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膨大な魔力を持つ俺は、魔法の才能が無い  作者: そら
魔剣覚醒と闘技大会
18/37

決勝トーナメント前夜

いつもより少し短いですが、区切りの良いところで終わりたかったので!

ともあれ、最新話です!よろしくお願いします(´vωv`*)

―シスマーニ闘技場―


決勝トーナメント出場選手が、一同に闘技場へ集まっている。

今からここで、くじ引きでトーナメントの抽選会を行うのだ。


先ずは四人のシード選手から。

前回大会の優勝者である団長が、壇上へ上がると、場内から歓声が上がる。


「フェイトー!今年も期待してるぞー!!」

「キャー!グリム様ぁー!!こちらを!こちらをご覧になって!!」


(おぉ、凄い人気だ。さすがに知れ渡ってるんだなぁ)


団長はクジの入った箱の前に立つと、一度振り返り、歓声に応えるように手を上げ、一礼する。

たったそれだけの所作なのに、黄色い声援が再び、ある意味では怒号のように発せられた。


「それでは、フェイト選手。くじを引いてください」


司会に促され、箱に手を入れる。引き当てたのは……。


「Aの五番、ですね」


「はい、それでは一回戦、第三試合でのスタートとなります。続きまして、シャルール選手」


長身の男が壇上へ上がる。

反対側の階段を下りていく団長に一瞬、目を運ばせ、すぐさま箱の前に立つ。


「シャルーっ!今年はお前が勝つぞ!!」

「リベンジだー!負けるなよー!」


と、前回大会の雪辱を晴らすことを期待した声援が飛び交う。

シャルールは、無言で箱の中から紙を取り出し、中を確認もせずに司会へと手渡す。


「はい、シャルール選手はAの四番です!一回戦第二試合での登場です!続きましては、初参加!シイラ・ベスティア選手。壇上へお願いします」


整った顔立ちに、スラッと伸びた手足が会場の目を引く。

凛とした立ち振る舞いに、俺たち参加選手もある種の緊張が走っていた。


団長と同じく、壇上で一礼をし、箱に手を入れる。


「んっ……」


一瞬、シイラ選手から声がもれたかと思うと、何事も無かったかのように紙を取り出し、中を確認する。


「……。Aの八番だ」


そう言って足早に階段を下りる。その姿を目で追っていると、人差し指を咥えはじめる。

そこで全員が理解し、同じことを思っただろう。


(切ったのか……。ドジっ子……)



ここまでシード選手四人中三人がAの山を引くという、とんでもない結果になる。

そしてそれは、団長とシイラ選手にとっては不利に傾いていた。

順当に行けば、二回戦、準決勝、決勝と、連続でこの化け物達と戦う事になるのだ。


「次は……こちらも初参加ですね。ザクス・クレイル選手、壇上へどうぞ」


場内がどよめく。

無理もない。かの有名な、<剣聖>の異名を持つ『最強の剣士』の登場だ。


コツ、コツ


ただ歩く音だけが響き渡る。


歩いているだけなのに、なぜ俺はこんなにも目を奪われる?

なぜこんなにも、手汗をかいている?


あれだけどよめいていた場内が、閑散としているような感覚。

まるでこの場に、俺と<剣聖>、二人しかいないかのような、そんな感覚が俺を包んでいた。


「……ルト選手。ヴェルト選手!壇上へお願いします!」


俺はハッと我に返ると、いつの間にか俺の順番になっていたらしい。

急いで壇上に上がると、歓声が聞こえてくる。


「緊張すんなー!本番は明日だぞー?」

「フェイトの弟子なんだってなー!いいとこ見せろよー?」


そんな声に俺は背中を押される思いだった。

そして……。


「Bの三、です」


「はい!それでは一回戦の第六試合ですね!大丈夫。今はまだ、リラックスしてください!それでは続きまして……」



こうして、全ての抽選が終わり、組み合わせが巨大なモニターに名前と何かの数字が表示される。


第一試合 ミーナ・ファレン(6294) 対 フィンラル・ゼルファルド(5920)


第二試合 ガイル・シュルト(5441) 対 シャルール・レオニス


第三試合 フェイト・グリム 対 レイヴァン・マクダウェル(8933)


