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使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~  作者: チョコ大福


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36/53

第36話:白薔薇の亀裂と、改革派の使者

登場人物

レイン・アークライト

主人公。アークライト家を出奔し、ミニドラゴンのファル、第弐位階(成長期)に進化したウルフのフェリル、同じく第弐位階(成長期)へと進化したゴーストのポルカ、召喚師の少女シルビア、白銀の狐ルナ、グリフォンのギルと共に旅を続ける心優しき召喚師。

ファル

レインの相棒である手のひらサイズのミニドラゴン。特務隊との戦いを勝利で終え、隠れ家の子供たちと一緒にはしゃぎながらも次の作戦に胸を躍らせる。

フェリル

レインの相棒であるウルフ。第弐位階(成長期)への進化を経てさらに頼もしくなり、隠れ家の周囲の警戒を抜かりなくこなす。

ポルカ

第弐位階(成長期)へと進化を遂げたゴーストのマスコット。隠れ家の仲間たちに優しい光のヴェールを張り巡らせ、安心感を与えている。

シルビア・ローゼンベルク

実家の本拠地で、かつて自身を縛り付けていた冷酷な一族のシステムを打ち破るため、恩師ヴァルターと共に次の反撃作戦を練るエリート召喚師。

ルナ

シルビアの相棒である気高く美しい白銀の狐。一族の内部に生じている亀裂や、新たな来訪者の魔力の性質を鋭く見抜く。

ギル

誇り高い魔獣「グリフォン」の幼体。地下水路の通気口や地上への抜け道を上空から見張り、パーティの安全を守る。

ライル

レインたちに救われた見習い召喚師の少年。戦いを経て少し大人びた表情を見せ、隠れ家の仲間たちのサポートに励む。

ヴァルター

シルビアの元教育係である初老の元上級召喚師。地下の隠れ家を束ねる長として、レインたちと共に冷静な作戦会議を主導する。

ジュリアン

【新キャラクター】ローゼンベルク家の本家に属しながらも、当主の強権的な支配に疑問を抱き、ひそかに改革の機会を窺っていた若きエリート召喚師の青年。

前書き

『使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~』第36話をお届けします!

前回、ローゼンベルク家の特務隊による地下隠れ家への奇襲を、第弐位階(成長期)に進化を遂げたフェリルやポルカたちの活躍で見事に退けたレインたち。第36話からは、いよいよ一族内の亀裂と「改革派」の協力者編へと突入します。本家との全面対決へ向けて、敵組織の内部から届いた思いがけない協力者との出会いや、より深いドラマを描くエピソードです。ぜひじっくりとお楽しみください!

地下採掘場跡の広場は、特務隊の襲撃を退けた高揚感と、仲間たちを護り抜いたという確かな連帯感に包まれていた。

激しい戦いの痕跡こそ残っているものの、中央の焚き火の周りでは、傷が癒えた魔獣たちがリラックスした様子で身を寄せ合い、若い召喚師や住民たちが笑顔でお互いを労い合っている。

そんな穏やかな空気の中、隠れ家の奥にある広めの会議スペースでは、レイン、シルビア、ヴァルター、そしてルナやファルたちが集まり、今後の本格的な反撃に向けた緊密な作戦会議が開かれていた。

「特務隊をあれほどの規模で返り討ちにしたとなれば、ローゼンベルク家の本家――『白薔薇宮』の当主や長老たちも、ただの小競り合いではないと気づいているはずだ。次の手は、これまで以上に強烈なものになってくるだろう」

ヴァルターは古い羊皮紙で作られた白薔薇の都ローゼニアの詳細な都市図をテーブルの上に広げ、険しい表情でそう語った。

シルビアは腕を組み、エメラルドグリーンの瞳を地図の上の特定の一点――街の中心にそびえ立つ白薔薇宮の構造へと向けた。

「ええ、その通りね。正面から真正面突破を仕掛けるだけでは、宮殿の内部に張り巡らせられた大規模な強制契約の結界や、膨大な防衛魔獣の群れに押しつぶされてしまうわ。何か、内部の防御を無力化するか、あるいは混乱に乗じて一気に中枢へ踏み込むための『抜け道』が必要よ」

