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使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~  作者: チョコ大福


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46/53

第46話:鉄壁の包囲網と、レムの決意

登場人物

レイン・アークライト

主人公。アイゼンヴァルト家の絶対防御を打ち破るため、レジスタンスの隠れ家をあとにして要塞の深部へ進む心優しき召喚師。

ファル

レインの相棒である小龍。白色の翼を鋭く翻し、要塞の狭い通路での戦闘で先陣を切る。

フェリル

第弐位階(成長期)へと進化したウルフ。敵の重装甲部隊の気配を鋭い感覚で察知し、死角から急襲する。

ポルカ

第弐位階(成長期)へと進化したゴーストのマスコット。仲間たちの周囲に多層的な幻影障壁を展開し、敵の視覚を惑わす。

シルビア・ローゼンベルク

エリート召喚師。アイゼンヴァルト家の重装甲ゴーレムの魔導回路を分析し、的確な戦術指示を飛ばす。

ルナ

第弐位階(成長期)へと神々しく進化した白銀の狐。月光の魔力を纏い、敵の急所を鋭く見抜く。

ギル

第弐位階(成長期)へと進化したグリフォン。やや天井の低い要塞内でもその卓越した機動力を活かして上空から援護する。

エルミナ

心優しきエルフ族の聖職者。激しい戦闘の中で負傷する仲間を神聖魔法で絶え間なく癒やす。

レム

廃棄ブロックから救出された小型の鉱石ゴーレム。小さな体ながら、要塞の構造を活かしたサポートで戦闘に参加する。

ヴィルヘルム (Wilhelm)

アイゼンヴァルト家の重装甲ゴーレム部隊を率いる冷徹かつ誇り高き精鋭幹部。要塞の安全を脅かすレインたちの前に厳格に立ち塞がる。

前書き

『使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~』第46話をお届けします!

前回、レジスタンスのリーダー・ガレットと合流し、要塞内部の情報を得たレイン一行。第45話からは、いよいよ要塞の深部へ向かう途中で、アイゼンヴァルト家の精鋭幹部・ヴィルヘルムが率いる重装甲ゴーレム部隊との緊迫したタクティカルバトルが幕を開けます! 狭い空間での知略とチームの連携、そしてレムの健気な初陣をお楽しみください!

レジスタンスの隠れ家で束の間の休息と作戦確認を終えたレイン一行は、アイゼンヴァルト家の当主が待つ最上階「統御の間」を目指し、再び要塞の深部へと足を踏み入れていた。

ガレットたちレジスタンスが用意してくれた非公式の魔導リフトを使い、一般の兵士たちが利用するメインルートを大きく迂回しながら、要塞のさらに下層から中層へと垂直に移動していく。

「リフトの停止位置から先は、かつて鉱石の搬送に使われていた太い配管通路よ。そこを抜ければ、ヴィルヘルムの率いる重装甲部隊の巡回エリアに出るわ。気をつけて、あそこの警備はこれまでの区画とは比べ物にならないほど厳重よ」

シルビアはエメラルドグリーンの瞳をタブレット型の魔導図面に向け、冷静な声で仲間たちに注意を促した。

「わかった。みんな、気を引き締めて行こう。何かあればすぐに僕の青い魔方陣でカバーするよ」

レインが優しく微笑みながら仲間たちを見渡すと、ファル(小龍)が『任せておいて! 僕の新しいブレスの練習相手にもちょうどいいかもね!』と頼もしく白色の翼を小さく揺すった。

その傍らで、新しい仲間の小型ゴーレム・レムも、自分の小さな両手をコツコツと合わせて『キュピッ!』と気合十分な電子音を響かせた。廃棄されていた頃の怯えた様子はすっかり消え失せ、今は仲間たちと共に戦うという強い意志がそのスカイブルーのコアの光から満ち溢れていた。

魔導リフトが静かに目的の階層に到着し、重い金属の扉が音を立てて開いた。

そこに広がっていたのは、黒光りするアダマンタイトの壁面で囲まれた、冷徹で無機質な巨大な回廊だった。通路のあちこちに魔導灯が青白い光を投げかけ、規則正しい足音とともに、アイゼンヴァルト家の正規兵たちが巡回を行っている気配が伝わってくる。

