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使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~  作者: チョコ大福


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45/53

第45話:要塞の隠れ家と、レムが示す小さな奇跡

登場人物

レイン・アークライト

主人公。アイゼンヴァルト家の絶対防御を打ち破るため、仲間たちと共に要塞都市アイゼンファルスの深部へ潜入を進める心優しき召喚師。

ファル

レインの相棒である小龍。白色の翼を小さく畳みながら、新しく仲間に加わったレムの動きを温かく見守る。

フェリル

第弐位階(成長期)へと進化したウルフ。要塞内部に張り巡らされた複雑な魔導監視網や兵士の気配を的確に察知する。

ポルカ

第弐位階(成長期)へと進化したゴーストのマスコット。レムの小さな身体を青白い光で優しく包み込み、移動をサポートする。

シルビア・ローゼンベルク

エリート召喚師。アイゼンファルスの高度な魔導障壁の隙間や、レジスタンスとの合流ルートを冷静に分析する。

ルナ

第弐位階(成長期)へと神々しく進化した白銀の狐。要塞全体に漂う重苦しい魔力を読み解き、安全な道を選ぶ。

ギル

第弐位階(成長期)へと進化した誇り高いグリフォン。上空の警戒網を避けつつ、要塞の広大な構造を把握する。

エルミナ

心優しきエルフ族の聖職者。要塞の過酷な環境に耐える人々の息吹を感じ取り、静かに心を寄せる。

レム

アイゼンヴァルト家の廃棄ブロックから救出された小型の鉱石ゴーレム。小さな体と健気な心で、レインたちの潜入を導く頼もしい新しい仲間。

ガレット (Galette)

【新キャラクター】アイゼンヴァルト家の鉄の掟に抵抗する地元のレジスタンス組織のリーダー格である屈強な元・職人。

前書き

『使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~』第45話をお届けします!

前回、要塞都市アイゼンファルスの地下廃棄ブロックで小さな鉱石人形・レムを救出し、新たな仲間として迎えたレイン一行。第44話では、レムの案内によって要塞の複雑な配管や秘密通路を抜け、反逆の鍛冶師ディーンの仲間であるレジスタンスの隠れ家へと向かうエピソードをお届けします。レムの健気な活躍や、仲間たちの温かい交流を描きました。ぜひじっくりとお楽しみください!

アイゼンファルスの冷酷な鉄の掟が支配する地下廃棄ブロックをあとにして、レインの一行は要塞のさらに奥深くへと慎重に歩みを進めていた。

周囲には、巨大な工業区画から絶え間なく響く重低音の歯車音や、鉄を削る激しい金属音がこだましている。頭上を通過する魔導リフトの明かりが薄暗い通路を不気味に照らし出す中、パーティの先頭に立っていたのは、他でもない小型ゴーレムのレムだった。

「キコ、キュピッ……!」

レムは全長わずか30センチほどの小さな身体をぴょこぴょこと弾ませながら、迷うことなく複雑に入り組んだ配管の隙間や、一般の人間が見落としてしまうような古いメンテナンス用の狭い横穴へとスルスルと入っていく。胸元のコアから放たれるスカイブルーの純粋な光が、足元の暗がりを優しく照らし出していた。

「すごいね、レム! ここがどこに通じているか、全部わかっているのかい?」

レインがかがみ込みながら優しく声をかけると、レムは嬉しそうに小さな金属の両手をパタパタと動かし、自信満々にコクコクとうなずいて見せた。

ファル(小龍)もふわりとレムの頭のすぐ上を並んで飛びながら、『レム、すごいなあ! おかげで頑丈な見回り兵士の目をすっかり隠れながら進めるよ!』と楽しげに声を弾ませた。

ディーンからあらかじめ聞いていた情報によれば、アイゼンファルスの内部は幾重もの魔導監視網によって完全に管理されており、正規の大通りや広い通路を歩くだけで一瞬で位置が特定される仕組みになっていた。しかし、この要塞の建設や拡張の過程で無数に作られた古い配管網や放棄された点検通路は、アイゼンヴァルト家の監視システムから完全に外れた「死角」となっていた。

