↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~  作者: チョコ大福


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
37/53

第37話:白薔薇宮の潜入と、月の導き

登場人物

レイン・アークライト

主人公。アークライト家を出奔し、ミニドラゴンのファル、第弐位階(成長期)に進化したウルフのフェリル、同じく第弐位階(成長期)へと進化したゴーストのポルカ、召喚師の少女シルビア、白銀の狐ルナ、グリフォンのギルと共に旅を続ける心優しき召喚師。

ファル

レインの相棒である手のひらサイズのミニドラゴン。白薔薇宮の巨大な城壁を前にしても物怖じせず、先導するジュリアンを小さな翼でパタパタと追いかける。

フェリル

第弐位階(成長期)に進化したウルフ。鋭い嗅覚と高速の身のこなしで、宮殿の周囲を固める警備の目を先読みして避ける。

ポルカ

第弐位階(成長期)へと進化を遂げたゴーストのマスコット。仲間たち全員の姿を完全に隠す強力な光学・霊的迷彩の障壁を展開し、潜入をサポートする。

シルビア・ローゼンベルク

実家の本拠地で、冷酷な当主の暴走を止めるため、かつての同期であるジュリアンと共に白薔薇宮の内部へと足を踏み入れるエリート召喚師。

ルナ

シルビアの相棒である気高く美しい白銀の狐。宮殿の深部から漂う強大な呪詛や強制契約の魔力を鋭く察知し、さらなる進化の予感を漂わせる。

ギル

誇り高い魔獣「グリフォン」の幼体。夜空を覆う雲の上から白薔薇宮全体の警戒網を偵察し、上空からの死角をカバーする。

ライル

隠れ家でレインたちに救われた見習い召喚師の少年。直接の潜入には参加せずとも、地下の仲間たちと共に作戦の成功を祈る。

ヴァルター

初老の元上級召喚師。隠れ家の防衛を固めつつ、レインたちの背中を頼もしく見送る。

ジュリアン

ローゼンベルク家の改革派の使者。自らの手引きで、レインたちを白薔薇宮の難攻不落の裏口へと案内する。

前書き

『使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~』第37話をお届けします!

前回、ローゼンベルク家の内部から改革を志す青年エリート召喚師・ジュリアンが隠れ家に現れ、白薔薇宮の内部図面と当主の陰謀を告げた熱い展開。第37話からは、いよいよ白薔薇宮への潜入作戦が本格的にスタートします。宮殿の厳重な防衛網を潜り抜け、当主が企む大強制契約儀式を阻止するための緊迫した潜入劇と、仲間たちのさらなる絆の描写をたっぷりのボリュームでお届けします。ぜひじっくりとお楽しみください!

地下の隠れ家でジュリアンから白薔薇宮の最新の要塞図面を受け取ってから数時間後。

夜の帳が完全に下り、白薔薇の都ローゼニアの街全体が冷たい青白い月光に包まれる頃、レインの一行は、かつてシルビアが育った因縁の場所――「白薔薇宮(ローゼンベルク城)」の巨大な外壁の真裏に到着していた。

表向きは純白の美しい薔薇の意匠が施された気高い城壁も、内側から見れば、完全に自由を奪うための冷徹な要塞そのものだった。城壁の上や要所には、最新式の魔導監視装置や、冷たい光を放つ強制契約の魔導具を装備した警備兵たちが、一定の周期で巡回を行っている。

「ここが、図面にあった裏手のメンテナンス用通用口だ。当主様や長老たちが進めている『大強制契約儀式』の準備が始まっている今、宮殿の正面や主要な回廊は厳戒態勢に敷かれているけれど、この古い地下水脈に直結する古い搬入口なら、まだ警備の目が手薄なはずだ」

