帰郷
恐ろしく微妙ではありますが温かい目でお読みくださいお願いします
戦場での功績が認められ昇格することが決まった。故郷の山では桜が綺麗に咲く頃のことだった。自分の幸せのために生き延びようとしていた義尚はいつからか最前線で死と隣り合わせで過ごす日々から脱却したいという野望を抱いていた。
だからこそこれはとても嬉しい知らせであった。
昇格の手続きやなにやらのために戦場から離れ流ことに決まった。またもや嬉しいことに手続きは故郷からそう遠くないところで行われるというものだった。両親や妹に会うことはとても楽しみだったしあれから12年、妹の成長した姿をみたくてワクワクしていた。
手続きとおまけ程度の式典はすぐに終わった。異動命令が出る前にすぐさま故郷に向かった。そう、向かったのだ。故郷は山に囲まれていたから手前の山頂から故郷を見渡せたのだがそこにはもうなにもなかった。
宿に引き返す途中で見知った顔を見かけた。
昔よく村に来ていた郵便屋だった。彼は僕の顔を見るなり驚いた顔をして声をかけて来た。
「あんさん、戦争にいったのじゃろ?よく帰って来れたなあ」
「おうよ。家族のためにと涙を飲んで戦地に赴いたんだ。なのにやっとこさ帰って来られたと思ったら帰る場所がなくなっててよお、笑っちまうだろう?」
もう陽も暮れたようで月が彼らを青白く照らしていた。義尚にとっての久々の寒い春の夜であった。
遂に異動命令が出た。
狐の鳴き声が山に響いた
つづく




