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黄金凶星(ゴールデン・アステリズム)〜女子化した僕がVR銃撃戦で死神と呼ばれ、大切な師匠を裏切った最悪の宿敵を撃ち抜くまで〜  作者: 中島しのぶ


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第6話 ゴミ虫か兵士か

 射撃ブースに着くと、そこも無機質な空間だった。

 さっき聞こえていた銃声や金属音は、ここから響いていたんだ。


 ブースのテーブルに置かれた、鈍い光を放つ無数の実銃。そこから漂う、鼻を突くほどに濃い機械油の匂い。


 鬼軍曹が重そうな拳銃(ハンドガン)を手に取る。

「まずはこれだ。貴様が『ゴミ虫』か『兵士』か、この鉄の塊が判定してくれる」

 僕は初めて見る軍用拳銃の、ずっしりとした金属の質感に圧倒される。


「片手で扱えると思うなよ、ゴミ虫」

 安全状態(セーフティON)の銃を、グリップ側を僕の方に向け突き出してくる。

『M9』とタグが表示されている、ずっしりとした重い銃を両手で受け取る。

 ……重い。これ、本物の銃……なんだ。

 すると、脳内だかアバターに直接システムメッセージが聞こえてくる。

発射可能(解除)状態はレバーがスライドと平行で、赤いドットが見える状態です。

 発射不可能(ロック)状態はレバーを斜め下へ押し下げた状態で、赤いドットが隠れる状態になります』

 そして、正しい銃の持ち方の映像がゴーグル内に映し出される。


 僕は見よう見まねで、映像にあわせて親指でレバーを跳ね上げ、赤いドットを露出させる。

 右手親指と人差し指の間で高く握る。中指から小指でグリップを前から包むように握る。人差し指は撃つ直前までトリガーガードの外側に添る。

 次に右手が覆っていないグリップの左側の隙間を、左手で塞ぐ。

 体を標的に対して正面に向け、両腕を均等に伸ばす――も、アバターの細い腕が、銃の重さでわずかに震える。


「構えだけは一丁前だな、ゴミ虫。なら、5メートル先の人型(シルエットターゲット)のど真ん中を貫いてみろ。撃てッ!」

「イエス・マム!」


 引き金を引き絞ると、パシィィィン! と鋭い高音と、スライドが激しく前後するチャキンッという作動音が同時に起こる。排出された空薬莢が床に落ち、カランと乾いた音を立てた。

 硝煙の臭いが一気に鼻を突き、射撃音が耳をつんざく。


 前方にある人型の標的を見ると、真ん中どころかどこにも弾が当たった形跡がない。

 打った反動(リコイル)で、腕が大きくぶれてしまったみたいだ。実際、両肩に大きな衝撃を感じたんだ。


「天井を壊す気か! 銃に遊ばれているぞ、このド素人が! 次、撃てッ!」

「イエス・マム!」


 初めて銃を撃つんだから当たり前じゃないかとは思ったけど、なにより当たらないことが悔しい。


 それからマガジン一本丸々、15発を撃ちつくしても、標的は無傷だった。


「話にならんな。拳銃一丁すら扱えないとは。なら、こいつはどうだ。連射(フルオート)の勢いで、少しは的にかすらせてみせろ!」


 今度はこれだと、さっきのM9と比べ3倍重く、2倍以上長い『MP5』と表示されている短機関銃(サブマシンガン)を渡される。


 やはり先ほどと同じく、システムメッセージと銃の持ち方の映像にならい、右手(グリップ)左手(ハンドガード)、そして右肩(ストック)の3箇所で銃を固定する。


「次は15メートル先の標的だ。一発でもど真ん中を貫いてみろ。撃てッ!」

「イエス・マム!」

  ダダダダッ! と、耳をつんざく連続音が鼓膜を震わせる。


 さっきの拳銃よりも撃った反動は、誰かに肩を優しく叩かれた程度にしか感じなかった。

 けれど、重い銃身を支える左腕がすぐに悲鳴を上げ、弾が標的の足元へとじわじわ吸い込まれていく――。


 あっという間に30発のマガジンを撃ち終わり、5発は標的に命中していたけど、真ん中には一発も当たっていなかった。


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