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混沌の神の再生  作者: 桐ヶ谷本真志
神から少年へ。
2/16

奴らを殺すためなら、地獄の底までだって行く。

転生したその日から、俺の目の前にはメッセージが表示されていた。


目を疑った。


それは――かつて俺が神々のために作った「システム」だった。

あらゆる補助を行うための道具。

そして今、それを必要としているのは俺自身だった。


かつて扱っていた力とはいえ、今もなおアクセスできることに驚きを隠せない。


そのシステムは、俺に四つの課題を提示してきた。


デイリータスク

・腕立て伏せを10回行う

・中庭を4周走る

・刃を縦・斜め・横にそれぞれ50回振る


長期タスク

・「アルシウム」を解放せよ


簡単ではない。何せ、今の俺は赤子だ。


だが、神々への復讐を思えば――どんなことでもやる。


どれだけ辛くとも、どれだけ地獄のような苦しみでも、進み続ける。

強くなるためには、それしかない。


昨夜と同じように、俺は揺りかごから抜け出す。

――だが今回は、窓からだ。


揺りかごを乗り越え、窓へよじ登る。


……開いている。

なぜ育児室の窓が開いている?

まあいい。


俺は飛び降り、マナで身体を包み込むようにシールドを展開する。

これで落下の衝撃は防げるはずだ。


着地。


「腕立てから始めるのが無難だな……」


呟き、地面に手をつく。


筋肉が悲鳴を上げる。

だが――神々への怒りに比べれば、こんなものはどうということはない。


拷問のような苦しみだったが、どうにかやり遂げた。


次は――中庭の走り込み。


走りながら、思考が巡る。


(ヘイヴンヘル……どうする)


ヘイヴンヘル。

混沌の剣。


十二の“混沌の天使”を融合させて生まれた武器。


時の天使――ザフキエル。

巨大な時計の姿を持ち、二十四の刻印によって時間を操る。

刻印の名を唱えれば、その力を得る。


例えば第一刻印「スラーア」。

発動すれば、瞬きの間に首都を横断できるほどの加速を得る。


だが、それは二十四の力のうちの一つに過ぎない。


氷の天使――ザドキエル。

槍の形状を持ち、蒼と銀が融合した刃を持つ。

近接戦において絶大な力を発揮し、突き刺せば相手を永遠に凍結させる。

神炎でなければ解凍は不可能。


炎の天使――カミエル。

砲のような形をしており、聖なる炎を放つ。

さらに鎧へと変形し、物理・霊的攻撃を防ぐことも可能。


仮にそれを纏ったまま殺されたとしても、

炎への意志が残っていれば――蘇生する。


他にも天使はいるが――今は考える余裕はない。


気づけば、中庭を四周し終えていた。


確かに強くなっているのは感じる。

だが、痛みは消えない。


それでも、身体が少しずつ強化されているのが分かる。


「次は……」


システムを確認する。


次の課題――刃を各方向に50回ずつ振ること。


だが――剣がない。


その時、視界の端で光が反射した。


振り向くと、月光を受けて輝く剣の箱があった。

どれも粗末なものだが、問題ない。


……いや、問題があった。


どれも赤子の俺には大きすぎる。


探し回り、ようやく見つけたのは――短剣。


手に取ると、ちょうどいい。


「刃」であれば問題ないはずだ。


握りしめ、振る。


――重い。


すぐに落とした。


「問題ない……慣れればいい」


再び振る。


今度は成功。


縦、斜め、横。


繰り返す。


どれほど時間が経ったか分からない。


だが――


課題は達成された。


残るは最後の一つ。


(……アルシウムって何だ?)



---


転生から三ヶ月が経った。


いつものように抜け出そうとしたが――

なぜか上手くいかない。


原因は一つ。


クラウディア――俺の姉だ。


彼女は“天才の中の天才”。


三歳で光魔法の強化適性を発現。

彼女が握る刃は、森を一撃で斬り裂く。


さらに本質は氷属性。


四歳でBランク以下の氷魔法をすべて習得し、剣術へ応用。


氷弓の魔法すら改変し――


脚力強化と剣への氷付与へと変換。


結果、突進と同時に対象を凍結させる技へ昇華。


それが――


「クレセントムーンストライク」


さらに――


彼女の剣技「ムーンブレード」。


高速かつ精密な連撃。


誰も習得できなかった技。


彼女だけの剣。


だが――


「アベル〜、いい子だね〜」


……なぜこんなに甘いんだ。


冷徹なはずの彼女は、今俺を抱きしめて笑っている。


「あなたの名前、私がつけたのよ?」


……そうか。


「大きくなったら教えてあげる、ムーンブレード」


なぜだ。

俺はただの赤子だぞ。


「ねぇアベル……私って怖いのかな……?」


人は強さに惹かれ、同時に遠ざかる。


……俺と同じだな。


「クラウディア、来なさい」


呼び声。


彼女は去り際に囁いた。


「またね」


……面白い。


姉であり――


ライバルだ。



---


その後、俺はシステムを確認する。


日々、課題は増え続けていた。


報酬もある。


武器、スキル――そしてステータス。


だが失敗すれば――すべて失う。


過去にそれを経験した。


“訓練災害”と呼ばれる事件だ。


……油断は禁物だな。


だが一つ得たものがある。


スキル【ゴースト】。


物体をすり抜ける能力。


ただし攻撃はできない。


クールタイムは15分。



---


そして今。


新たな長期任務が表示されていた。


長期タスク

・アルシウムを解放せよ

・ゴブリンを15体討伐せよ

・ダークゴーレムの核を入手せよ


……無理難題だな。


ダークゴーレムは影の神の創造物。


知性を持ち、影のように動く。


核を破壊しなければ倒せない。


つまり――


不可能に近い。



---


訓練場へ向かう。


警備は――寝ている。


問題ない。


剣を手に取る。


思考は一つ。


(強くなる)


(殺す)


それだけだ。


限界を超えろ。


人間を超えろ。


到達しろ。


――超越へ。


剣を振る。


その先へ。

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