援軍
リンネが周囲の魔獣を両断し、ララが蹴り、殴り、吹き飛ばす。
しかし、それをいくら続けようと敵は次から次に湧いて出るため一向に数が減らない。
「くそっ、これじゃあキリがない!」
短剣で敵を斬りつけつつ、レオンが叫ぶ。
ウルフも対策を立てているのか、ララと魔龍にリソースを割いている〈魔獣王〉ではこの軍勢を操ることもできない。
「レオン、倒した奴らをネクロマンスしたりはできないの!?」
半ば悲鳴のようなリンネの提案にも、レオンは首を横に振る。
「できない! 今の俺のネクロマンスだとドラクルを動かすので精一杯だ!」
「じゃあやっぱり地道に倒すしかないってことね……!」
しかしこのままでは余りにジリ貧であることも、二人は理解していた。
――せめて増援があれば
そう思った時だった。
「お待たせしましたっ!」
快活な声と共に、レオンの視界にいた魔獣のうち一体が飛んできた何者かによって蹴飛ばされ宙を舞う。
そこにいたのは――
「――シュンラン!」
「レオンさん、ここは私達に任せてください!」
「私達?」
「はああっ!」
気迫のこもった鬨の声を上げ、シュンランに続き何人かの冒険者たちが魔獣に襲い掛かる。
見れば、そのうち何人かは以前レオンがリッチから助けたシュンランの仲間達であった。
「ノシュキルの冒険者のみんなか……!」
「そうです! みんな、レオンさん達の力になりたくて……それより、早く町に! 敵の首謀者とシンピさん達が戦ってます!」
「……! わかった。すぐに向かう! みんな、ありがとう!」
言い残してレオンとリンネがその場を後にする。
「ララ、『ついてこい』!」
レオンが言うと、すっかり戦闘に集中していたララもその場から離脱した。
「移動するの?」
「ああ。町にウルフが来ているらし……」
その時、海から喧しい砲の音が聞こえてきた。
レオン達が水平線を見やると、そこには船団より集中砲火を受ける魔龍の姿があった。
「まずい! ドラクルが……!」
反射的にレオンが海に向かって駆けだそうとする。
リンネは咄嗟にその右腕を掴んで引き留めた。
「待ちなさい! 海の上なんて助けようが……」
「陸だろうが海だろうが、空から行きゃ関係ねぇ。そうだろ?」
唐突に頭上より声が聞こえる。
レオン達が天を仰ぐと、そこには青き龍とその背に跨る背の低い少年の姿があった。
「オーバ! 来てたのか!」
「久しぶり……でもねぇか。ま、俺とジジに任せな。ドラゴンライダーの俺らならあの船をかく乱できる。だから」
オーバが真剣な瞳でレオン達を見る。
「アンタらはあのやばそうな野郎んとこに急げ」
レオンは大きく頷き、町の方角に一目散に駆け出す。
「ドラクルのこと頼んだ! オーバ、ジジ!」
その背を見送ることもなく、オーバは真っ直ぐに海を見やり、ニヤリと笑う。
「頼まれた……いくぞ! ジジ!」
ジジと呼ばれた龍は咆哮を放つ。
魔龍事変の際よりもどこかオーラを纏った一人と一体は、海に向かって青い弾丸のように飛び出していった。




