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使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~  作者: チョコ大福


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第12話:星降る洞窟の試練と、新しい一歩

登場人物

レイン・アークライト

主人公。アークライト家を出奔し、ミニドラゴンのファル、ウルフのフェリル、小型ゴーストのポルカ、そして召喚師の少女シルビアと共に新しい旅を続ける心優しき召喚師。

ファル

レインの相棒である手のひらサイズのミニドラゴン。新しい街での生活や冒険に胸を躍らせる頼もしいお兄ちゃん的存在。

フェリル

レインの相棒である小さなウルフ。優れた感覚でダンジョン内の異変や危険をいち早く察知する。

ポルカ

小型ゴーストのマスコット。怖がりだった過去を乗り越え、明るくフワフワと仲間たちの力になろうと奮闘する。

シルビア

名門の家出中で、レインのパーティに正式加入したエリート召喚師の少女。レインの戦い方や「青い魔方陣」の秘密を理論的に学んでいく。

前書き

『使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~』第12話をお届けします!

前回、巨大な商業都市メルトーナに到着し、ギルドで高慢なガレルトを一喝したレインたち。第12話では、メルトーナのギルドで本格的な中級クエストに挑み、メルトーナ近郊の「星降る洞窟」を舞台にした新しい冒険を描きます。一般の召喚師の常識と、レインたちの「絆のスタイル」がどう交差していくのか、ぜひじっくりとお楽しみください!

商業都市メルトーナの巨大な冒険者ギルド。その一角にある広大な作戦テーブルの周りに、レイン、シルビア、そして三匹の相棒たちが集まっていた。

「ふむ……メルトーナのギルドだけあって、オルテナとは比べ物にならないほど依頼の数も種類も豊富ね」

シルビアは手元の依頼書の一覧を真剣な表情で眺めながら、エメラルドグリーンの瞳を細めた。彼女が持っている魔導書には、今までの旅と、街に到着してからの様々な情報がびっしりと書き込まれている。

『この世界において、一般的に**「召喚師」**とは、魔力や契約によって精霊、魔獣、悪魔などの異世界の存在を呼び出し、自らの手足として使役する魔法使いの一種とされている。歴史ある名門アークライト家をはじめ、世間の召喚師たちは例外なく、強力な存在を圧倒的な力で屈服させ、恐怖と絶対服従の首輪で縛り上げることでその地位を築いてきた。

しかし、レインのスタンスはそれらの常識とは完全に一線を画している。10代という若さでありながら、どこか知性的でスマート、そして育ちの良さを感じさせる柔らかな物腰の彼は、力による支配ではなく、対等な絆と共鳴によって仲間たちと結ばれている。』

「シルビアさんのおすすめの依頼はどれですか?」

レインが穏やかな笑みを浮かべて覗き込むと、シルビアは少しだけ頬を朱に染めながら、一枚の依頼書を指さした。

「これよ。『星降る洞窟の魔獣調査および生態保護』。メルトーナの郊外にある、夜になると天井の鉱石が星のように光り輝く美しい洞窟なんだけど……最近、そこをねぐらにしている別の荒くれ者の魔獣たちが暴れ出して、鉱石を採掘しに来る商人や冒険者たちが被害を受けているのよ」

「星降る洞窟か……名前だけでも綺麗だし、探索しがいがありそうだね」

レインがそう言うと、肩の上からファルが『きゅっ! 星が光る洞窟なんて、なんだかロマンチックだね!』と小さな翼をパタパタさせて賛成した。

足元ではフェリルが「くんっ」と鼻を鳴らし、ポルカも『お化けが出るかもしれないけど……僕、みんなと一緒なら怖くないもんね!』とフワフワと空中で嬉しそうに回ってみせた。

「決まりだね。それじゃあ、このクエストを受理してもらいに行こう」

レインが立ち上がると、シルビアも満足そうにうなずき、パーティはさっそく受付窓口へと向かった。メルトーナでの最初の本格的なクエストが、いよいよ幕を開けようとしていた。

