完璧な計画(1)
「……獣を殺すだけだ」
口からその言葉が出た瞬間、本気でそうするつもりだった。だが数秒後、俺は声を上げて笑い出した。
交渉が通じなかったから、戦うと決めた。実際に自分が今言ったことを考えてみると、かなり野蛮に聞こえる。
でも、それがちょうど必要だったらしい。さっきよりずっと気力が湧いてきた。四十五回、いや今は四十六回の死は、人をうつ病に追い込むのに十分だ。
とにかく、冗談はさておき、オニキスを倒すための具体的な計画は何だ?
はっきり言おう。一対一で勝つことなど不可能だ。正気の沙汰じゃない。兵士を使っても大差ないだろう。
……直接の戦闘では大差ない、というだけだ。俺は兵士も含め、あらゆるものを利用するつもりだ。必要なら死亡回数すら利用する。それしかないなら、そうするまでだ。
よし、考えよう。
正直なところ、オニキスが剣を使っているところか、初めて会ったときに素手で胸を貫かれたところしか見ていない。それ以外、スキルを使った姿すら見ていない。
ただ一つ言えるのは、どの死においても、最も恐ろしかったのは彼の速度だ。剣だけに意識を集中しても、まだ速すぎて見えなかった。
速度の話をしているからといって、力が劣るわけではない。大気を切り裂き、一撃で空を割るほどの力は、決して侮れない。
この二つを持っているだけで、スキルを使う必要すらないのも納得だ。それだけでこの世界を征服できる。
……よし、やるべきことがわかった。
彼にすべてのスキルを晒させなければならない。
言うは易し、だが。
彼は動かなくても俺を殺せる。
だから全ての手札を晒させるには、あの厄介な速度に対処しなければならない。
だが考えても、何も浮かばない。
正直に言えば、俺は彼より明らかに遅い。それは事実だ。
……だが、何か抜け道があるかもしれない。
少なくとも、彼の速度に対する俺の認識を変えれば——
そうだ!
視点を変えればいいだけだ。
一度に処理できる情報量を増やし、処理速度自体を上げる。要するに、時間を止め、あるいは少なくとも自分にとって遅くする。
問題は、どれだけのマナを注ぎ込まなければならないかだ。彼の速度の攻撃を知覚できるほど脳を遅くするには、マナの七割以上を脳に注がなければならない。それでもうまくいくかどうか怪しい。
マナのステータスを確認する。
【マナ:130】【MP:9999/9999】
よくない。
推測だが、およそ6,999MPは使うだろう。
つまり、残るマナポイントは約3,000しかない。
足りることを祈るしかない。
足の裏から光が溢れ始め、数秒後には再び戦場にいた。
よし。
石造りの構造物に向かって走り出す。到着まで一分もかからないが、今度は銀肌のクリーチャーの死体の陰に隠れる。
……ああ、忘れるところだった。
推測に過ぎないが、これまでオニキスはあまりにも簡単に俺を見つけていた。今のところの唯一の仮説は、マナを辿っているということだ。不意打ちを狙うなら——
マナを抑え始める。
体内を流れるエネルギーが徐々に引き下がり、奥深くに沈み込んでいく。やがて、かすかな残り火程度にまで弱まる。
むき出しになったような感覚に慣れるため、数秒待つ。
一分。二分。気づけば三分が過ぎていたが、オニキスはまだ動かない。
仮説は正しいのか?
いや、たとえ仮説が正しくても、マナだけが彼の探知手段ではないかもしれない。彼ほどの存在なら、殺気や気配を察知できる可能性もある。
少なくとも、一つの探知手段を潰したのだから、それだけでも何かにはなるはずだ。
とにかく、何かをしなければ。ただ立っているだけでは何も変わらない。
よし、実際に効果があるか試してみよう。
脳にマナを流し始める。
最初は何も起きない。マナは普段通り魔法回路を流れるだけで、時間の感覚は変わらない。
さらに注ぎ込む。もっと、もっと、もっと——
「ぐっ」
風が止まったように感じる。いや、正確には遅くなったのだ。空中を漂う灰の微粒子がはっきり見えるほどに。
遠方の炎が、キャンバスに描かれた絵のように、ゆっくりと単純な動きを始める。炎の爆ぜる音さえ歪み、まるで海の底で鳴く鯨の声のように聞こえる。
……成功した。
本当に時間を(自分にとって)遅くできた。正直、ここまでうまくいくとは思っていなかった。
これなら、どんな攻撃も避けられるはずだ。
だが、成功に浸り始めたそのとき——
ゆっくり漂っていた灰の粒子が加速し始め、風が徐々に勢いを取り戻していく。
何だと!
何が起きている? まだ脳にマナを送っているのに、なぜ時間が再び速くなる?
待て。もしかして……?
確認するため、余計な思考をすべて払い、心を澄ませる。するとゆっくりと、確かにすべてが再び遅くなり始める。
よし、確認できた。この状態を維持するには、常に冷静でなければならない。
強い感情が動けば、この状態は解除される。
基本は掴めたと思う。
立ち上がろうとしたそのとき、何かが起こり、足が止まる。
動けない。
少なくとも、通常の速度では動けない。一秒遅れて気づく。
そうだ。脳を加速させたから攻撃を知覚できるはずだ。どれほど正確かはわからないが。
だがその一方で、一つ忘れていた要素があった。
脳を加速させれば攻撃は見える。だがその代わり、体を動かそうとしても何も起きない。
知覚できても、体がついてこなければ意味がない。つまりこの計画は……いや、完全な失敗とは言えない。
脳を加速できるかどうかを試すのが目的だった。それが成功したのだから、完全な失敗ではない。
だが、何か別の手を考えなければ——
思考が途中で途切れる。見えないほどの速度で、強力な衝撃波が俺を貫いた。
衝撃波は俺を宙に舞い上げるほど強かった。
驚くほど速い速度で空中を回転しながら、左腕に鋭い痛みを感じる。
加速した意識のまま、目は正常に動く。
体の左側を見る。肩から下、左腕が消えている。傷口からはまだ血が噴き出している。
誰の仕業かは明らかだ。
下を見ると、黒い鎧の姿がこちらを見上げている。黄金の瞳が魂を射抜くように感じる。
やはり正しかった。彼が俺を探知する方法は一つではなかった。
俺の視点から見ると、オニキスが鞘から黒い剣を抜く。
どうして?
脳は加速しているはずなのに、なぜかオニキスは通常の速度で動いているように見える。速いが、いつものように見えなくなるほどではない。
黒い剣が輝き始め、黄金の光の粒子が刃の周りに集まり始める。
武器を循環するマナ、握りしめる手の力、低く構える姿勢——すべてが見える。だが俺にできるのは、ただ見守ることだけだ。
オニキスが剣を後ろに引く……
……そして放つ。
光のビームが戦場を貫き、地面を裂きながらこちらに向かってくる。
俺にできるのは、その光が自分を殺すのを待つことだけだ。
だがその最中、俺は微笑む。初めて、何かに進展があったからだ。そして何より、一つの考え——正確には計画——が浮かんだ。
それがうまくいくには、もっと情報が必要だ。だが構わない。必要なだけ時間をかければいい。
結局のところ、この試練では、死さえも俺を止められないのだから。
光がようやく俺に届き、すべてが闇に消える。
【死亡回数:47】