「フェリル、前方と左右の様子はどうだい?」

レインが小声で尋ねると、ウルフのフェリルはピンと立てた耳を微かに動かし、低い声で応じた。

「ワン……前方五十メートルの交差点に、重装甲のゴーレム部隊が三体。さらにその後方から、人間とゴーレムを率いる統率者の気配が近づいている。動きに一切の隙がない……歴戦の部隊だよ」

「さすがフェリル、見事な索敵ね。なら、正面から堂々とぶつかるのは得策じゃないわね。ポルカ、私たちの姿を隠して」

シルビアの指示を受け、ゴーストのマスコット・ポルカはふんわりとした霊体を揺らし、特殊な隠密の霊的ヴェール『ファントム・ヴェール』を展開した。

青白く揺らめく光の粒子がレインたちの全身を包み込み、周囲の壁の模様と同化させる。気配も魔力反応も抑え込まれたことで、すぐ近くを通り過ぎる巡回兵士たちにも気づかれないまま、一行は順調に回廊の陰を進んでいった。

しかし、アイゼンヴァルト家の精鋭部隊の警戒網は、彼らが想像していた以上に狡猾で緻密だった。

「――そこまでだ。不審な魔力波の乱れを感知した。幻影障壁イリュージョンの類か、それともただの侵入者か……あぶり出せ!」

突如として、冷徹で威厳に満ちた男の声が回廊の静寂を切り裂いた。

ギシリ……と重い金属音が響き渡り、通路の天井と壁面に設置されていた隠し魔導センサーが一斉に強烈な赤い光を放ち、ポルカの展開していた隠密ヴェールを強引に剥ぎ取ったのだ。

「しまった……! 見破られた!?」

シルビアが息を呑んだ瞬間、目の前の空間を遮るように、数体の重厚なアダマンタイト・ゴーレムがガシャァァンッ!! と音を立てて地響きとともに降り立った。

その中央に、漆黒の重装甲騎士服を身に纏い、冷たい光を放つ長剣を携えた一人の男が悠然と姿を現した。

アイゼンヴァルト家の重装甲部隊を率いる精鋭幹部――ヴィルヘルムだった。

彼は鋭い眼光でレインたちを睥睨し、冷ややかに唇を歪めた。

「我がアイゼンファルスの防衛網を舐めてもらっては困るな。下層の鼠どもがレジスタンス気取りで潜り込んだところで、このヴィルヘルムが率いる鉄壁の部隊の前では、ただのゴミ屑にすぎん」

ヴィルヘルムの低く通る声には、絶対的な自信と冷酷なまでの支配欲が宿っていた。

「ゴミ屑なんかじゃない……! 彼らが生きるために流した涙や、ここで踏みにじられてきた命を、君たちは踏みにじっているんだ!」

レインは一歩も引かず、まっすぐな瞳でヴィルヘルムを睨み返した。その足元から、清らかな青い魔方陣が静かに、しかし力強く広がり始めた。

「ほう……それが白薔薇の都を狂わせたという、あの忌々しい『使われざる者の魔力』か。くだらん……力こそが秩序であり、鉄の掟こそがこの要塞の絶対的正義だ。叩き潰せ!」

ヴィルヘルムが冷たく命じると同時に、目の前に立ち塞がる重装甲ゴーレムの群れが一斉に突撃を開始した。

ズズズズズッ……!! と大地を揺るがす圧倒的な質量。

通常の物理攻撃や魔法を完全に弾き返すアダマンタイトの装甲を纏ったゴーレムたちが、巨大な鉄拳を振り上げてレインたちに襲いかかる。

「来るわよ! みんな、散開して!」

シルビアの叫びを合図に、戦闘の火蓋が切って落とされた。

「ボクに任せてよ!」

上空から素早く滑空してきたグリフォンのギル(第弐位階・成長期)が、その翼を大きく羽ばたかせて強烈な竜巻の風圧『ガスト・テンペスト』を放ち、先頭を走るゴーレムの足元を大きく狂わせた。

