赤VS緑
「ララの奴、あの化け物みてぇなガキ相手に圧倒してやがる」
広場での激闘を目の当たりにして、ビーディーは口角を上げる。
まさか自分でも苦戦したメル相手にララが圧倒するとは、悔しくもあり嬉しくもある誤算だった。
「ただあっちは……どうかな」
ビーディーが視線を動かす。
その先にいたのは、対峙するレオンとウルフであった。
覚悟の決まった表情でレオンがウルフを見やる。
「ララがメルを止めてる間に俺がお前を倒す。そして俺が〈魔獣王〉でメルと再契約を結ぶ……それで全部おしまいだ」
「残念ながらその計画には大きな欠点がある」
レオンの宣言をウルフは鼻で笑う。
「レオン、お前では私を殺せないということだ」
「奴の言うことはハッタリじゃない……!」
ウルフの言葉に、足を引きずるシンピが声を上げる。
「し、師匠! 無理しないでください!」
「いいから聞け……戦ってみて確信した。ウルフの奴、完全に元の力を取り戻している」
その言葉の真偽は、満身創痍のシンピの身体が物語っていた。
しかし、レオンの表情に翳りはない。
「なんだ。わかってますよ、師匠。大丈夫です」
そう答えて、レオンはソッと目を閉じる。
再び瞼を開くと、その眼は赤く染まっていた。
「今の俺は二人で一人……アイツには負けない」
まるで別人かのような様子のレオンに、シンピは目を見開く。
「レオン、お前……」
「ほう。〈魔獣王〉の力を従えたか。しかしその程度で勝てると思うなよ」
ウルフの瞳の緑が怪しく光る。
「喚くなよ……時代遅れの王様気取りが」
レオンの挑発に、ウルフの怒りが頂点に達する。
「ほざけ!」
ウルフが大地を蹴り、今、連邦の行く末と真の魔獣王を決する闘いが始まった。




