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膨大な魔力を持つ俺は、魔法の才能が無い  作者: そら
魔剣覚醒と闘技大会
26/37

超一流 対 超一流

称号持ち対決の行方は?

―シスマーニ闘技場―


「さァ!!皆様お待たせいたしました!!!!いよいよ今大会初の、称号を持つ者同士の対戦です!!果たして最後まで立っているのはどちらか!?その瞬間を見逃すなっっ!!」


 そんなテレビ番組にありそうな用意されていたセリフでも、やはり観客たちのボルテージは最高潮に上がっている。そういう俺も、どんな試合になるのかワクワクして仕方がない。

そんな浮かれた空気の中、凛とした佇まいで<戦華>が入場した。


「まずはシイラ・ベスティア選手が姿を現したーっ!彼女の性であるベスティアは『獣』という意味がありますが、その闘う姿は美しく、正に「戦場に咲く華」でしょう!今日も間違いなく、我々を魅了してくれるに違いありません!!」


 そんな紹介が言い終わるや否や、彼女は何も無い所で躓いて転んだ。

表情は変わらないが、一気に顔が紅潮くなる。

締まらないが、観客たちはそんな彼女の姿に和んだようだった。


 そんな中、団長――フェイト・グリムが入場する。


「そして!忘れてはいけないこの男!!前回、前々回の優勝者であり、その実力は皆さんの記憶に焼付いていることでしょう。「一瞬の下に断つ」その剣技は、シイラ選手にも牙をむくのか!? 優勝候補の筆頭!フェイト・グリム選手っっ!!!!」


 両者ともに、至って冷静そのもの、という感じだ。


(勝ってくれよ、団長!!)


 超一流同士の対決が始まるのだった。




「私から仕掛けても?」


 シイラが問いかける。


「もう試合は開始されているよ」


「ふ、では……参るっっ!!」


 シイラが何も握られていない両手を振り上げて、そのまま勢いよく振り下ろす。

すると、衝撃波が地面を抉りながら、グリムへと迫る。が、グリムはそれを無駄なく半身をずらして躱すと、そのまま衝撃波は壁にぶつかり、張り巡らされた結界によって消滅した。


「そんな攻撃が通用するなどと思っていないだろうに」


「もちろんだ。だが、牽制にはなる」


 再び、シイラが衝撃波を飛ばす。しかし、相変わらずその手には何も持ってはいない。


「牽制に……?あまり俺を舐めるな、シイラ・ベスティア」


 グリムは衝撃波を掌で受け止めると、そのまま握りつぶして無効化してみせた。


 恐らく、観客の殆どが何が起こっているのか理解できていないだろう。

客席にはチラホラと予選に参加した者が観戦しているが、彼らですら理解できているのか怪しい。

客観的には、勝手に地面が割れているだけにしか見えないからだ。


 シイラが飛ばしているのは斬撃による衝撃波である。彼女の手には見えざる剣が確かに握られており、その剣はある条件以外では、他人には決して見る事が出来ないのだ。


「私の斬撃を素手で受け止めるなど、あなたが初めてだ。とんでもない物理抵抗(レジスタ)の強度だな」


 シイラは嬉しそうに笑う。そして高速で移動しながら、四方八方から先程よりも威力のある斬撃による衝撃波を飛ばす。


「言ったはずだ。あまり俺を舐めるなよ、と」


 そう言いながら、迫りくる衝撃波に対してグリムは微動だにしない。そしてそのまま……。


 ドゴオオォォ!!!!

と、けたたましい音と共にグリムを中心に砂塵が巻き上がる。


「牽制というのは、これがあるから危ないぞ、と思わせなければ、意味を成さない。お前のその技は、俺にとって一切の脅威がない」


「は……はは、は。まさか、これでも無傷だっていうのか!!」


 またもシイラは笑う。


「いいですね。イイですよ!!やっと、やっと私は全力が出せる!!」


 シイラの纏う魔力が一気に膨れ上がる。


「この先は、私自身も知らない領域だ。手加減は一切期待しないでくれ」


ミーナ(他人)の事情を考えず、君が望んだ正々堂々だろう?遠慮する事はない。とっとと来い!!」


 グリムは自分は決して冷静ではない事を知っている。

周りは『しっかり状況を把握していて、常に冷静だ』と言うが、それが違うという事を。

自分自身が、激情家だという事を。


 シイラが笑いながらユラ、ユラと身体を揺らしている。ピタ、と止まった次の瞬間だった。


「っ!!!!」


 グリムの反応が追い付かないスピードで追い越すと、彼女はそのまま後ろの壁へと激突していた。


「いたた、失敗。だが、次はしっかり当てる!」


 グリムは左腕に違和感を覚え、ふと目をやると、服が裂かれ、血が滲み出ていた。


(なるほど。流石は称号持ち、という事か。)


