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膨大な魔力を持つ俺は、魔法の才能が無い  作者: そら
魔剣覚醒と闘技大会
13/37

二人の『ルーキー』

お待たせしました!

続きをお楽しみ下さい

 ―ガルガンディ・アルゴの店―


()()()()()()()()!」


二つ返事でアルゴさんは団長の申し出を受け入れる。

あまりにも即決なので、俺も団長も顔を見合わせてしまった程だ。


「実を言うと、元々その剣は、ヴェルトさんに差し上げるつもりでした。命の恩人ですからね。ですが、ただ渡そうとしても、きっとあなた達は断るでしょう?なら、ある意味既成事実を作れば受け取ってもらえると思いましてな」


「あっはっは!それはまた策士ですね。見透かされてるな、ヴェルト」


ふぅー、と長めに息を吐き出して


「アルゴさん、本当に受け取っても良いんですか?家宝だって仰ってましたよね」


アルゴさんは首を横に振る


「ええ。しかしそれはしっかりとした魔剣であれば、の話です。現状、未完成の魔剣では私自身も納得して店には並べられません。そしてそれは、私の力では復元不可能ですからね。ただの宝の持ち腐れでしょう」


ハッキリとアルゴさんが告げる。


「わかりました。それでは俺が責任を持って零の氷刃を魔剣として完成させてみせます。そして、俺がこの剣を必要としなくなったとき、そうだな……。フィーに引き継いでもらうとするかな?」


フィーが驚いて目を丸くする。


「ええっ!?魔力のない僕じゃとても扱いきれないですよ」


「別に使えなくたっていいじゃないか。託されたものを、次の世代に託す。それが家宝って物だろう?それに、魔法が使えない俺にだって扱えるようになったんだ。いつの日かフィーだって扱えるかもしれないだろう?」


俺はフィーに優しく言い聞かせる。


「ただ、先ずは明後日の闘技大会だ。早速この零の氷刃になれる特訓に入ろうと思います。フィーに胸張って渡せるように、この剣に箔をつけなきゃな!」


「はっはっは!強気ですな、ヴェルトさん」


「まだ、お前に負けてやるわけにはいかないがな」


団長が余裕の笑みを浮かべ、こちらを見る。


「俺もいつまでも、団長のスネかじってる訳にもいかないからな」


「ふふふっ、楽しみですね、大会。僕たちも魔素テレビで応援してます!」


 フィーによると、今年からレイクラント中に同時生中継されるようになったのだとか。

去年まではフリクトローアでは生放送はされなかったので、一日遅れでニュースで情報が入った。


 因みに団長は去年、一昨年の優勝者で、去年の決勝は聖印騎士団(セイクリッド)の団長で<与奪>の異名を持つシャルール・レオニスと、およそ二時間に渡っての試合が行われた。



 ―レイクラント―

王都シスマーニと中心とした、俺たちが暮らす国の名前。

大まかに、フリクトローア、カサド、スランクーリャ、そしてシスマーニがレイクラント四大都市と呼ばれる。



「よし!そうとなりゃ、早速修行開始だ!」


俺は居ても立ってもいられず、勢いよく立ち上がった。


「我々も、ヴェルトさん達に負けないように、しっかり稼がないといけませんなぁ!」


アルゴさんがガハハ、と豪快に笑う。フィーは胸元で両手を握る。


「格好良いところ、見せてくださいね、ヴェルトさん!」


「任せとけっ!」


俺は胸を叩いて、意気込んで見せたのだった。



―王都シスマーニ・カロッサ区―


王都に戻り、軽い魔素酔いを感じながらも、ティアーナがいるホテルに戻ろうと団長と共に歩いていた。


「ん?なんだ、あれ」


途中、第二ギルド<天裂蒼牙(てんれつそうが)>の前に、人だかりができていた。

何があったか聞いてみようと、俺たちはギルドに近づいて、手前にいた青年に話しかける。


「君、ちょっといいかな?この騒ぎは何が起きたか知っているかい?」


「詳しくは分からないんですが、なんでも教会のシスターがギルドメンバーの一人と揉めているらしくて……」


「!団長」


「ああ!」


瞬時に、俺たちが昨日街まで護衛をしたシスターであろうと判断した俺達は、急いで中へと入るのだった。


ギルドの中では、今にも飛び掛かりそうな勢いで女性に捲し立てている若い団員の怒声が響き渡る。

数名の団員が肩を抑えて、制している状態だった。


「だぁから!何度も言ってんだろぉが!窃盗は犯罪で、ギルドはそれを処分するのが仕事なんだよ!それもてめぇの荷物を取り返してやってんだろォが!!」


「それでも、です。話し合いで解決できることもあるのです。それを貴方はいきなり相手を傷つけて……。暴力は争いしか生みません。私はそんな貴方に命を預ける事なんてできませんわ」


「ふっざけんなよこのアマぁっ!!」


若い男が押さえを振りほどき、シスターに向かっていく。


ガシィ!