数時間後、一行はメルトーナの町を離れ、緑豊かな丘陵地帯を抜けた先にある「星降る洞窟」の入り口に到着していた。

洞窟の入り口は生い茂るツタに覆われており、そこから吹き抜ける風には、どこかひんやりとした神秘的な鉱石の香りが混じっている。

「うわぁ……中に入らなくても、すっごく綺麗な場所なのがわかるね」

ポルカが興味津々で洞窟の中を覗き込むと、ファルも『本当だ! 奥からキラキラした光が見えるよ!』と声を弾ませた。

しかし、美しい場所にはそれなりの危険が潜んでいるのが冒険の常である。

「油断しないで。依頼書によると、この洞窟の奥には『クレイジー・クローラー』っていう、硬い外殻と鋭い鎌のような前足を持った大型の昆虫型魔獣が巣くっているらしいわ。攻撃力も高いし、何より群れで行動する厄介な相手よ」

シルビアが魔導書を片手に、少し警戒した表情で全員に注意を促した。

「ありがとう、シルビアさん。みんな、しっかりと僕の後に続いてね。無理は禁物だからね」

レインのその落ち着いた声かけに、フェリルが「ワンっ!」と頼もしく一声吠え、先頭を切って静かに洞窟の中へと足を踏み入れた。

洞窟の内部へ進むにつれて、天井にびっしりと生い茂った発光鉱石が青く優しい光を放ち、まるで夜空の星々の中を歩いているかのような幻想的な空間が広がっていた。

「わぁ……本当に、星空の下にいるみたい……」

ポルカもうっとりとした表情で天井を見上げている。

だが、その静寂と美しさは長くは続かなかった。

奥へ進むにつれて、足元にゴロゴロと転がる小石の間に、何かの大きな爪痕や、荒々しく削られた壁の跡が目立ち始めた。

――カサカサ、ガサッ……。

暗い通路の曲がり角の奥から、無数の硬い足が地面を擦るような、不気味で耳障りな音が響いてきた。

「……っ! 来るよ!」

フェリルがピッと耳をピンと立て、低く凄まじい威嚇の唸り声をあげた。フェリルの優れた嗅覚と聴覚が、敵の接近を完璧に捉えていたのだ。

暗がりから姿を現したのは、体長が人間の背丈ほどもある巨大な甲殻虫型の魔獣――クレイジー・クローラーの群れだった。全部で五体。鎌のように鋭い前足をカチカチと鳴らし、冷酷な複眼でレインたちをギラギラと見据えている。

「げっ、思ったより大きいし、いかにも攻撃力が高そうじゃない……!」

シルビアがわずかに息を呑み、杖を構えようとしたその時だった。

「慌てなくていいよ。みんな、いつもの陣形をとろう」

レインは微動だにせず、落ち着いた足取りで一歩前に出た。彼は地面にそっと左手を添え、静かに魔力を集中させた。

――瞬く間に、レインの足元から、美しく透き通るような青い魔方陣が鮮やかに広がった。

その穏やかな青い光は、洞窟の青白い発光鉱石の光と美しく共鳴し、ファル、フェリル、ポルカ、そしてシルビアの体をふんわりと温かい魔力で包み込んだ。

「これが……レインの……!」

シルビアは、自分の体に満ちていく軽やかな魔力の奔流と、全員の感覚が一つに繋がるような圧倒的なシンクロ感に目を見開いた。力でねじ伏せる契約ではなく、互いの魂を信頼し合うからこそ発揮されるこの青い魔方陣の出力は、メルトーナに来てからさらに洗練されていた。

「ギィィィッ!」

先頭のクレイジー・クローラーが、その鋭い鎌を振り上げながら猛スピードで突進してきた。

「フェリル、右側の壁伝いに回り込んで、あいつの体勢を崩して!」

「ワンっ!」

レインの指示を受けたフェリルは、青い魔方陣の加護を受けて風のような超速度で走り抜け、クレイジー・クローラーの死角から鋭い牙でその側面に飛びかかった。不意を突かれた魔獣は大きくバランスを崩し、突進の軌道が激しく逸れる。

