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使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~  作者: チョコ大福


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13/53

第13話:芽生える新たな力、フレア・スパーク

登場人物

レイン・アークライト

主人公。アークライト家を出奔し、ミニドラゴンのファル、ウルフのフェリル、小型ゴーストのポルカ、そして召喚師の少女シルビアと共に新しい旅を続ける心優しき召喚師。

ファル

レインの相棒である手のひらサイズのミニドラゴン。「もっと強くなって、みんなを守りたい」という強い意志を抱き、新たな技に目覚めていくお兄ちゃんドラゴン。

フェリル

レインの相棒である小さなウルフ。鋭い感覚でパーティを支え、ファルの成長を温かく見守る。

ポルカ

小型ゴーストのマスコット。ファルの特訓や頑張る姿をいつも一番近くで応援しているムードメーカー。

シルビア

名門の家出中で、レインのパーティに正式加入したエリート召喚師の少女。魔獣の「成長」が絆によって引き出される奇跡を目の当たりにしていく。

前書き

『使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~』第13話をお届けします!

前回、星降る洞窟の調査を完璧に成功させたレインたち。第13話では、商業都市メルトーナの周辺で起きた新たなトラブルをきっかけに、一番の相棒であるミニドラゴンのファルが、ついに初めての新しい技**『フレア・スパーク』**に目覚める成長と感動のエピソードを描きます。ぜひじっくりとお楽しみください!

商業都市メルトーナでの生活が落ち着きを見せ始めたある日のこと。

ギルドでの依頼を順調にこなし、街の人々からも「あの青い魔方陣のパーティは信頼できる」と評判になりつつあったレインたちは、次のステップとしてメルトーナ近郊の「焦土の荒野」と呼ばれるエリアへと足を運んでいた。

そこは、火山帯から流れてきた熱気と乾燥した大地が広がる場所であり、通常の魔獣よりも少し気性が荒く、熱を帯びた攻撃を得意とする魔獣が時折姿を現すことで知られていた。

「ふう、少し日差しが強いけれど、風が通ると気持ちがいいね」

レインが水筒の蓋を開け、小さく喉を潤しながらそう呟く。

『きゅっ! レイン、あっちに何か変な生き物がいるよ!』

ファルがレインの肩の上からぴょんと空中に飛び上がり、小さな前足をピンと伸ばして前方を指さした。

ファルが指し示した先――少し開けた乾燥地帯の岩陰から、カチカチと不気味な音を立てながら這い出てきたのは、全身が赤茶色の硬い外殻に覆われ、口元から小さな熱の煙を吐き出す中型の魔獣「マグマ・リザード」の一群だった。全部で三体。そのうちの一体は、通常の個体よりも一回り大きく、背中にゴツゴツとした熱を帯びた結晶を背負った「リーダー格」だった。

「あれは……マグマ・リザードの群れね。しかも、通常種より少し手強い『ベテラン個体』が混じっているわ」

シルビアは魔導書を開き、素早く周囲の地形と魔力の波長を分析しながら言った。

「みんな、少し警戒したほうがいいわね。あいつらの吐く熱息ブレスは、防具の隙間を焦がすほどの威力があるから」

「ありがとう、シルビアさん。大丈夫、いつも通りみんなで力を合わせれば問題ないさ」

レインは穏やかに微笑み、いつものようにそっと左手を地面に下ろした。

――シュウッ、と。

レインの足元から、美しく透き通るような青い魔方陣が鮮やかに展開された。

その穏やかな青い光は、荒野の乾いた空気の中でもひときわ鮮やかに輝き、ファル、フェリル、ポルカ、そしてシルビアの体をふんわりと温かい魔力で包み込み、全員の戦闘力を高めていく。

「グルルゥッ……!」

マグマ・リザードのリーダー格が低い唸り声をあげ、威嚇するように口からボウッと熱の炎を小さく噴き出した。そして、猛然とした勢いでレインたちめがけて突進してきた。

「フェリル、右から回り込んで足の動きを止めて!」

「ワンッ!」

フェリルの優れた機動力が炸裂し、風のような速さで右側の岩陰を抜け、リーダー格の視覚を完璧に捉えて鋭く牽制した。

「今だ、ポルカ! 目眩ましを頼むよ!」

『お任せ! えいっ、びっくりしちゃえ!』

ポルカは透明になりながらマグマ・リザードの目の前にふわりと現れ、小さな霊力の光をピカッと放って視界をくらませた。

「上出来だね。とどめは僕たち――」

レインがそう言いかけた、その時だった。

突如として、混乱から体勢を立て直したリーダー格のマグマ・リザードが、フェリルやポルカではなく、一番近くにいたファルめがけて、怒りの熱息ブレスを真正面から激しく吐き出したのだ。

「――っ!? ファル!」

レインが反射的に声を上げる。

炎の奔流が、手のひらサイズの小さなファルを真正面から飲み込もうと一気に迫った。

(みんなが……僕たちの仲間が、傷つけられちゃうかもしれない……!)

