脱出は完璧でごわす!
おいどんが悪代官を倒してから一時間もしないうちに、ネオ武家屋敷は包囲されていた。
「突入っ!」
「「ノコッタノコッタ!!!」」
掛け声からして、突入していくのはドスコイトルーパー達。軍が保有している力士型の重装歩兵だ。どうやら軍警察も、ようやく重い腰を上げたらしい。
「悪の根を、ひとつ絶った。今夜はこれで十分でごわす」
おいどんは既にネオ武家屋敷を抜け出し、野次馬に紛れて突入を見物していた。こうして群衆に紛れつつ現場から離れれば完璧だ。そう思いながら、さっき着た浴衣の襟をなおす。
「脱法ちゃんこの流通ルートを押さえろ! 書類に端末、メモ書きひとつ見逃すな!」
「「ごっつぁんです!!!」」
装甲力士輸送車のハッチから身を乗り出し、指示を飛ばす指揮官。そのヘルメットには、格式高い大銀杏アンテナが輝いていた。
「ふっ……元気そうでごわすな」
久しぶりに聞いた友の声に嬉しさを覚えつつ、ゆっくりと現場から離れた。
「むっ!?」
しかし余韻に浸る暇もなく、おいどんの髷アンテナに通信が飛び込んできた。どうやら廃相撲部屋に侵入者。しかも、建物が揺れている。攻撃か?
「急ぐでごわす!」
おいどんは現場から距離を取るにつれ、徐々に歩みを速めた。すり足は早足へ、早足は駆け足へ。
夜のネオ両国シティーに、一陣の風が駆け抜けた。
Cパート終了、これで一区切りとなります。
楽しんでいただけたでしょうか?
この4話構成で毎日投稿をしていきますので、ぜひ読んでいただけますと嬉しいです。