「今だ、ポルカ! 目眩ましを頼むよ!」

『お任せ! えいっ、ピカッとびっくりしちゃえ!』

ポルカは透明になりながらクレイジー・クローラーの目の前にふわりと現れ、可愛らしいポーズと共に小さな霊力の閃光を放った。

「ギッ……!? な、なんだこの光は……!?」

視界を完全に奪われたクレイジー・クローラーは、その場でクルクルと回りながら混乱し始めた。

「とどめは僕たちだね、ファル!」

『レイン、いくよっ! 流星キックだ!』

レインの合図に合わせて、ファルは青い魔方陣の魔力に背中を押され、洞窟の天井すれすれをまるで流星のように美しく滑空した。

ファルは小さな両足を揃え、混乱しているクレイジー・クローラーの頭部へと見事なドロップキックを叩き込んだ。

ガツンッ!という凄まじい衝撃音とともに、頑丈な外殻を持つはずの巨大な魔獣はたまらず地面にひっくり返り、そのまま気絶して動かなくなった。

残りの四体も、フェリルの素早い牽制と、シルビアが放った的確な氷結魔法(足元を凍らせて動きを完全に縛るサポート)によって、あっという間に無力化されてしまった。

暴力でねじ伏せるのではなく、全員の個性と特性を完璧に噛み合わせた見事な連携戦術。

わずか数合の交戦の末、厄介なクレイジー・クローラーの群れは、誰も一切の傷を負うことなく、完璧に鎮圧されていた。

洞窟の中に、再び静かで美しい星降るような青い光が戻ってきた。

「ふう……みんな、怪我はないかい?」

レインが振り返って優しく声をかけると、ファルは『余裕だったよ!』と胸を張り、フェリルは尻尾をパタパタと振り、ポルカは『お疲れ様ー!』とフワフワ回りながらレインの頬にすり寄った。

シルビアは、自分の杖を下ろしながら、信じられないものを見るような目でレインたちを見つめていた。

(……信じられない。あんなに連携が難しい魔獣の群れを、誰も傷つけずに、まるで一つの生き物みたいに完璧に動かしてしまった……。これが、彼が築き上げた『対等な絆の力』……!)

胸の奥が熱くなるような感動を覚えながら、シルビアはそっと息を整え、レインに微笑みかけた。

「……すごいわね、レイン。あなたのその戦い方を見ていると、今までの私の常識が全部ひっくり返りそうになるわ。でも……すごく綺麗で、強い戦い方ね」

「ありがとう、シルビアさん。みんなが僕を信じて心を合わせてくれるからこそできる技さ」

レインが柔らかく微笑むと、シルビアは少しだけ恥ずかしそうに顔を背けながらも、嬉しそうな笑みを隠しきれなかった。

その後、一行は星降る洞窟の奥深くまで進み、暴れていた魔獣たちの原因となっていた魔力の淀みを丁寧に浄化し、無事に調査クエストを完遂することができた。

洞窟の入り口から外へ出ると、メルトーナの街のほうから心地よい夕暮れの風が吹き抜けてきていた。

商業都市メルトーナでの最初の大きな試練を鮮やかに乗り越えたレインたち。

力による支配を否定し、絆の青い魔方陣と共に歩む彼らの旅は、新しい仲間たちと共に、ますます力強く、そして温かく次のステージへと進んでいくのだった。

後書き

第12話「星降る洞窟の試練と、新しい一歩」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

メルトーナでの最初の本格的なクエストである「星降る洞窟」の探索を描かせていただきました。クレイジー・クローラーの群れを相手に見せた、ファル、フェリル、ポルカ、そしてシルビアの完璧なコンビネーション戦闘や、レインの「青い魔方陣」がさらに進化していく様子がしっかりと伝わっていれば幸いです!

次回の第13話では、クエストの報告を終えたギルドでの新たな反響や、メルトーナの街で待ち受けるさらなる出会いや、ライバルたちとの波乱の予感に繋がっていきます……!

ブックマークや評価、いいねなどをポチッと押していただけると、執筆のモチベーションがものすごく跳ね上がります!

それでは、第13話でお会いしましょう!

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