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星の導きの下に  作者: 音頭


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ばれたならしょうがない

「…。」


目が覚める。ひんやりとして真っ暗な場所。おまけに狭い。

俺は服は着ておらず、陰部に布が被せられているだけで全裸だ。

(これ現実か?…痛!現実か。)

頬を思いっきりつねると痛みがある。間違いなく現実であった。

(ちょっと整理しよう。)

死ぬ→八咫烏に付いて行く→流星に捕まる→地面に突き刺さる→今に至る

(何この展開?ひどい導入だな!?

っていうかここ何処よ。真っ暗でわからん。)

(魔眼を使いますか?)


ガン!


「痛~!」


いきなり話しかけられて、頭ぶつけちゃったじゃん。もう、誰!?

(…。)

だんまりかい。恥ずかしがり屋さんめ。

(使いますかと言われたら…使うっしょ。)

(了。)

そこは反応するのね。


突如として視界が明るくなる。

ここがよく…よく…どこか分かる?


「どこだここ!?」


予想以上の分かりにくさで叫んでしまった。

目の前には鉄格子、遠くには錆びた剣やら盾やら様々なものが無造作に放置されている。

倉庫にしては汚い。これじゃあまるでごみ箱だ。


「ひょっとしてごみに捨てられた!?」


なんてこった。転生したらごみに捨てられましただって、冗談じゃない。


ガタガタガタガタ!


目の前の鉄格子を揺らすが、振動するだけでびくともしない。

おいおい、だめじゃないか。これじゃあ飢え死にしちゃうじゃないか。

(ん~悲しい。涙でちゃいそ。)

鍛冶屋の手(ハンズオブへパイトス)を使いますか?)

(なにそれ?まあいいや。やっちゃって。)

手は真っ赤に変色し、鉄格子からはジュウッと溶けるような音が聞こえてくる。

鉄格子は棒の形を保てなくなり、液体の姿になっていく。


「わーお。」


今起こったことに呆然としていた。詰んでいたはずの盤面がなんかすげえもんで解決できたんだから、そりゃ驚く。

うん、これは語彙力無くなるね。

ハンズオブへパイトス、覚えておこう。


格子を溶かし外に出ると、やっと狭い空間から解放される。両肩を回すと両肩の関節からボキボキと音が鳴る。


「自由だあーーーー!!!!」


解放された勢いで、叫んでいた。


「あ」

「え」


カンテラを持った貫頭衣姿の男と目が合ってしまった。

闇に溶けるような色合いの服にフードを被った姿。見た目からしてその姿は盗賊のようだ。


「えっと、その…こんにちは。今日はお日柄もよく。」

「貴様どうやってあそこを出た?」


にっこりとほほ笑む。なのに何故か男は懐から短刀を取り出す。

(おっと?これは穏やかではないですね。)

切っ先がこっちに向いてる。これはまずい。


「逃げろ!」

「待てこら!」


走って逃げようとするが、無造作に物が置かれすぎて足の踏み場がない。

(…これは戦えってことか。よく見ればあいつチュートリアルで出てきそうな雑魚敵っぽいし何とかなんじゃね。)


「ほら、待ってやったよ。ありがたく思えよ。」

「何なんだお前?そこを動くなよ。」


そりゃそんな反応になる。しかしNPCなのに感情豊かだな。


ヒュッ


短刀を空に突き刺し、空を切る音が聞こえる。

頬を何かが掠る。そして頬を何かが伝う。

触ると指が真っ赤になった。

(これ、やばくね。)

どう見ても真っ赤。血で流石に焦る。


ヒュッヒュッヒュッ


更に見えない斬撃がさらに飛ぶ。

(意外といけるもんだ。)

何となく避けただけだが、奇跡的に無傷だった。


「ちょこまかと…。」


相手が苛立っているのが分かる。


「さあ、どうする?」


なぜ煽ってしまった?


「殺す。」


顔を真っ赤にするほど逆上して、こっちに走りかかる。

(やっちまった!なんであんなことやるんだよ!)

本当にそうである。このままでは刺されて殺される。

周りを見てもあるのはなまくら刀。背に腹は代えられない。両手に刀を持って対峙する。


「かかってこいよ。」


男は懐に入り短刀を下から指してくる。だが、短刀の速さがスローモーションの如く遅い。

そこからは一瞬だった。左手の剣で短刀を受け流す。直後に右手の剣を振り下ろす。

ざくりと何かが切れる感触がした。

男は血を吐き、その場で倒れた。


呆然とする。

男を見たら、そこには赤い水溜りの池ができていた。

(この手で殺した?)

俺は自分の手を見るが、どうも現実感がない。

まるでこれが初めてでもない。そんな感覚があった。


「…。ま、いいか。」


とりあえず考え込まないことにした。

(あそこがスース―するから服を拝借と…。)

俺は男から服をはぎ取る。

(キッツ!)

服はきつく、今にも破けそうだ。

(胸張れねえよ。このままだと漫画やアニメみたいにシャツ破いちまうよ。)


「最低限茶の間には出れる格好になっただろ。」


間違いなくその時間に放送できるものではないが。


「おい、俺らは先に行ってくるぞ!早くしないとおまえの分無くなるぜ!」


奥から声が聞こえてくる。声の主はすぐに去ったようだが、奥があるようだ。



声の聞こえたほうに進むと、目の前に左右に分かれる道が見えてくる。


「…!」

「…!」


左から声が聞こえてくる。急いで元来た道を戻る。


「何の音だ?」

「さあ?そんなことより早くいこうぜ。俺らのおかげでこんなことできるんだからよ。少しぐらいは許されるよな?」


ひとりは制帽と制服を着て、もうひとりは服の上から皮のポーチを下げ、腰には剣を帯刀させていた。

(警察官と冒険者?ここは盗賊の住処かと思っていたが、なんなんだここは?)

胡散臭い。

(面白そうだし、ついて行くか。)


ついた先では制帽姿や貫頭衣姿、洋服姿など様々な男たちが集まっていた。


!!!!!


男たちは誰かと言い争っているが、何で言い争っているかは全く分からない。


「あの~この先に何があるんです?」


貫頭衣姿の男に聞く。


「あん?そんなことも知らねえ…お前誰だ?」


…あれ?嫌な予感。


「俺だよ。オレオレ。忘れちゃったの?悲しいなあ。」

「知らんわお前なんぞ!そんな肩幅でかいやつ見たことないわ!」


肩幅って、それはやりようないわ。力押しでごまかせると思ったんだがな。


!?!?!?!?


騒がれたせいで注目がこっちに集中する。


「やべ。」


うかつに行動したつけがきてしまった。


「てめえ、何もんだ?」

「ばれちまったらしょうがない。ここを通してもらうぞ。」


俺も何言ってるか分からない。

胸を張ると、ぶちぶちと服が破れていく。周りからは驚く声が聞こえる。

両手に血の付いたなまくら刀を装備する。

(ばれちまったが…まあなんとかなるだろ。)

今から熱い戦いが始まろうとしていた。

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