取り巻き2人と一緒に逃げるように去って行った。
「ふん。悪役みたいなセリフで逃げやがって。やっぱり正義は勝つのよねー。」
「ランは悪の親玉のようだったけど…。」
「なんか言った?」
「いえ、何も。」
「これからこの村を救う勇者相手に失礼すぎない?この村救ってもあいつだけは不幸に落としてやるんだから。」
「同族嫌悪。」
「あんな奴と私が同じに見えるの!?」
「ちょっと性格が悪いだけだろう?」
「ハァ??私もまな板女も性格悪い女で一緒だと言ってんの?あいつは極悪人だけど、私は聖人よ!」
「どうだか…。」
「あんなドラゴン倒そうとするお人好し私以外いないんだから!」
「村を救う為じゃなくておばあちゃんを助ける為の私利私欲じゃないか。」
「この世は結果が全てなのよ。動機なんてみんな気にしないんだから。」
俺はさっきの女の子とランはそっくりだと思うけどな。
性格悪いけど…素直じゃないところとか。
心配して見に来てくれただけだと思うけどあの女の子。
これ以上言うと怒り狂いそうだから言わないけれど。村長の話によるとあの女の子達が弟子の子をいじめてたのかな。
そんなに悪い子達には見えなかったけどな。
「理由なんて関係ない。ドラゴンを倒せばこの村を救った勇者になるんだから。」
「そうだな。」
「帰ってきたらあいつら泣いて喜んで、勇者として讃えることになるんだから。覚えとけよ。」
「悪役のセリフになってるぞ。」
「いけない。いけない。勇者パーティの大鎌使いなのに。」
「魔法使いな。」
俺達はナーチス山を目指して登る。
暑さはランが常に氷魔法を纏っているおかげでだいぶ涼しく登山することが出来た。
「お子様2人で来る場所じゃないぞ。」
そう声を掛けられた。
そこにいたのは角の羽を生やした魔物だった。
話を聞いていたから誰かはすぐにわかった。
「貴方がドラゴンの弟子のミランだね。」
「村長に聞いたのか?相変わらずお喋りだな。」
「…魔物なのに自我を保っているのね。」
「中途半端な存在なだけだよ。」
「人を殺したい衝動はないの?」
「そんなものはない。でも人は俺を殺そうとするだろう?もう人ではないからな。俺を殺そうとした騎士は2人程殺したよ。殺されたくなかったからな。正当防衛だろう?」
「……。」
「お前らも俺を殺すのか?」
「いや、俺達はドラゴン討伐の依頼しか頼まれてないからね。余計な体力は使いたくないんだ。そっちに戦う意思がないなら好都合だよ。こちらも戦いたくはないからね。」
「本気でドラゴンを倒せると思ってんのか?」
「当たり前でしょう?何のためにここまで登ってると思ってんのよ。そっちこそあのドラゴンは師匠なんでしょう?ドラゴンを倒す私達は敵なんじゃないの?」
「あれはもう師匠じゃないよ。話しかけたけれど何も反応してくれなかった。俺の師匠はもう死んだ。あれはただの炎のドラゴンだ。」
「そう。むしろ早くドラゴン討伐して欲しいような話し方するのね。」
「…師匠は本当に優しい人だったんだ。こんなこと望んでるわけがないからな。」
「村を破壊してること?」
「そうだ。」
「ミランが女の子に虐められたからマグタットが怒ってドラゴンになったと聞いたけど?」
「な…!違う!!俺が…女の子を叩いてしまったんだ。それを師匠が怒って…俺が…全部悪いんだ……。」
「まな板女に虐められたから叩いんでしょう?正当防衛よ。」
「違う!!彼女は何も悪くない!!僕が…もっと強かったらこんなことにはならなかったんだ…。」
「あっそ。もう終わったことだし私達はどうでもいいのよ。そんなことは。あんたドラゴン倒して欲しいんでしょう?弱点とか知らないの?」
「そんなのはわからないよ。」
「使えない魔物ね。」
「……。」
「ランやめろってそんな言い方するなよ。」
「魔物を倒せるのは勇者だけだ。力の強さじゃない。心が清く美しい者じゃないと魔物に傷を負わせることも出来ない。」
俺達は目を見合わせる。
そして俺は笑った。
「どうりでランがスライム一匹も倒せないはずだ。」
「信じられない!私程心が清らかの人はいないのに!!この世界の倫理観の方がおかしいわよ!私だって心が清く美しいのに!!」
「スライム倒せないくせになんでこんなところまで来たんだよ…。」
「もちろんドラゴン討伐する為よ。」
「出来るわけなくね?」
ランは両手を広げてにっこりと微笑みながら答えた
「この世で一番お人好しで、清くて美しい心の勇者様がいるからね!私の勇者様は世界で一番強いんだから!!」