そして、その非公式の通路の構造をもっとも熟知していたのが、かつてこの下層の製造現場で使い捨てのパーツとして酷使されていたレム自身だったのだ。

「レムのおかげで、本来なら何重もの検問を突破しなきゃいけない区画を、こうして安全にすり抜けられているわ。本当に大したものね」

シルビアはエメラルドグリーンの瞳を感心させたように細め、レムの頭をそっと撫でた。

レムはシルビアに頭を撫でられると、照れくさそうに(あるいは嬉しさのあまりに)体全体の青い光をほのかに強く瞬かせ、『ピキュッ!』と誇らしげな電子音を響かせた。

その様子を後ろで見守っていたフェリルやポルカ、そしてルナも、どこか微笑ましげに目を細めていた。

「この小さな子が、これほど頼もしい案内役になってくれるとはね。アイゼンヴァルト家の人たちは、こんなにも素晴らしい宝物を『欠陥品』だと言って捨てていたのだから、まったく見る目がないわね」

ルナが優雅に尾を揺らしながら冷ややかに鼻を鳴らすと、上空で気配を消して先行していたグリフォンのギルが舞い降りてきて報告した。

『みんな、前方に大きな鉄の扉が見えてきたよ。どうやら、ディーンさんが言っていたレジスタンスの隠れ家みたいだ』

ギルの言葉通り、細い点検通路を抜けた先にある行き止まりの壁面には、古びた魔導施錠が施された重厚な鉄の扉が静かに佇んでいた。

しかし、その扉の表面には、アイゼンヴァルト家のものとは異なる、手彫りの小さな星のマーク――ディーンから伝えられていた「友好的な合図」の刻印がひっそりと刻まれていた。

「ここだな。レム、開けられるかい?」

レインが優しく尋ねると、レムはピョンと跳ね上がって小さな金属の指先を扉の魔導ロックの継ぎ目にスライドさせた。レムの胸元のコアから発せられる純粋な魔力周波数が、古いロック機構の暗号と繊細に同調する。

――カチッ……シュコッ……!

重苦しい音を立てて、隠れ家の扉がゆっくりと内側へと開き、温かなランタンの光が漏れてきた。

「……誰だっそこは!?」

扉が開いた瞬間、室内から鋭い気配とともに、頑丈な魔導盾を構えた屈強な男たちが一斉に警戒の視線を向けてきた。その中心に立っていたのは、鍛え上げられた巨体に歴戦の傷跡を残した、レジスタンスのリーダー格であるガレットだった。

ガレットは険しい表情で通路を睨みつけたが、そこに立っていたのが数名の人間と、見慣れない美しい魔獣たち、そして足元でちょこんと愛らしくこちらを見上げる小さな鉱石ゴーレムの姿であることに気づき、わずかに目を丸くした。

「まて、お前たちは……まさか、アークスヴェールのディーンから連絡を受けていた……白薔薇の都を解放したという噂の召喚師の一行か……!?」

ガレットが驚愕の色を浮かべながら問いかけると、レインはいつもの柔らかな笑みを浮かべて一歩前に出た。

「はじめまして、レイン・アークライトと申します。ディーンさんの紹介で、このアイゼンファルスの要塞へ入らせてもらいました。あなた方がここのレジスタンスの皆さんですか?」

レインが名乗ると、ガレットは大きく息を吐き出し、構えていた盾を下ろして豪快に笑い声をあげた。

「はっ、まさか本当にここまでたどり着くとはな! ディーンからお前たちの話を聞いたときは半信半疑だったが……よくぞあの厳重な監視網をかいくぐってくれた!」

隠れ家の内部へと招き入れられたレイン一行は、レジスタンスのメンバーたちから温かく迎え入れられた。

室内はそれほど広くはないが、アイゼンファルスの鉄の掟に絶望しながらも、いつか必ず自由を取り戻そうと立ち上がった者たちの熱気と強い連帯感で満ちていた。

新しく仲間に加わった聖職者エルフのエルミナは、さっそく部屋の隅で過酷な労働によって負傷しているレジスタンスの負傷者のもとへ歩み寄り、その傷口を温かな神聖魔法で優しく癒やしはじめた。