しかし、重装甲ゴーレムはその強風に耐え抜き、ビクともせずに前進を続ける。

「硬い……! さすがアイゼンヴァルト家の精鋭ね、ギルの風圧でも足が止まらないわ!」

ルナが身を翻し、気高い月光の波動を纏ってゴーレムの側面に飛びかかり、鋭い爪でその関節の隙間を狙うが、硬質な装甲から火花が散るだけで決定的なダメージには至らない。

「なら、僕たちの出番だね! フェリル、レム、合わせるよ!」

レインの合図を受け、ウルフのフェリル(第弐位階・成長期)が高速の残像を残して地面を蹴った。

フェリルは敵の重い一撃を紙一重でかわすと、ディーンから教わったヒントを思い出し、ゴーレムの装甲の継ぎ目――魔力共鳴の弱点となっているポイントへ向けて牙を剥いた。

「ワンッ! 『ファントム・ファング』!!」

フェリルの高速の連続牙撃が、ゴーレムの装甲の一点を正確に捉え、一時的にその分子構造の同調を揺るがせた。

「今だ……! キュピーーッ!!」

その瞬間に動いたのは、小型ゴーレムのレムだった。

レムは全長30センチの小さな身体を活かし、フェリルが開けたほんのわずかな装甲の隙間へと、まるで弾丸のようにスルスルと飛び込んだ。レムの胸元のスカイブルーのコアから放たれる純粋な魔力が、ゴーレム内部の古い強制支配の魔導回路へと直接突き刺さる。

「カチッ……キキキ……パリンッ!!」

レムが内部の回路を絶妙なタイミングでジャミングし、さらにエルミナが放った神聖なる光の波動『セイクリッド・ブレス』がその隙間へ流し込まれたことで、無敵を誇っていたはずの重装甲ゴーレムの一体が、ガタガタと激しい音を立ててその場で機能を停止し、崩れ落ちた。

「なっ……!? 我が精鋭ゴーレムが、あのような小型の欠陥品ごときに内部からハッキングを……!?」

それまで余裕の表情を崩さなかったヴィルヘルムが、初めて目を見張り、信じられないものを見るような目でレムを凝視した。

「レム、すごいぞ! やったね!」

ファル(小龍)が上空から嬉しそうに声を弾ませ、レムは『キュピッ!』と誇らしげに両手をパタパタと動かしてレインの足元へとピョンと飛び戻ってきた。

しかし、ヴィルヘルムはすぐに冷酷な笑みを取り戻し、長剣を引き抜いて自ら前へ出た。

「フン……小賢しい真似を。だが、数体のゴーレムが潰されたところで、我が部隊の真価はここからだ。貴様らのその甘ったれた絆ごと、この要塞の鉄の底に沈めてやる!」

ヴィルヘルムが纏う魔力が急激に膨れ上がり、周囲の空間全体に重苦しいプレッシャーが満ちていく。

さらに多くの重装甲ゴーレムが次々と回廊の奥から姿を現し、レインたちを完全に包み込もうとしていた。一歩も引けない絶望的な物量差の前に、パーティはかつてないほどの緊迫した局面へと追い込まれていく。

しかし、レインの瞳に怯えの色は微塵もなかった。

「どんなに鉄の壁が厚くても、僕たちの絆と、仲間を護りたいっていう想いは絶対に折れない……! さあ、行くよ、みんな!」

レムの勇気ある初陣の成功をバネに、要塞の深部を揺るがすさらなる激闘へと、レイン一行は一歩も引かずに立ち向かっていくのだった――!

後書き

第46話「鉄壁の包囲網と、レムの決意」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

アイゼンファルスの深部で、精鋭幹部ヴィルヘルムが率いる重装甲ゴーレム部隊との緊迫したタクティカルバトルを描かせていただきました。新仲間のレムが小さな体を活かして見事に初陣を飾り、チームの連携がさらに深まる熱い展開を楽しんでいただければ幸いです!

次回の第47話では、ヴィルヘルムとの激戦がさらに激化し、アイゼンヴァルト家の当主が待つ最上階へと迫る中で、パーティがさらなる試練と絶望の包囲網に直面するエピソードへ突入していきます……!

ブックマークや評価、いいねなどをポチッと押していただけると、執筆のモチベーションがものすごく跳ね上がります!

それでは、第47話でお会いしましょう!

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