表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
混沌の神の再生  作者: 桐ヶ谷本真志
最強ではないが、着実に強くなっている。
6/16

少し休ませてください。

「この領域から脱出するには、生者の世界と影の領域を繋ぐポータルを作る必要がある」マリクが言う。


……へえ、さすが天才だな。どうして思いつかなかったんだろうな。


マリクはため息をつく。


「もっと簡単に言おう。この城を破壊しろ。これが今、お前とこの領域を繋いでいる錨だ。壊せば、生者の世界へ戻れる」


「……最初からそう言えばよかっただろ」


「お前ほどの存在なら、わざわざ説明しなくても理解できると思ったんだがな」


自分でもよく分からないが、顔が少し熱くなる。


「当然分かってたさ」


「ほう?」マリクは薄く笑う。


「なら、これ以上教える必要はないな。健闘を祈る」


……ほんと、余計なこと言ったな。


城を壊すのは時間がかかる。


普通なら。


俺は膝をつき、手を石の床に当てる。


「【ヴォイド】」


黒い魔力が生き物のように広がり、玉座の間から廊下へ、城全体へと侵食していく。


目の前に黒い球体が現れる。


「ああ、そうだ……これもだな」


マリクの残したコアを取り出す。


一つはシステム用。


もう一つは売却用。


これで問題は解決だ。


床が震え始める。


石畳が浮かび上がり、球体へと引き寄せられていく。松明、柱、玉座、天井のシャンデリア――すべてが飲み込まれていく。


城は崩れない。


消える。


喰われる。


まるで存在そのものが、黒い穴に吸い込まれていくように。


球体は徐々に小さくなる。


圧縮されていく。


色が変わる――黒から、深い紫へ。


そして――


解放される。


凄まじい魔力の波が放たれ、視界が光に飲み込まれる。



---


【レベルアップ】

【レベルアップ】

【レベルアップ】


「……ん?」


目を開けると、システム画面が表示される。


【名前:アベル・モーニングスター】

【種族:人間/?】


【レベル:26】[本来の力の0.2%]


【ステータスポイント:5】


【筋力:20】

【敏捷:15】

【知力:10】

【魔力:24】

【運:7】


【クラス:なし】


【称号:なし】


【スキル:ゴースト、ヴォイド、ソニックリープ、インフィニティ・ドメイン、レプリケート】


【属性:風、火、土、水、影】


【アルシウム:なし】


……一気に上がる。


最初はレベル5。


狼とフェニックスで10。


マリクで17。


そして今――


26。


城ごとまとめて消せば、そりゃこうなるか。


画面が静かに閉じる。


気がつくと、地面に寝転がっている。


見上げると――


星空。


澄んでいて、やけに明るい。


「……戻ってきたか」


ゆっくりと立ち上がる。


【ヴォイド】は、制御された特異点みたいなものだ。


放っておけば、魔力が尽きるまで全部を飲み込む。


だから制限する。


城だけを対象にする。


それ以外には触れないように。


さっきの爆発は、余った魔力の放出だ。


……それと同時に、空間を引き裂く。


だから戻れる。


……下手をすれば、別の場所に飛ばされる可能性もあるが。


……まあ、考えないことにする。


周囲を見渡す。


巨大なクレーター。


まるで隕石でも落ちたみたいだ。


「……完全に俺のせいだな」


ドン、ドン、ドン――


足音が響く。


「急げ!爆発はこの辺りからだ!」


……撤収だな。


「【ゴースト】」


体が透けていく。


そして――消える。


……これは初めてだな。


本来はすり抜けるだけのはずだが。


完全に不可視になっている。


手を見下ろす。


何もない。


……面白い。


森を抜けながら、兵士や冒険者たちの横を通り過ぎる。


みんなクレーターへ向かっている。


あの魔力を感じているんだろう。


当然だ。


あれだけ派手だったしな。


屋敷に戻る。


門をすり抜け、廊下を抜け、自室へ向かう。


中に入ると、装備が消え、寝間着に戻る。


……魔力切れか。


ベッドに顔から倒れ込む。


「……制御、まだまだだな」


「森が丸ごと消えたのよ!」


片目を開ける。


妹が立っている。


……だと思った。


「……へえ」


「へえじゃないでしょ!?湖に黒い球体があって、そのあと大爆発って――!」


「はいはい、分かったから……寝かせてくれ」


妹の表情が止まる。


そして、ゆっくりと険しくなる。


「……寝かせてくれ、ですって?」


メイドが顔を出す。


「アベル様、大丈夫ですか?」


「問題ないよ」


メイドは去る。


妹が振り返る。


「アベル・モーニングスター。今、何時か分かってる?」


「……朝?」


「昼よ」


……なるほど。


「ここまで寝かせてあげたことに感謝しなさい」


彼女は剣を手に取る。


「訓練場。10分」


「行かなかったら?」


「来れば分かるわ」


扉が閉まる。


……はぁ。


着替えて、訓練場へ向かう。


妹はすでに待っている。


「いいわね」


俺は剣を手に取り、向き合う。


強くなるためだ。


何があっても。


……


……それでも、やっぱり眠い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