ジュリアンは息を潜めながら、苔むした古い鉄の扉の鍵穴に専用の魔導パスキーをそっと差し込んだ。

カチリ、と静かな音がして、頑丈な鉄扉が音もなく内側へと開かれた。

「さすがジュリアンさん、見事な手際だね」

レインが穏やかに微笑みながら声をかけると、ジュリアンは少しだけ緊張した面持ちでうなずいた。

「急ごう。儀式の本格的な開始時刻が近づけば、宮殿全体の魔導結界が完全に活性化して、内部の移動すら難しくなる。今のうちに中枢の制御室へ近づかないと……」

ジュリアンの案内に従い、レインたちは音を立てぬよう慎重に宮殿の内部へと足を踏み入れた。

足を踏み入れた瞬間、外の冷気とは異なる、何とも言えない重く淀んだ魔力のプレッシャーが肌をピリピリと刺すように伝わってきた。それは、長年にわたってこの宮殿の中で行われてきた「強制的な支配と恐怖の歴史」が染み付いたような、嫌な気配だった。

「うう……なんだか、空気がすごく重くて、息苦しい感じがするよ……」

ポルカは第弐位階(成長期)へと進化したふんわりとした霊体を少し小さく縮こまらせながら、小声でそう呟いた。

しかし、ポルカはすぐに首を大きく横に振ると、仲間たちを守るためにその霊力をふんわりと解き放った。

「でも、みんなを護るために、僕が完璧な隠蔽の障壁を張るから安心してね!」

ポルカが展開した霊的迷彩障壁は、レインたちパーティ全員の姿だけでなく、気配や魔力の波長までも周囲の石壁の景観に同化させ、監視装置や通りがかりの警備兵の目を完全にくらませていた。

「さすがポルカ、完璧な隠密だね。ありがとう」

レインが優しく声をかけると、肩の上からファルが小さな翼をピクッと動かして警告を発した。

『レイン、前方から警備の兵士が二人、こっちの回廊に向かって歩いてくるよ!』

ファルの言葉通り、数秒後には角の向こうから、白い鎧に身を包んだ警備兵たちが足音を響かせながら現れるはずだった。

しかし、そこに割って入ったのは、第弐位階(成長期)へと進化したウルフのフェリルだった。

フェリルは地面に鼻先を近づけ、警備兵たちの足音のテンポや魔力の揺らぎを完璧に読み切ると、小さく「ワン……」と喉を鳴らして、全員をスッと死角となる大きな石柱の陰へと見事に誘導した。

警備兵たちはまったく気づくことなく、そのまま何事もないように通り過ぎていった。

「ふう……今のうちに、上の階へ続く階段へ急ごう」

シルビアはエメラルドグリーンの瞳を鋭く光らせながら、手元の要塞図面を確認した。

彼女の胸中には、かつてこの冷たい宮殿の中で孤独に怯えていた過去の記憶と、それを今、最高の仲間たちと共に打ち破ろうとしている現在の強い誇りが入り交じっていた。

「シルビア、大丈夫かい?」

レインがそっと彼女の手首に優しく触れ、穏やかな温もりを分かち合うように微笑みかけた。

その温かさに触れた瞬間、シルビアの顔に浮かんでいたわずかな緊張の影はきれいに消え去り、彼女は凛とした美しい笑顔でうなずいた。

「ええ、もちろんよ、レイン。昔の私なら、この宮殿の中に足を踏み入れただけで恐怖で動けなくなっていたけれど……今の私には、あなたたちがいる。もう、何一つ怖くないわ」

一行はさらに宮殿の深部へと進んでいった。

ジュリアンが手引きする秘密の裏通路を抜けることで、本来であれば幾重もの防衛結界や罠を突破しなければならないところを、驚くほどスムーズに上層階へと近づくことができていた。

しかし、宮殿の中心部――当主の執務室や大儀式場がある「白薔薇の間」へと続く大階段のふもとに差し掛かったその時、それまで順調だった空気が一瞬で凍りついた。

――ズウンッ……!!

