忘却
初投稿です
中2くさい稚拙な分ではありますが気が向いたらご拝謁いただきたい
「アダムが耕しイヴが世界を紡いだ時、誰が貴族であったか」
ジョン•ボールの有名な言葉だ。
かなしいかな、人間の歴史には常に貧富の差あるいは上下関係というものがついて回るのだ。
他者より上に、幸福にというのは人間が本来生まれ持った動物的本能の名残なのだろう。
そしてこの僕、新田義尚もその本能に則り生きてきた。
昔から運動も勉強もできたから周囲の人間に見せつけるかのような行動をとってきた。
だからこそ、だからこそいま僕はこの愚かな本能に憎悪を向けているのだ。
届いてしまったのだ。
「お国のために死になさい」という狂気の沙汰としか思えない命令が。
「人は幸福のために他者を犠牲にするのだ」
僕の14年間の人生の中で見つけた世の中の理はこの一言に尽きる。
はずだった
命令が出てしまったからには背くことはできない。
僕が背けば両親や幼い妹が殺されてしまうだろう。
情けない事に死ぬことはこわい、逃げ出してしまいたいと何度思ったことか…しかし僕の中のなにかは許してくれなかった。この人たちの幸せこそ僕の幸せなのだ、と。
ろくに経験もないのに戦地に向かわされた。生きるために殺したし奪いもした。これが僕の幸せの礎になるのだと信じて疑わなかった。
何時ものように倒した敵兵の食糧を奪おうとした。懐が膨らんでいたからここに入れているのだろうと手を突っ込んだ。予想は外れた。握ったのはたくさんの紙。どのようなものかを確認したかったがここは戦場、殺されるわけにはいかないから懐に紙を突っ込んで任務に戻ることにした。
兵士に自由時間などあるはずもなく中身を見ることもできずに何日も何日も戦い続けるうちにその存在など忘れてしまった。
つづく