「ふふ、心配しなくても大丈夫さ。僕たちは一人じゃない。地下にいるこれだけの仲間たちの想いと、街で苦しんでいる人たちの願いが一つになれば、どんな硬い扉だって必ずこじ開けられるよ」

レインがいつもの優しく温かい笑みを浮かべてそう告げると、その場の空気がパッと明るくなり、緊張で張り詰めていた一同の表情がふっと和らいだ。

肩の上にちょこんと乗っていたファルも、『そうだよ! 僕たちには負ける気がしないもんね! レインの青い魔方陣と、みんなの力があれば百人力さ!』と小さな翼を力強くパタパタさせて同意した。

フェリルとポルカも、第弐位階(成長期)へと進化した頼もしい体躯をゆったりと落ち着かせながら、主の言葉に力強くうなずいた。

その時、地下水路のさらに奥、普段は厳重に施錠されている「秘密の緊急搬入ルート」の方角から、コツ、コツ、と静かで上品な足音が聞こえてきた。

――ピリッ!

ルナが真っ先にピンと耳を立て、警戒するように低い姿勢をとった。

『……待って。外の警備網を巧みにすり抜けて、ここに近づいてくる一つの気配があるわ。……ただの刺客の魔力じゃない。非常に洗練された、しかしどこか切羽詰まったような高貴な魔力の持ち主よ……!』

ルナのその鋭い警告に、ヴァルターやライルをはじめとする隠れ家の住人たちが瞬時に武器を構え、通路の入口へと視線を集中させた。

「誰だ……! ここが隠れ家だということを知る者は限られているはずだ。下がっていてくれ、シルビア様、レイン君!」

ヴァルターが杖を突き出し、一歩前へ出たその瞬間、通路の陰からスッと姿を現したのは、一着の上質な仕立ての貴族風コートをまとい、銀色の髪をきれいに整えた一人の若者だった。

その胸元には、紛れもなくローゼンベルク家の高位のエリート召喚師であることを示す紋章が光っていた。

「待って、ヴァルターさん! 攻撃しないで……! その人は……!」

シルビアは若者の顔を真正面から見据えると、驚きに目を見開きながらそう叫んだ。

若者は息を少し切らせながらも、その整った顔立ちに真摯な決意の色を浮かべ、両手を軽く上げて敵意がないことを示した。

「……久しぶりだね、シルビア。君が家を出奔してからずっと噂だけは聞いていたけれど……まさか、本当に我が家の地下深くで、このような大規模なレジスタンスを築き上げているとは驚きだったよ」

「ジュリアン……!? 本当にあなたなの……!?」

シルビアは信じられないというように名前を呼んだ。

ジュリアンと呼ばれたその青年は、かつてローゼンベルク家の本家において、シルビアと同じ時期に次代の幹部候補として厳しく育てられた数少ない同期の一人であり、一族の冷酷な方針に内心では疑問を抱きながらも、これまでは表立った行動ができずにいた優秀なエリート召喚師だった。

ヴァルターはまだ完全に警戒を解いておらず、鋭い目でジュリアンを睨みつけた。

「ローゼンベルク家の本家に連なる者が、何の用だ。ここは我が家の支配を拒む者たちの聖域だぞ。本家の刺客として情報を探りに来たというのなら、ただでは返さん!」

ジュリアンは苦笑いを浮かべながら、ゆっくりと首を横に振った。

「誤解しないでほしい、ヴァルター先生。僕は刺客なんかじゃない。……むしろ、今の当主様や長老たちが進めている『強制支配の極限化政策』に耐えかねて、この街を、そして我が家を根本から正したいと思ってここにやってきた、いわば『改革派』の使者さ」