宮殿全体が大きく揺らぐほどの凄まじい魔力の波動が、頭上から波のように押し寄せてきた。

それは、通常の人間や魔獣の魔力とは次元の違う、強烈な強制契約の呪詛と、すべてを支配下におこうとする狂気に満ちたプレッシャーだった。

「なっ……なんだこの魔力は……!? 儀式はまだ夜半に行われるはずじゃなかったのか……!?」

ジュリアンは冷や汗を流しながら、信じられないというように天井のほうを見上げた。

ルナはその圧倒的な波動を真っ向から受け止めながら、気高い白銀の毛並みを逆立て、鋭いトーンで警告を発した。

『……甘かったわね。当主たちは、私たちの潜入や反撃をあらかじめ予測していたわけではないけれど……自分たちの計画を確実なものにするために、予定よりも早く「大強制契約儀式」のコア起動を始めているわ! このままだと、街全体の魔獣たちの心が完全に焼き切られてしまう……!』

ルナのその言葉が終わるか終わらないかのうちに、大階段の上方から、重々しい金属の鎧をまとった宮殿の親衛隊長と、複数の新型戦闘魔獣を引き連れたエリート部隊が、一斉に姿を現した。

「侵入者発見……! 改革派の裏切り者ジュリアン、そして一族の落ちこぼれシルビアめ……! 当主様の聖なる儀式を妨害する者どもは、ここで全員、容赦なく処分する!」

親衛隊長が怒号を上げ、その手にした禍々しい魔導杖から強力な紫色の呪詛弾が放たれた。

「行かせるわけないわ……!」

シルビアが杖を構えようとしたその瞬間、ルナの体に異変が起きた。

宮殿を覆う澱んだ強制契約の魔力と、ルナが持つ気高い月光の聖力が激しく衝突した瞬間、ルナの全身から眩いばかりの純白の神聖な光が爆発的に溢れ出したのだ。

その光の中で、小さな気高い白銀の狐であったルナの姿が、より気高く、神々しいまでの気品を纏った**「第弐位階(成長期)」の美しい姿へと、劇的な進化を遂げた。

「ルナ……! あなたその姿は……!」

シルビアが息を呑んで見つめる中、第弐位階(成長期)へと進化を遂げたルナは、夜空の月光を一身に背負ったかのような圧倒的な存在感を放ち、その美しい瞳に鋭い光を宿した。

『人間の勝手な都合で命や魂を縛るなど、この私が絶対に許さないわ……!』

ルナが放った新技――『ルナティック・ミラージュ(月光幻影陣)』の解放は、親衛隊長やエリート部隊の視界のすべてを圧倒的な月の幻影と聖なる光で完全に包み込み、彼らの放った呪詛弾を綺麗にかき消して無力化した。

「今だ、みんな! 一気に突破して中枢へ駆け込もう!」

レインが足元に眩い青い魔方陣を限界まで展開し、パーティ全員を最高潮の加速と加護の光で包み込んだ。

第弐位階(成長期)へと進化したルナ、フェリル、ポルカ、そしてファル、ギル、シルビア、レイン――最強の絆で結ばれたパーティは、白薔薇宮の中枢へ向けて、いよいよ最後の決戦の舞台へと突入していくのだった。

後書き

第37話「白薔薇宮の潜入と、月の導き」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

ジュリアンの手引きで白薔薇宮への潜入を果たしたレインたちですが、当主たちが予定を早めて儀式を開始したことで親衛隊との激しい遭遇戦に突入する緊迫のシーンを描かせていただきました。さらに、絶体絶命のピンチの中でルナが美しい「第弐位階(成長期)」へと劇的な進化を果たす熱い展開、いかがでしたでしょうか?

次回の第38話では、いよいよ白薔薇宮の最奥――当主が待つ「白薔薇の間」に到達し、物語のクライマックスとなる最終決戦の幕が切って落とされます……!

ブックマークや評価、いいねなどをポチッと押していただけると、執筆のモチベーションがものすごく跳ね上がります!

それでは、第38話でお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。