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混沌の神の再生  作者: 桐ヶ谷本真志
最強ではないが、着実に強くなっている。
10/16

どうやって私は彼に勝てたんだろう?

朝の光が中庭に差し込む中、クラウディアと俺はいつも通り訓練している。


カン。カン。


俺たちの剣は一定のリズムでぶつかり続ける。クラウディアは今日は鋭い。動きが綺麗で、昨日よりも集中している。昨日と違って、今日は笑っている。


「本当はもっとできるでしょ。証明してみなさい」と彼女は一歩踏み込みながら言う。


カン。


俺は彼女の一撃を受け止めて弾き返す。「そんなことない」と言う。


彼女はためらわず、すぐに次の攻撃に繋げる。「あるわよ」と彼女は言う。「あなたには無限の可能性があるんだから、自分が何者か見せてみなさい。」


なんで急にこんなことを?


俺は一歩下がって彼女の刃を避ける。彼女は俺を見て目を細める。


「動きが安定しすぎてる」と彼女は続ける。「持ってる力を全部使ってない。」


カン。


俺はまた防ぐ。「今日はどうしたんだ?」


彼女は小さく息を吐く。「別に。」


しばらく続けた後、彼女はようやく剣を下ろす。「今日はここまで。」


俺は少し力を抜いて息を吐く。「ああ」と言い、そのまま地面に倒れ込む。


彼女は少しだけ俺を見ると、振り返って屋敷の方へ歩いていく。


俺はしばらくその背中を見て、それから自分の手に目を落とす。昨日から様子が違う。


これはよくない。


その夜、屋敷は静まり返っている。皆が眠っている中、俺はベッドに座って考えている。ホワイトタイガースラッシュを使ったせいで体がまだ少し痛むし、マナも完全には戻っていない。あの技は思った以上に負担が大きかった。


俺は一度目を閉じる。今必要なのは力じゃない。制御だ。今は制御の方が重要だ。


目を開けて立ち上がる。「マリク」と小さく呼ぶ。


「うん。」


声が頭の中に響く。


「これから何かやる。」


「何を?」


「役に立つこと。」


俺は部屋を出て、誰もいないことを確認してから戻り、ドアを閉める。


一息ついて、ドメインを発動する。部屋が消え、いつもの空間に置き換わる。壁も床もない、静かな虚無。


【スキル:無限領域 発動】


俺はそこに立ち、集中する。「準備しておけ。」


手を少し上げてエネルギーを集め始める。今回はただの身体を作るわけじゃない。マリクとの戦いの後にシステムが与えたスキルを使う。


【スキル:魂転換 発動】


最初は仕組みがよく分からなかった。システムはただ解放しただけで、説明はなかった。このドメインの中で何度も試して、ようやく理解した。


これは魂を形に結びつける技だ。気を媒介にして繋げる。魂を壊したりコピーしたりするわけじゃない。ただ導いて固定する。そして一度結びつけば、その構造に従い、俺に応じる。