その瞬間、ファルの胸の奥で、小さく、しかし激しい熱い感情がスパークした。

これまで「一番小さくて、守られる立場のお兄ちゃん」だったファルが、初めて「みんなを守りたい、もっと強くなりたい、この仲間たちと共に歩み続けたい」と、心から強く願った瞬間だった。

ファルのその強烈な意志の波長が、レインの展開していた青い魔方陣と完全にシンクロし、激しく共鳴し始めた。

『きゅああっ――!!!』

ファルが小さく、しかし誇らしく叫び声をあげた瞬間、その小さな口元から、これまでにないほど鮮やかで、透き通るような青い炎の弾丸がシュッと音を立てて放たれた。

――ドォンッ!!

ファルが放った青い熱の弾丸――**『フレア・スパーク』**は、マグマ・リザードが放った赤黒い熱息を正面から見事に撃ち抜き、そのまま凄まじい勢いでリーダー格の額へと直撃した。

ガツンッ!という衝撃音とともに、リーダー格のマグマ・リザードはたまらずひっくり返り、そのまま気絶して動かなくなった。

周囲の空気が一瞬で静まり返り、そこに残っていたのは、小さな口からフーッとわずかに白い煙を吐き出しながら、自分の小さな前足を見つめてポカンと目を開けているファルの姿だった。

「……いまの……僕が……やったの……?」

ファルが信じられないといった様子で自分の小さな前足を見つめると、レインは思わず駆け寄り、愛おしそうにファルを両手でそっと包み込んだ。

「すごいよ、ファル……! 初めての遠隔魔法……『フレア・スパーク』、完璧に決まったじゃないか!」

『きゅあっ……! レイン、やったよ! 僕、みんなを守れたよ!』

ファルは嬉しさのあまりレインの頬に自分の顔をくっつけ、小さな尻尾をブンブンと振った。

フェリルも「ワンっ!」と誇らしげに遠吠えし、ポルカは『ファル、すごーい! かっこよかったよー!』とフワフワ回りながら大絶賛した。

少し離れた場所でその一部始終を見ていたシルビアは、信じられないものを見るような目で、自分の杖を下ろした。

(いまの……魔獣の自発的な成長……!? 恐怖で縛り付ける召喚術では絶対にあり得ない。互いを想い合う絆が、彼の隠された才能を引き出したの……?)

シルビアの胸の奥で、かつての冷たいエリートとしての常識が完全に塗り替えられ、代わりに熱い感動の波が広がっていくのを感じていた。

「……まったく、あなたたちはいつも私の予想の斜め上を行くんだから。でも……すごくかっこよかったわよ、ファル」

シルビアが少し照れくさそうに微笑みながらそう声をかけると、残りのマグマ・リザードたちはリーダー格が倒されたことにビビり、慌てて荒野の奥へと逃げ出していった。

こうして、メルトーナ郊外の荒野での戦いは、ファルの新しい技の覚醒という最高の形で幕を閉じた。

強力な仲間が増え、それぞれの絆が深まるにつれて、相棒たちの内なる才能は少しずつ、しかし確実に花開いていく。

世界を変えるための長い旅路を進むレインたちの足取りは、これまで以上に力強く、輝きに満ちていた。

後書き

第13話「芽生える新たな力、フレア・スパーク」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

メルトーナ郊外でのマグマ・リザード戦を舞台に、ファルが初めての遠隔攻撃魔法「フレア・スパーク」に目覚める成長エピソードを描かせていただきました。仲間を守りたいという強い意志とレインの青い魔方陣が共鳴する瞬間や、パーティ全員の温かい絆がしっかりと伝わっていれば幸いです!

次回の第14話では、ファルの成長をきっかけにさらに盛り上がるパーティの日常や、シルビアの過去の因縁、そして次の大きな試練へと繋がっていきます……!

ブックマークや評価、いいねなどをポチッと押していただけると、執筆のモチベーションがものすごく跳ね上がります!

それでは、第14話でお会いしましょう!

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