第9話 LP40の全裸美少女、AP450の消去銃を抱く
お互いフレンド登録と、ついでに部隊登録を済ませる。
これで二人は正式に、前衛・後衛のバディとなった。
ユニットとなったおかげで、お互いのステータス……LP、攻撃力(Attack Point)や、他にも使用銃器、残弾数などが見えるようになる。
そしてお互いRankが1なのを確認する。
「……おい、カツミ。これ、不具合じゃないよな?」
共有された僕のステータスを見た八代が、変な声を上げた。
「え? 何か変かな」
「変どころか……自分のLP見てみろよ。40だぞ? 普通のアタッカーならRank1でも100は超える。お前の体、銃剣でちょっと突っつかれただけでリスポーン地点送りだぞ」
「え、だってそれはアタッカーの数値でしょ? 僕はスナイパーなんだからさ」
八代は呆れたように自分の額を押さえたけれど、さらに他の数値を見て絶句した。
「……おまけに防御力(Defense Point)まで『5』しかねーのかよ。俺は30ある。5っていったら、防弾性能ゼロの布のTシャツ一枚だぞ。LPの低さと合わせたら、実質『全裸で戦場を走ってる』のと変わんねーよ」
「ぜ、……全裸ぁ!?」
それを聞いて、なんだか本当に裸でいるような気がしてきて、僕は思わず自分の身体を抱きしめるように隠した。
情けない声を出す僕をよそに、八代は視線を僕のAPへと移し今度は目を見開いた。
「……で、このAPはなんだよ。450? 俺のM16A4のAPが80――まるでオモチャに感じるわ。いいかカツミ、このゲームのダメージ計算は基本的に『APマイナス敵の防御力』だ。ミドル級のモンスターなら、お前の弾がカスっただけで即死確定……いや、オーバーキルで存在自体を消去されるだろうな」
「……消去される?」
「ああ。そしてお前がプレイヤーに対して引き金を引けば、その瞬間にリスポーンという結果だけが確定する。……まさに『消去者』だ。お前のレティクルが重なった標的は、抵抗する間もなくこの戦場から排除される」
八代は真剣な顔で僕の目を見た。
「逆にお前の場合は、敵の攻撃がかすめただけで即死。敵の弾だろうがモンスターだろうが、ポリゴンになってリスポーン地点行きだ。
PvP大会だとさらに最悪。3分間、アバターが動かない肉塊として晒され、仲間の弾除けにされる屈辱を味わうことになる。その間、隔離ペナルティだ。……究極の『先出し即死ゲー』だな、このステータス」
八代の言葉に、僕は自分のM24をそっと撫でた。
LPとDPの低さは絶望的だけど、その分、APが450もあるのはきっと狙撃銃の威力のおかげなんだろうな。
八代のM16A4は、銃弾をバラまくように数で攻めるタイプ。対して僕のM24は、たった一発で全てを決めるタイプだ。この一発の重みの差は、そのままAPにも比例しているんだろう。
なにしろ僕の弾は1発1ゴールドもするけど、八代の弾は1発0.1ゴールド。
一回の引き金に込められた『重み』が、そもそも十倍も違うんだから――。
八代が改めてお互いの所有ゴールドを見ながら青ざめる。
「……マジで10ゴールドしかないな」
「んーどうしようか? いまのところゴールドを稼げるのは、モンスター狩りかPvPしかないんだけど…‥PvPは論外だし」
「PvP……?」
「あれ説明してなかったっけ? PvPってのは、Player versus Playerの略で、プレイヤー同士で撃ち合うんだ」
「……一発で即死判定確定だね」
「ああ」
「じゃモンスター狩りするしかないじゃん」
「でもさ、俺はまだ90発持ってるからなんとかなる。でもお前はいまゼロだ。もし仮に10ゴールド全部使って10発の弾、買ったとしよう」
「うん」
「モンスターを仕留めたとしてもアイテムとか……たとえば、スモール級なら1から3ゴールドしかドロップしないんだ。しかもそれ、一発で仕留めた場合の話な」
「ってことは、うまくいっても1000円で3000円を買うってことかー」
二人でそんなやりとりをしていると――。