俺はもう一度手を上げる。「集中しろ。」


まず身体を作る。気で全体を支え、魂が入っても崩れないように安定させる。


その後、マリクの魂を呼び出す。紫に輝く球体として、俺の作った器の上に浮かぶ。


それを一気に身体の中に押し込み、完全に結びつける。


「…待て。」


マリクの声が変わっている。前より若く、ずっと人間らしい。


身体が安定していくのを見守る。白い髪が肘のあたりまで伸び、紫の目が開く。違和感のあった気配は消えている。完全に一つにまとまっている。


俺は小さく息を吐く。「…ああ。これでいい。」


俺は彼を見る。「これがお前の体だ。」


「つまり、完全に入ったってことか?」


「ああ。」


彼は指を動かし、肩を回して確認する。動きは滑らかで自然だ。


「他の影の連中にもやっておけばよかったな。こんな能力が手に入るって分かってたら、もっと魂を抜いておいたのに。」


だが今さらどうにもならないので、気にしないことにする。


【通知】


【名前を付与できます:____】


「名前か。」


「名前?」


「ああ。」


「人間の姿につける名前だな。」


少し考えて…決めた。


「シロ。」


【名前を付与します:シロ】


マリクが繰り返す。「シロ。」


俺は頷く。


「いい名前だな」と彼は言う。


「気に入れよ」と俺は返す。


俺は少し体を向け、剣を作り出す。「この体で戦えるか見てみたい。」


マリク——いや、シロは剣を見てから俺を見る。「今か?」


「今だ。」


彼は剣を取る。その瞬間、姿勢が変わる。


剣を使う戦い方はまだ見たことがない。


俺も剣を構える。彼も同じように構える。


「待て」と俺は言う。


ポーションを取り出し、一気に飲み干す。


【通知】


【マナが回復しました】


【MP:2300/2300】


これが俺のマナの正確な数値を見る初めてかもしれない。


俺はシロに向き直る。


「ヴァイレオン。」


体が大きくなり、身長と体格が変わる。完全に同じではないが、ほぼ並ぶ。


「これで差は埋まる。」


互いに見合う。


そして同時に踏み込む。


虚無が果てしなく広がる中、音もなく静まり返っている。


カン。


剣がぶつかる。だが手応えがない。俺の攻撃は最初から逸らされていたかのように外れる。


…何だ?


もう一度踏み込む。


カン。カン。カン。


角度を変え、速度を変え、リズムを崩す。


意味がない。


すでにそこにいる。


反応でも予測でもない。


ただ、そこに置いている。


「…何なんだこれは。」


答えはない。


彼が前に出る。


カン。


軽く触れるだけで体勢が崩れる。足が一瞬滑る。すぐに引く。


握りを強くして再び攻める。


カン。カン。カン。


一瞬だけ押せた気がする—


カン—


止まる。


刃が手首に触れている。


あと一歩で—


「力が足りない」と彼は言う。


俺は引く。「力が全てじゃない。」


彼が動く。


カン。


綺麗な一撃。受け止めるが衝撃が腕を抜ける。すぐに次が来る。


カン。カン。


速さでも力でもない。


正確さ。


全てが最適。無駄がない。


「…おかしいだろ。」


剣が一瞬ぶつかり合う。近くで見ても表情は変わらない。


「お前は力を使っていない。」


視線を鋭くする。「必要ない。」


「そうか?」


わずかな動き。


隙ができる。


トン。


刃が首元で止まる。


静寂。


…そこまでか。


彼は剣を下ろす。「制御はできてる。でも力を使うのを躊躇ってる。」


俺はゆっくり息を吐く。


そして握りを強くする。


「…いいだろ。そこまで言うなら、全部使う。」


空気が変わる。


風が集まり始める。刃に圧縮され、重く鋭くなる。静止した空間すら歪む。


彼の目がわずかに揺れる。


「…前とは違うな。」


背後に気配が生まれる。重く、捕食者のような何か。虎の輪郭が風の中に浮かび上がる。


剣を上げる。


「テンペストアート。」


風が収束する。


「ホワイトタイガースラッシュ。」


動く。


距離が消える。


一閃。


絶対。


一瞬—


何もない。


そして—


彼が動く。


一撃は空を切る。


すでに横にいる。


「…直線的すぎる。」


だが—


俺はすでに動いている。


カン。


再び衝突。風はまだ刃に残っているが、不安定だ。


彼の目が細くなる。


「…なるほど。」


初めて、彼がマナを使う。


淡い紫の流れが刃にまとわりつく。


空気が張り詰める。


すぐに分かる。


「…やっぱりな。」


彼が踏み込む。


カン。


衝突が変わる。


圧倒される。まるで意味がない。衝撃が体を貫く。すぐ次が来る。


カン。カン。


押される。足が滑る。


攻め続けてくる。


一撃ごとに近づく。


防ぎきれない。


「…終わりだ。」


最後の一撃に入る。マナが刃に集中する。


呼吸を整える。


…今。


風が動く。


外ではない。


内側へ。


圧縮。


強制。


精錬。


最後の瞬間、体勢を変える。


受けるでも防ぐでもない。


合わせる。


カン—!!


衝撃が走る。


一瞬—


止まる。


そして—


刃がずれる。


わずかに。


踏み込む。


一動作。


止まる。


首元。


静寂。


マナが消える。


風も消える。


動かない。


「…制御の勝ちだな」と彼は言う。


俺は息を吐く。「…ああ。」


彼は剣を見る。「力も制御もある。でも使い方が分かってない。」


肩の力を抜く。


「…違う。」と俺は言う。「…惜しい。」


少しの間、立ち尽くす。


「前は圧勝だったよな。何が違う?」


彼は剣を肩に乗せて笑う。


「…気分だ。」

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