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混沌の神の再生  作者: 桐ヶ谷本真志
神から少年へ。
3/16

復讐のために私がすること

五年——


それが経った時間だ。


システムは止まらない。


毎日のように、屋敷の外へ出ることを前提とした任務を押し付けてくる。そして俺は、そのすべてに対して抜け道を見つけてきた。


恐れていたわけじゃない。


ただ——まだ見られるわけにはいかなかった。


屋敷の警備は相変わらず厳重だ。子供部屋から抜け出すこと自体は簡単になったが、屋敷を取り囲む幾重もの護衛を突破するのは別問題だ。


とはいえ——この五年間は静かだった。


「訓練の災厄」ほどの出来事は、それ以来起きていない。


だが——


時間は残酷に過ぎていく。


そして——クラウディア。


俺の姉であり——


容赦ない師匠だ。


木剣を握れるようになったその日から、彼女は自分の「月刃ムーンブレード」を俺に叩き込むことを使命にした。


精密。


速度。


完成度。


優雅で——致命的。


そして、異常なほど難しい。


その剣技は、剣術と属性魔法を融合させたもの。普通なら習得に何十年とかかる代物だ。


彼女には五つの型がある。


だが、教えられているのは一つだけ。


月の囁き(ムーン・ウィスパー)——氷風斬アイスウィンド・スラッシュ


氷魔法で生み出した風を足元に集中させ、一瞬で加速する技。


外から見れば、使い手は霧の中に消えたように見える。


そして——一秒未満で距離を詰める。


三撃。


受け流し。


武器破壊。


致命の一閃。


完璧な技だ。


俺は——一度見ただけで理解した。


当然だ。


俺はかつて、破壊の剣聖だった。


理解するのは簡単だった。


実行するのも——簡単だった。


だが、それは重要じゃない。


だから俺は——失敗する。


何度も。


わざと。


崩れた足運び。


不安定な魔力操作。


無様な動き。


完璧な「無能」の演技。


クラウディアは諦めなかった。


むしろ——悪化した。


講義。


実演。


執念。


技の細部まで解説した資料まで用意してくる始末だ。


見事だ。


完全に無意味だが——見事だ。


なぜなら——


俺はすでに完成させているからだ。


それどころか——改良もしている。


夜、屋敷が静まり返った頃。


俺は一人で鍛錬を続ける。


そして生まれたのが——


霧方向ミスト・ディレクション


霧を消さない。


支配する。


広げる。


戦場そのものに変える。


視界を奪い——


欺く。


風魔法ヴェントゥスで囮を作り、


敵がそれに反応した瞬間——


俺は背後にいる。


そして——終わりだ。


これを見せればどうなるか?


考えるまでもない。


翌日には屋敷中に広まる。


モーニングスター家の中心人物。


——それは困る。


俺は影でなければならない。


無能でい続ける。


笑われる。


見下される。


それでいい。


その代わり——自由に強くなれる。


目的は一つ。


——神を殺すこと。


例外はある。


セレネ魔法騎士学院の入学試験。


そこだけだ。


力を見せるのは。


セレネは中立都市。


種族が集う場所。


頂点の教育機関。


試験は苛烈。


クラウディアは当然のように合格した。


彼女は二年後に入学する。


俺には——七年ある。


無能でいられる時間が。


だがまずは——


自由が必要だ


機会はすぐに訪れた。


訓練中。


いつも通り失敗を演じる。


「また間違ってる!」


「ごめん……難しい……」


そして——


彼女は笑った。


嫌な笑みだった。


「実戦が必要ね」


背筋が冷える。


「ギルドに登録するわよ」


その後は——混乱だった。


父は即許可。


母は即拒否。


言葉の応酬。


数時間。


結果——母の勝利。


そこで俺が動く。


「ギルドには行きたくない」


母が笑う。


だが続ける。


「でも……外には出たい」


空気が変わる。


妥協。


通行許可証。


条件付き自由。


ギルド禁止。


付き添い必須。


意味はない。


その夜——


俺は出た。


期限。


システムの制限。


失敗は許されない。


アベルでは動けない。


だから——


別人になる。


マナで装備を創る。


黒。


紫の脈動。


影の外套。


代償は大きい。


血。


痛み。


崩壊。


だが耐えた。


この程度で止まるなら——


神には届かない。


窓から跳ぶ。


無補助。


着地。


無傷。


【ゴースト】で警備を抜ける。


そして——


初めて外へ。


世界は動いていた。


光。


文明。


進化。


ギルド。


到着。


受付。


強者。


隠された力。


「死ぬわよ」


「両親はダークゴーレムに殺された」


嘘。


だが有効。


「名前は?」


「ノワール・ドレイク」


新しい存在。


すぐに出る。


森へ。


そして——


来た。


ゴブリン。


群れ。


包囲。


結界。


無効。


無意味。


攻める。


マナ。


そして——気。


集める。


形にする。


創る。


剣。


銀と紫。


戦闘。


跳躍。


崩壊。


落下。


そして——


殲滅。


マナの杭。


貫通。


全滅。


静寂。


【システム通知】


✔ ゴブリン15体討伐

⟡ アーシウム解放(未達成)

⟡ ダークゴーレムの核取得(未達成)


レベルアップ。


レベル5。


そして——


光。


湖。


歪み。


気配。


ポータル。


その先に——


ダークゴーレム


「見つけた」


閉じる。


急ぐ。


走る。


跳ぶ。


闇。


「……外れてないことを祈るか」




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