ノアリアの意思決定機構
*あらすじ
崩壊した巨大帝国タリスの残骸のうえに、静かに、そして圧倒的な合理性をもって築かれつつある新秩序――理想都市「ノアリア」。
暴力による支配の時代を終わらせた彼らは、いかにして国家を動かし、世界を再構築しているのか。通貨の流通、インフラの整備、そして社会システムを支える中枢の全貌が、いま明かされる。感情を排した実利的な意思決定の裏側で、人々が手に入れた「新しい平和」の正体に迫る、知的興奮に満ちた転換点。
理想国家ノアリア国 意思決定機構の基本構造
ノアリアの行政機関は、タリス帝国の機構を原型として整備・再編されたものである。
玉座の王の傍らには助言者、王妃、そして王太子が控え、国家の採決過程はすべて専任の書記官によって正確に記録される。
国家の意思決定は、以下の二段階の多数決プロセスによって執り行われる。
第一段階:四者最高会議(一次採決)
国家の重要施策は、まず国政の中枢を担う四者(王・宰相・将軍・財務官)による採決から始まる。
王:カラクリの分析結果や助言役、各分野の専門家が提示する情報を統合し、国家全体の長期的利益を見据えて判断を下す。
宰相:行政・司法・公共事業を統括。傘下の「派遣民統括官」を通じて収集した各地域の生産量、復興状況、治安・民情情報を提示する。
将軍:全軍の兵力・補給状況・軍備・敵軍の動向など、軍事情勢を一括して把握・明示する。
財務官:軍事行動や大型公共事業に伴う給与・輸送費・維持費などの出費を精密に算定し、財政的観点から実施の可否を判断する。
第二段階:主要八カ国代表会議(二次採決)
四者会議で票が二対二に割れた場合、または国家の興廃に関わる重大案件で決定に至らない場合、決議は主要な属州国八カ国の代表(職域代表)による多数決へと移行する。
八カ国代表(職域代表)
農業、商業、職人、地方、学者、軍人、都市、民衆の各領域を代表する八名の長が
審議の根拠となる公的記録(三大臣の巻物と王の提案書)に基づき、議論する。
※八カ国代表会議で票が四対四と同数になった場合は、最終的に王の裁定(王の提案書)をもって決着とする。
*二次採決で用いられる公的記録
1. 財務官の巻物(財政・物資情報)
* 国庫現高(銀〇〇)および穀物備蓄(〇〇日分)
* 交易収支の実績および予測数値
* 試算戦費(施策実施時に国庫の何割を消費するかの見込み)
2. 将軍の巻物(軍事・防衛情報)
* 正規兵数および予備兵数
* 敵軍推定戦力(〇〇人)
* 兵器・防具の保有量と食糧補給線の維持状況
* 勝算の試算および防衛線の維持能力
3. 宰相の巻物(内政・民情情報)
* 関連法律および改定案
* 各地方・属州国からの定期報告
* 民の生活水準、雇用状況、および国内の治安情勢
4. 王の提案書(総合裁定案)
* カラクリによるデータの分析結果、助言者および各分野の専門家からの聴取を経た、国家首長としての提示案