間一髪、間に合ったようだ。

団長が男を抑え、俺がシスターの前に出て庇うような体勢になる。


「あっ、ヴェルトさん、フェイトさんも!」


「んだよ、テメーらは?邪魔してんじゃねーぞ!!」


若い男がさらに暴れようとするが、団長の拘束が完全に決まっているので、振りほどくことが出来ないでいる。


「失礼した。我々はフリクトローアのギルド、蛍火の団長、フェイト・グリム、並びに部下のヴェルト・ダンツァーだ。事情は聞かせてもらった」


団長が名乗ると、男は暴れることを止め、周りがざわつき出した。


「……オイオイ、本当かよ」

「あいつが噂の<瞬断>のグリム……」


団長は気にせず、話を続ける。


「余計なお世話をするつもりはなかったが、そちらのシスターとは少々面識があるものでね。とても彼女が手を上げられる程の事件を起こすとは考えにくいのだが、どうだろう?」


「……他所のギルドが出しゃばってくんじゃねぇ!これは俺たちの問題だ、引っ込んでろよ」


その言葉に今度は俺が反論する。


「確かにギルド間での揉め事は禁止条令にあたるだろう。だが、共通条令では罪のない人間への暴力行為、及び迫害行為は禁止条令はあたらない」


だが、予想通り、彼は面白くないといった顔をして


「エラそーに抗弁垂れてんじゃねーよ!俺を黙らせたかったら、力尽くで捩じ伏せてみろ!正面から正々堂々なぁ!!」


すると男の肩がグリンと大きく円を描く。

肩の関節を自ら外して、両脇から腕を通すようにしていた団長の拘束を破って見せたのだ。

さらに大きくグリンと肩を回して、再度関節をハメて見せた。


「オラァっ!くたばりやがれェェぇぇ!!」


言葉と同時に俺に飛び掛かってくる。異様に発達した犬歯が、興奮で見開いた瞳孔が、そして、先ほどまでは確かに無かった鋭く尖った爪が、まるで獣のように映る。


「「そこまでだ!!」」


ロビー全体に響き渡る声に、その場にいた全ての者が静まり、声のした方へと振り返る。

攻撃を繰り出していた若い男も攻撃態勢を止め、地面を蹴って後方へ飛び退いた。


「ふふ、来るのが遅いですよ、『団長』」


「ははは、済まなかったな、フェイト。どうやらうちのが迷惑をかけたようだ」


団長に『団長』と呼ばれた大男は、まさに筋骨隆々の体躯を持っており、背中に背負った大剣と相成って、相当の威厳を感じさせた。そしてその威厳はすぐさま若い男に向けられる。


「クレスタ!全くお前は、いつもいつも問題を起こしおって!」


「でもよぉ、気に入らねぇよ!俺はこの女の為に荷物を取り戻してやっただけなんだぜ?なのにこいつは感謝するどころか、俺を『間違っている』の一点張りだ。冗談じゃねぇ!」


