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嫌です。

早くも毎日の更新が難しくなってきました。


ああ、休みが欲しい。


「よぉ、ハジメマシテ 勇者クン」


シューインに国王だと紹介された男の第一印象は「普通」の一言だった。


歳は三十歳の半ばといった所だろう。 短く刈られた茶色に染まった髪と顎の髭が似合う中々格好の良い男だ。 高そうなスーツをだらし無く着崩しているのだが、この男だとそれすらも様になっている。

何処からどう見ても普通の男だ。 しかしシューインが国王と呼び、そして僕を勇者と呼んでいるのだ。 この男も当然誘拐犯の仲間、そもそも首謀者であるのかも知れない。


「俺の名前は春日井 条助。 知ってるかはシラネェが、朝日町の町長をやってる」


知らなかった。というか自分の町の町長の顔も知らないんだから隣町の町長の顔なんぞ知っているはずがない。しかし町長?


「陛下、貴方の名はアーサーです。それに、その格好は何ですか? 俗世にかまけた格好をしていると民に示しが付きませんよ」

呆れたようにシューインが溜息をつく。


「生憎と俗世にもヤルことは沢山あるんだよ。 ああそれと俺の一張羅なら今修復中だ。 いつ戻って来るかはシラン」


「そうでしたか。 洗礼が終わり次第勇者殿の装備も仕立てなければ為らないというのに、困ったものです。陛下、造剣部の件ですが、」


「あの、僕はこのまま放置ですか」


何やらこのまま二人で長話でも始めそうな雰囲気だったので、つい口を挟んでしまった。 すると国王兼町長の方が一瞬キョトンとした後、何か面白いものでも見つけたような笑みを作った。何だというのだ。

「なんだよシューイン。今回の勇者は随分と落ち着きの有りそうな奴を選んだじゃネェか」


「勇者を選ぶのはこの世界の運命とでも呼ぶべき、上位存在です。 私では有りませんよ」


「ハン。ま、それはどうでも良いこった。 んで勇者クン、聞きてーんだけど、お前が`召喚´された理由ってのはシューインか誰かからもう聞いたか?」

国王兼町長が僕に視線を向ける。


「 いいえ。何故僕が`誘拐´されたのか、その理由を僕は全く教えられていません」


「誘拐、ハッ。 まあ、お前からすりゃ確かに俺らがしたのは誘拐だろうさ。 しかし俺らにとってはチッと意味合いがちげぇ。 よし、まずはそっから説明スッか」


国王兼町長が懐からタバコを取り出し火を付けた。 ん、今ライターを取り出してたか?


「お前、魔王を倒すため異世界に召喚された勇者の話、ってどっかで見たことネェか?」


そりゃ見たことはある。

「お前は正に、その召喚された勇者だよ。 尤も、倒して欲しいのは魔王じやネェし、異世界よりゃ近めな隣町なんだけどな」


「は、何言ってんの」


いや、確かに勇者と呼ばれたし召喚だとか言っていたが。


結局こいつもシューインとかと同じ類の妄想と現実の区別がつかなくなった 頭の痛い奴ということか? まともなのは格好だけってことかよ。


「いや、冗談じゃないぜ、マジマジ。 俺の座る椅子を賭けても良い」


「パイプイスなんて要りませんよ」


「このパイプイス、王座って名前なんだぜ。 なんせ王様が座ってんだからな」


「陛下。話が脱線していますよ」


シューインが窘める。その疲れた顔を見るになかなかの苦労症らしい。 良い気味である。


「つまりお前にゃ、勇者としてこの町の為敵と戦って欲しいのさ。 どーよ、心踊る展開だろ。勿論答えは決まってるよな」


国王兼町長は自信満々の、世界は全部俺のものとでも言わんばかりの顔をしている。


そんな目の前の男に僕が帰す言葉は当然、


「嫌です」


これ一択だ。


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