ジュリアンのその言葉に、会議スペースにいた全員が息を呑んだ。

ルナは静かに目を細め、ジュリアンから発せられる魔力の波動をじっと観察していたが、やがてふっと力を抜いて言った。

『……嘘をついている気配はないわね。彼の魂の奥底にあるのは恐怖や敵意ではなく、抑圧された者たちに対する強い義憤と、一族の将来を憂う純粋な痛みよ』

シルビアはジュリアンに歩み寄り、真剣な瞳で問いかけた。

「ジュリアン、一体どういうことなの? あなたが本家の人間でありながら、どうして私たちにそんなことを……?」

ジュリアンはコートの懐から一冊の分厚い魔導書と、白薔薇宮の地下構造が詳細に記された「最新の要塞図面」を取り出し、テーブルの上にそっと置いた。

「見てほしい。これが現在の白薔薇宮の本当の内部構造だ。……当主様は、先日の特務隊の失敗を受けて、いよいよ街全体の魔力を強制的に一極集中させ、すべての魔獣と召喚師の意思を完全に奪い取るという禁忌の『大強制契約儀式』を今夜にも決行しようとしているんだ」

「なんだって……!? 大強制契約儀式だと……!?」

ヴァルターが驚愕のあまり声を荒げた。

「そんなことをすれば、この街にいる何千、何万もの魔獣たちの心が焼き切れるだけでなく、それに逆らった召喚師たちまでもが廃人と化してしまう……! 当主様は、一族の誇りどころか、街のすべてを滅ぼすつもりか……!」

ジュリアンは悔しそうに歯噛みし、力強くうなずいた。

「ああ、その通りだ。あの人たちはもはや狂っている。力による支配に固執するあまり、自分たちの足元が崩れていることにも気づいていない。だから、僕は決心したんだ。かつて一族を飛び出し、本当の『絆』の力を見つけ出した君たちなら、この狂った連鎖を断ち切ってくれると信じて……!」

ジュリアンはレインにまっすぐ視線を向け、深々と頭を下げた。

「レインさん、そしてシルビア。僕に協力させてほしい。白薔薇宮の内部にある防衛結界の解除コードや、当主の居室へ通じる秘密の裏通路の鍵はすべてこの図面に記してある。僕が内側から手引きをするから、今夜の儀式が始まる前に、あの宮殿を制圧してほしいんだ!」

かつて敵対していたエリート一族の内部から現れた、思いがけない「改革派の使者」。

冷酷な支配システムに囚われていた白薔薇の都ローゼニアに、いよいよ内部からの亀裂が生じ、すべての運命を決する最終決戦への舞台が整いつつあった。

レインは差し出された図面を優しく手に取り、ジュリアンの肩にそっと手を置いた。

「ありがとう、ジュリアンさん。君のその勇気ある決断が、この街の多くの命を救うことになる。――行こう、みんな。今夜こそ、この白薔薇の都に本当の笑顔と自由を取り戻すために!」

レインの力強い宣言の下、地下の隠れ家の仲間たちと改革派の使者が一つに結ばれ、物語はいよいよクライマックスの最終決戦へと、ドラマチックになだれ込んでいくのだった。

後書き

第36話「白薔薇の亀裂と、改革派の使者」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

地下の隠れ家に、ローゼンベルク家の内部から改革を志す青年エリート召喚師・ジュリアンが「改革派の使者」として現れ、白薔薇宮の内部図面と当主の陰謀を告げる熱いエピソードを描かせていただきました。かつての同期との再会や、敵組織内部の亀裂が物語にさらなる深みを与えていると感じていただければ幸いです!

次回の第37話では、いよいよ白薔薇宮への潜入作戦が本格的にスタートし、クライマックスへ向けた息を呑むような緊迫の展開に突入していきます……!

ブックマークや評価、いいねなどをポチッと押していただけると、執筆のモチベーションがものすごく跳ね上がります!

それでは、第37話でお会いしましょう!

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