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星の導きの下に  作者: 音頭


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4/4

ボス討伐

「よっわ。これで終わり?」


20人いや30人が束になってかかってきた。だが、動きが遅く相手にもならなかった。

俺の足元では屍の山ができ、山の周りを鮮血の池が囲んでいる。


「なんで襲われたんだっけ?」


…うん、思い出せない。

(まあどうでもいいか。)


「この先に何があるんだろう?」


目の前には重厚な鉄の扉があり、それはチェーンと錠前でロックされていた。

(融かせばいいか。)

俺のハンズオブへパイトスで融かせばいけるだろう。

そうやって触れた時だった。


「あばばばばばばばばば!!!!!」


全身に電流が走る。めっちゃ痛い。

(一筋縄ではいかないかあ。)


「お。」


次は扉に触れてみる。

すると、電流は流れない。


「残念だったな。俺の勝ちだ。」


誰に威張ってんだこいつは?

ハンズオブへパイトスを発動させる。鉄の扉は見る見るうちに溶けてゆく。

両腕が貫通できるような穴ができてそこで気付く。


「これ日暮れるじゃん。」


鉄の扉は俺の身長の何倍もの大きさがある。一方ハンズオブへパイトスは手のひらだ。

なんで気付かなかったんだろうか?

(なんだこの技使えねえじゃねえか。)

封印だ。封印。はあ…無駄な時間過ごしたわあ。

(とは言ってもどうしようもないんだけどな。)

万事休す。困った。これなら一人ぐらい生かしておくべきだったか。


「ま、やっちまったもんはしゃあない。」


だが、解決しない。こういう時は…。

(物色だな。)

死人に口なし。それにここにいる奴らは全部悪人だから問題なし。


「うっひょー。宝の山じゃあ!」


武器・防具・道具。見たこともないものが次から次へと出てくる。

ついでに服も着替える。

服は暗色の貫頭衣、武器はなまくら刀2本から綺麗な2本の剣、靴は裸足から鉄板入りの靴。

見事に装備がキメラになった。

後はポーチにポーションらしきもの。

装備が整ってきた。加えて鍵もある。

錠前に鍵を差し込むと、錠前が外れチェーンが落ちる。扉を押せば扉が開く。


扉の先には檻がいっぱいある。


「なんだここ?」


妖精や狼、小さな羽のあるトカゲなどファンタジー色満載の生き物たちが閉じ込められている。

だが、そんな小さな檻よりも大きな檻が奥にあることに気付いた。

その檻は他の檻とは違って布をかけられている。


「さあ鬼が出るか蛇が出るか…オープン!って、ええ!!」


布を外すとその檻の中には人間の少女がいた。それも美少女だ。

首筋まで長い白髪、目はつむっているがそれでもわかる整った顔つき、豊満な胸に白のドレス。

洋服だけ見れば、彼女は貴族の娘だと思うだろう。

だが、俺は彼女を知っている。他人とするにはあまりにも瓜二つなのだ。


「大島真白。」


クラス内、学校内でも1番可愛いって言われていた子だ。気弱でおとなしい性格で始めこそ他のクラスの男子勢に迫られていたことも多かったが、姉の真黒が気が強く怖かったから近づく子が少なかった。

俺との仲は結構よかった。真黒と敵対していなかったからだろうがな。

(今はそんなことはどうでもいい。問題なのは彼女がなんで檻の中にいるかだ。)

檻に触れる。


「むあああああああああ!!!」


体中に電流が流れる。おまけにサイレンのような音が響く。


「…なんか慣れてきたわ。ハンズオブへパイトス。」


封印したつもりだったが、生憎技のレパートリーが全くないのでしゃあなしだ。

鉄格子を溶かしてゆく。ここで何かに気付く。


「あぶな!」


さっきいたところの地面がえぐれる。


「チッ、やり損ねたか。勘のいいやつだ。」


そこには熊のような巨体をした男が巨大な斧を振り下ろしていた。


「落とし前はつけさせてもらうぞ。」


どうやらとっても怒っているようだ。


(まじかあ…絶対強いじゃん。…ピンチじゃんね。)

体が身震いする。


ブオン!ブオン!


風を切る音が響く。


「ッ!」


見えない衝撃波が襲い掛かり、肌を切り裂く。

(ちょっとまずいか?)

斧はあまりにも速く、目でとらえることができなかった。

(防戦一方だとやられるな。)

地面をけり、男の懐に飛び込む。


「ふん。」


目の前に横薙ぎの一閃が襲い掛かる

体勢を低くして躱す。その姿勢のまま両手の剣の切っ先を心臓に向けて突き刺す。


「固!」


皮膚には刺さらず、剣に衝撃が伝わってくる。手が一瞬痺れる。

すぐに地面を蹴り、後ろに転がる。

さっきいたところに斧が振り落とされる。間一髪だった。


「その身のかわし。明らかな急所狙い。いくつもの死線を潜り抜けないと得られないものだ。お前何者だ?」

「その子の友人さ。」


何でできるか私にもわからん。遺伝子レベルで体に刻まれているのではなかろうか。

しかし返答はまだ他のもの絶対あっただろ。真白とゆうて親しくないし。


「そうか。恋人と言うことか。だがそいつは渡せれないな。商品なんでな。」

「え?(恋人じゃないけど…友人って言ったじゃん。)まあいいや。返してもらう!」


郷に入っては郷に従え。とはいえ啖呵は切ったものの、肝心な倒し方が分からないんだよな。

振り下ろし以外は遅いから全然問題ないんだけど、体がまるで鎧を着ているかのように皮膚が堅い。

融大砲(メルトキャノン)

どうしようかと思っていた時に、ふと頭の中にそんな言葉が浮かぶ。

喉から熱い何かが上がってくる。口を開いた次の瞬間、巨大な火の玉が口から発射する。飛び出た火の玉は大砲の弾のように加速する。

(ええええええ!!!!)

俺は驚きで開いた口が塞がらなかった。


「ぬう!?」


斧で火の弾をかき消そうとしたが、直撃した斧の持ち手は溶け先端が落ちる。火の弾は勢いそのままで男の体に直撃した。

その瞬間男は驚いた表情をする。


「驚いたなまさか鎧を熔かしてくるなんてな。」


俺は地面を蹴っていた。男が口を開いた時には懐に入っていた。


「これは…おもしろい。」


男は口角を上げ笑った。

剣の切っ先は鎧の溶けた無防備な部分に触れた。

次は手ごたえがあった。剣が刺さり揺れた。

そのまま斜めへと動かし、剣を引き抜き肉が斬れる。男は倒れ動かなくなる。


「倒したのか?」


男を見ると胸には確かに斬った跡があった。動く気配はなかった。

(強かった。あれがなかったら終わってたな。)

あれはチュートリアルの強さではない。流石に肝が冷えた。


「真白は?」


檻を見ると彼女は動いていなかった。彼女の腕に触れると脈はある。

どうやら気絶しているだけだ。

檻から彼女を出すとおんぶする。

背中に柔らかいものがのしかかる。

(うっひょ―――!!!…違う違う!!)

至福の時だが理性的になる。俺はそのまま彼女背負ってこの場所を後にした。



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