 グリムが剣を構える。

ヴェルト、フィンラル、シャルールの三人はその構えを見て瞬きをやめた。

秘奥剣壱ノ型<屠ル者(スレイヤー)>である。

それも、炎と雷の二つの属性を纏っている。


「どうやら、あなたも本気で迎えてくれる気になったようですね」


 シイラも構える。その手に握られている剣――虹光刃(アロンダイト)が七色に発光し、その姿を現した。


「私も最大の奥義で向かわせてもらおう!!」


 炎、氷、風、雷、地、光、闇。それら全ての魔法属性が開放されること。虹光刃が唯一その姿を他人に現す条件であった。


螺旋閃光(らせんこう)、参る!!!!」


 刀身の周りに七色の光が螺旋を巻く。

そのままグリムへ向けて一直線に剣を突き出すと、七つの光が螺旋を描きながら放たれた。

一つ一つの光が、上級魔法を纏った斬撃であり、まともに喰らえば立ち上がるのは不可能だろう。



 そんな攻撃が迫る中、グリムはまるで動く気配を見せなかった。

まだ構えたまま、剣を抜く動作すら取っていない。


「もらったっ!!」


 シイラが左手を前に出し、人差し指を曲げると、それに呼応するように一つの光が別方向へと別れる。

同じように他の指も曲げていくと、七つの光はそれぞれ別方向からグリムの逃げ道を塞ぐように迫る。

完璧にグリムを捉えた光が、容赦なく襲いかかった。


 キィィィン、と一際高い音と、ドオォォンという大きな爆発音が同時に鳴り響く。

この高い音は、相反する魔法が同威力でぶつかった場合に起こる共鳴現象だ。


「まともに入った!!流石に決まっ――」


「【迅雷(ブリッツ)】」


 グリムがシイラの後ろを取る。


「え……」


「【劫火(ヘルファイア)】」


 グリムの手がどす黒く燃え盛り、スルッとシイラの脇腹を貫くと、シイラの身体が一瞬で炎に包まれた。


「ぐぁ……、ぎゃあああああっっ!!!!!!」


 とてもあの清廉な見た目の女性が発しているとは思えない絶叫が響き渡る。

グリムは彼女を冷ややかな目をしながら見つめ、言い放った。


「他人の事情を考えずに、自分の我儘を押し通す。確かに弱肉強食の世の中じゃ、それが摂理だよ。でもね……」


 グリムの目が、シイラを睨みつける。


「それはいつか、より大きな力によって覆されるんだ。因果応報、ってね」


 燃え続けるシイラを見定め、グリムが再び秘奥剣の構えを取る。

最後の一撃を放たんとした時だった。

シイラが中指を立てて、真っ直ぐグリムへと視線を送る。

するとグリムの背後から、青い光が迫る。


「チイッ!!」


 間一髪、グリムが回避するも、左足をかすめ、そのままシイラの身体を光が包み込んだ。

青い光はたちまちシイラを燃やし続けていた炎を鎮静化し、再び虹光刃へと戻る。


「う、くっ……危なかった。あと二秒、私の意識の回復が遅れていたら、確実に戦闘不能になっていたよ」


 シイラの左半身は、もはや炭になっていると言っても過言ではない程に黒く焦げており、とても剣を握れるような状態ではなかった。かろうじて右手に握られてはいるが、重度の火傷による血液の低下で痙攣を起こしていた。


「もうよせ。既に戦闘続行は不可能だ」


「まだだ!!まだ私は全ての力を出し切れていない!!」


「……戦闘狂(バトルマニア)が!!ならば、終わりにしてやるまでだ」


 グリムの身体がオーラに包まれ、バチバチとスパークが現れる。


「打たせるかああああぁぁぁっ!!!!」


 シイラが再び螺旋閃光を放つ――前に決着がついた。


「遅い」


 【迅雷(ブリッツ)】による稲妻と同じ速さでの移動を、目で捉える事が出来る訳もなかった。

バチイィィ!!!


「あがあぁぁ!!!!……カハッ」


 電流を纏った手刀をシイラの首にストン、と落とし、シイラは気を失い戦闘不能となった。

屠ル者(スレイヤー)>の真価は剣撃だけでは無く、グリムがその魔力同調率の高さにより、属性効果そのものを身に着けるものであった。雷の速度での移動を可能とし、雷と同じ威力の電撃や、マグマをも超える温度の炎さえ身にまとう。




「しょ……勝者、フェイト・グリム!!」


 グリムの今大会二度目の勝利は、またもや歓声が上がる事無く幕を閉じたのだった。

登場人物紹介や、魔剣、魔法の紹介・説明を上げて欲しい方はいらっしゃいますかね?

もしも知りたいという方がいれば、トーナメント編が終わり次第、載せてみようかなと考えております。

ツイッターやコメントなどで教えてくださいませ(*´﹃`*)

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