「わかったわかった。お前の話はちゃんと聞いてやる。先に俺の部屋で待ってろ。いいな」


「チッ、わーったよ、親父」


あれだけ血の気が多かったクレスタという男が完全に丸め込まれている。

だが、確かに分かる。この大男はフェイト・グリム級(師匠クラス)の強さだ。


「おい、そこのお前!」


立ち去る途中で止まり、俺に話しかけてくる。


「明後日の闘技大会、テメーらも出るんだろ?そこで決着(ケリ)付けてやる。精々あっけなくやられないように腕磨いておくんだな、真面目(いいこ)ちゃんよぉ!」


どうやらクレスタも参加者のようだ。


「……一応名乗っておくぜ。クレスタ・グローリィ。テメーを負かす名前だ。刻んどけ」


「ヴェルト・ダンツァーだ。こちらとて、負けるつもりはない」


俺の言葉を聞いて、クレスタは去っていった。


「やれやれだ。して、この(わっぱ)がお前の教え子か?フェイト」


「ええ。ヴェルト・ダンツァーです。まだまだ粗削りですが、中々のセンスを持っていますよ」


その会話が耳に入り、俺は二人の元へ歩き出す。


「お初にお目にかかります。ご紹介に預かりました、ヴェルト・ダンツァーと申します。会話から察するにグリム団長のお師匠とお見受けします」


「ガッハッハ!固い固い!そう畏まらんでよろしい。すまんな、あのバカ息子が迷惑をかけたようだ」


「いえ、出過ぎた真似だったかもしれませんね。ただ、相手が知り合いだったもので、居ても立ってもいられなくなりまして」


そうして俺は視線をシスターに向ける。

問題の中心である彼女は、俺の後ろからスカートの裾を持ち上げて挨拶をした。


「聖アルメリア協会のシスターで、アメリア・二ムレットと申します。この度は大変ご迷惑をおかけいたしました」


アメリアは深々と頭を下げた。


「ふむ。詳しい話は後ほど聞かせてもらうとして、俺も自己紹介くらいはしておこう。この第二ギルド<天裂蒼牙>団長のランドルフ・グローリィだ。クレスタは俺が拾ってきた孤児でな。生死の境を背中合わせに育ってきたからな。なかなかあの性格が直らんのだ。失礼したな」


ランドルフもまた、俺たちに深々と頭を下げる。



「アメリア殿の護衛の任は、私が受けよう。よろしいか、アメリア殿」


「申し出に感謝いたします。こちらからもお願いいたします」


(……何とか、一件落着かな)


俺は心の中で緊張が緩むのを感じていた。


「時にフェイト。今年も大会に出るんだったな」


「ええ。まあ、ちょっとした運動にはもってこいですからね。いろいろな流派とも戦えますし、いい刺激をもらえますよ」


団長がそう言うと、ランドルフは嬉しそうに笑みを浮かべながら


「そうか。だが今年は『ちょっとした』運動どころではないだろうな。すでに情報があった<剣聖>と<与奪>はもちろん、今年はあの<戦華(せんか)>やここ最近で噂がよく流れるようになった東方の国(ジャポーネ)の『侍』も参加予定らしい」


ランドルフの口から次々と語られるビッグネームの数々に、俺の感情は期待と恐怖の入り混じった渦に支配された。


「ええ、ですが、私の楽しみはそれ以外にも。ランドルフ団長もそうでしょう?」


「ははは、お前はもう俺と同じ立場の人間だ。俺はもう、『お前の団長』じゃないんだぜ?まあ、そうさなぁ。そこの童も含めて、『ルーキー』がどこまで行けるのかってのも、この歳になると楽しみにはなってくるな」


ランドルフが俺を見つめる。


「いい目だ。全力出して、胸を借りてきな」


「はい!ですが、お言葉ですがランドルフさん。俺は団長にも<剣聖>にも、負けるつもりでは挑みません!」


それを聞いたランドルフは、唇を緩ませ、それを隠すように右手を口元に運んだ。


「お前の若いころそっくりだな、フェイト」


「はは、自分でもそう思います」


「ともあれ、本番は明後日だ。俺も見に行くから、精々楽しませてくれよ」


そう言って、背中を向けて手を上げながら、ランドルフが去っていった。続いてシスターアメリアが一度振り返って

「今日はありがとうございました」

と礼を言い、慌てて後を追う。


「では、改めて、ホテルへ戻ろうか」


「そうだな。もう腹ペコだ」


そうして俺たちは、周りの注目を集める中、<天裂蒼牙>を後にした。



 ホテルの部屋に着いた俺が見たものは、あまりにも凄惨な光景であった。


「………………」


部屋にいたティアーナは、かれこれ三十分は、何も言わずにそっぽを向いている。


「置いて行って悪かったよ、ティア。どうか機嫌を直してくれ」


出かける前に報告はしたのだが、どうやらそれは無効らしい。


「確かに、具合の悪いティアを一人置いていくのは心配もあったけど、ティアはいつもしっかり者だからさ。甘えちゃってた部分があったんだ。ごめんな」


「…………」


「安静にしてもらって、少しでも回復していて欲しかっただけなんだ」


「……わかった」


ようやく口を開いてくれた。


「もう体調は大丈夫なのか?」


「ええ。浄化魔法でアルコールの毒素を抜いたから、心配はいらないわ」


浄化魔法は、身体にある毒素やウイルスなどの病原体を取り除く魔法だ。

しかし、一気に強くかけてしまうと、人体に必要な菌まで消してしまう恐れがあるうえ、急激な変化に脳が混乱し、更に体調が悪化してしまう。二日酔いで頭痛に見舞われたときにこれをやってしまうと、頭痛が強まったり、関係ないのに腹を下したりするのだ。


「よかった。じゃあ、この後一緒に行こう!俺にはティアが必要なんだ」


それを聞いたティアーナは目を輝かせ、ぱっと笑顔が咲いた。

大会って、テンション上がりますよね!

小学生の頃、某漫画の天下一武道会の組み合わせを考えて、妄想でデュクシして遊んでました!

それがもうすぐ書けると思うと……

オラワクワクすっぞ!

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