第四試合 ルーク・ファレン(5762) 対 シイラ・ベスティア


第五試合 カイト・ピエール(8412) 対 クレスタ・グローリィ(10283)


第六試合 ヴェルト・ダンツァー(6086) 対 クラレンス・オリヴァー(7550)


第七試合 エリオット・クレイドル(14403) 対 ケイ・アマガサ(7908)


第八試合 ザクス・クレイル 対 スケイル・レティーシア(3679)


となった。


そして、一回戦の注目試合として大会側が選んだ試合がある。

この注目試合では、普段は国法にて禁止であるはずのギャンブルが解禁される。つまり、どちらが勝つかの賭けである。


その注目試合に選ばれたのは、第一試合『ミーナ・ファレン 対 フィンラル・ゼルファルド』と、第六試合……『ヴェルト・ダンツァー 対 クラレンス・オリヴァー』であった。


更に、『強さを数値化』する機械が予選時に作動しており、全員が計測されていた。この数値を『魔闘値』と呼び、ある程度の判断基準とされる。

しかし、潜在的な魔力や身体能力を計ることはできないので、あくまでも『基準』なのだそう。


シード選手は戦闘が無かったので、『魔闘値』は計測されていない為にモニターには数値が出ていない。


自分の試合が賭け事に使われるのは、正直あまり良い気分ではなかったが、国が認めている以上は個人としては何も言えない。



そして、いよいよ大詰めとなった所で、優勝賞品が俺たちの眼前に現れ、紹介される。


「皆さんは『聖剣・アシュカロン』という名前を、聞いたことはありますか?そう、『魔剣』ではなく、『聖剣』です。そうです、かの有名な四百年前に魔王を打ち破った、勇者フリクトが振るいし伝説の剣、それがこの『聖剣・アシュカロン』なのです」


この説明では紛らわしいが、魔力が通った武器を『魔剣』と一括りにしているので、『聖剣』もまた、『魔剣』である。


「この他にも、『聖剣』と謳われる武器は、この世にいくつか存在しています。しかし、これほどの強力な魔力を秘めた『聖剣』は、他にはないと、国王も自負しておられます。お気づきの方もおりますね?そう!!この大会の優勝者には、この『聖剣・アシュカロン』が贈呈されます!!更に、このアシュカロンには……」


歓声が沸く。参加者も目を輝かせているものが多い。

否が応でも期待がが高まるのだろう。


しかし、俺は別の意味で動悸が激しくなっていた。


(四百年前……勇者フリ……ク、ト?)


心臓が強く跳ねる。


俺はふと、視線を右後方へと向けた。

左目を抑えながら、不気味に笑う<剣聖>の姿を捉え、更に心臓が跳ねる。


(ドクン)

((ドクン))


まるで頭の中に心臓があるのではないかと思える程に、()()()()()()()。確実に何かを訴えているのだ。俺の前世を。俺の過去を。



気が付けば、優勝賞品のお披露目が終わり、闘技大会初日が幕を閉じる。

団長やフィンラルが俺に声を掛けてきた時には既に、鼓動も収まっており、ティアーナとも合流する。


「フィンラルさん、ヴェルト、お疲れ様!」


「ありがとう、ティアーナちゃん。お祝いはほっぺにちゅーで頼めるかな?」


などとふざけだすフィンラル。


「コラコラ、あまり調子に乗るな、フィンラル。後ろで騎士(ナイト)様が怖ーい顔で睨んでいるぞ?」


と、団長も一緒になってからかってくる。


「んな顔してねーよ!ったく。……ありがと、ティア」


ティアーナが優しく微笑む。


俺はこの心地良い安堵感に包まれながら、考える。


この先俺は、ずっと前世の記憶に悩まされるのか、

このまま進めば、この居場所は無くなってしまうのではないのか、

アルマスが言っていた、俺の身体(なか)にある魔王の力の『覚醒』は、俺を俺じゃなくしてしまうのではないかという不安。


そんな不安が安堵感と混じり合って、焦燥感へと変わる。


(俺にはやらなければならないことがある。まだ、『俺』を終わる訳にはいかないんだ!!)


曇った心とは裏腹に、夜空は燦然(さんぜん)と輝いていた。

いよいよ次回からトーナメントがスタートです!

皆さん、良かったら誰が勝ち上がるのか、予想してみてください♪予想コメント等もいつでもくださいね!

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