「ありがとうございます……聖職者様のおかげで、痛みが嘘のように引いていく……」

負傷した若い男が深く感謝すると、エルミナは優しく微笑んで首を横に振った。

「いいえ、無理をなさらないでください。皆さんがこうして希望を捨てずに戦っているからこそ、私たちはここにたどり着くことができたのですから」

一方、テーブルの囲みでは、シルビアとガレットが要塞内部の詳細な構造図や、アイゼンヴァルト家の当主が敷いている防衛網の配置について熱心な作戦会議を始めていた。

「ガレットさん、アイゼンヴァルト家の当主が現在どこにいるか、居場所の特定はできているかしら? 私たちは、あの『絶対防御』の根源を断ち切るために、最深部へ向かう必要があるの」

シルビアが冷静な瞳で問いかけると、ガレットは険しい顔つきで腕を組み、うなずいた。

「ああ……当主であるバルドルフ・アイゼンヴァルトは、要塞の最上階にある『統御の間』に陣取っている。そこは、要塞全体の魔導エネルギーを集中させた超重量級ゴーレムの格納庫と直結しており、文字通りこの街で最も堅牢に守られた聖域だ。正面から近づけば、数秒で蜂の巣にされるか、圧倒的な重圧に押し潰されるのがオチだろうな……」

ガレットの言葉に、部屋の空気がわずかにピリッと引き締まった。

しかし、その重苦しい雰囲気を和らげるように、足元でちょこちょこと動き回る小さな影があった。

レムが、レジスタンスの子供たちが遊んでいた古い木製のブロックを見つけて、自分の小さな腕で一生懸命に積み上げようとしていたのだ。しかし、バランスが崩れてガラガラと崩れてしまうと、「キュピ……?」と首を傾げて愛らしいポーズをとってみせた。

その健気で愛らしい様子に、部屋にいたレジスタンスのメンバーたちからも「なんだあいつ、めちゃくちゃ可愛いじゃないか」「廃棄ブロックから拾ってきたって本当か?」と、張り詰めていた緊張の糸がほぐれるような温かい笑い声が漏れた。

ファル(小龍)もふわりと降り立ち、レムと一緒に新しいブロックを上手に積み上げて手伝ってあげた。

「ふっ、殺伐としたこの要塞の中に、こんな温かい風を持ち込んでくれるとはな……。お前たちを見ていると、本当にこの鉄の掟を打ち破れるんじゃないかという気がしてくるぜ」

ガレットは豪快に笑いながら、レインの肩をガツンと叩いた。

レジスタンスの隠れ家という安全な拠点を得て、要塞内部の詳細な情報と、最深部へ向かうための具体的な道筋を確実に手に入れたレイン一行。

小さな鉱石人形レムの案内と仲間たちの強い絆を胸に、彼らはいよいよ、アイゼンヴァルト家の絶対防御を砕くための決戦前夜――緊迫の最終作戦へと動き出すのだった!

後書き

第45話「要塞の隠れ家と、レムが示す小さな奇跡」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

レムの小さな身体と優れた構造知識によって要塞の監視網を華麗にかいくぐり、反逆のレジスタンスリーダー・ガレットとの合流を描かせていただきました。シリアスな要塞都市の空気感の中にある、レムの健気な可愛らしさや仲間たちの温かい交流を楽しんでいただければ幸いです!

次回の第46話では、要塞の深部へ向かう途中で立ちはだかるアイゼンヴァルト家の重装甲ゴーレムの群れとの、知略と連携が試される緊迫のタクティカルバトルが幕を開けます……!

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それでは、第46話でお会いしましょう!

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