アスとユーリの場合
2086-07-11 ヴァリアブルシップ 食堂
夕食が終わり、食堂にはくじ引きで順番が決まったアスとユーリが残っていた。
ユーリはコーヒーを2つ用意すると一つをアスの前に置き、向かい合うように座った。
そして、ゆっくりと一口飲むと、アスに宣戦を布告するような真剣な表情を向けた。そして。
「率直に聞きます。アスさんは隊長のことが好きですよね」
突拍子もないユーリの質問に、アスは飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになった。
「いきなり何を聞くんだぁ」
「ちょっと気になったもので。で、どーなんです?」
ユーリはアスの目を覗き込むように見た。
アスはとっさに目を逸らした。
「やはりそうですか。隊長は普段キッツイ目をしてますけど、ごく稀にびっくりするほど柔らかな瞳になるときがあるんですよね。女性であるあたしが惚れそうになるくらいですから、男性だったら間違いないですよね」
「てか、決めつけるなよ。俺は・・・」
アスは一応抵抗はしたものの、自分の心を完全に読まれていることにそれ以上何も言えなかった。
「でも、どこか影があるようにも思えるんですよね。アスさん知ってます?」
「い、いや」
アスもそのことには気付いていた。しかし、理由は全くわからなかった。
「隊長って恋愛とかには鈍感そうですけど、そんな人に限って純粋な乙女心を持ってそうな気がするんですよね。アスさんとお似合いだと思いますよ」
「あのな。どうしてそう俺と隊長をくっつけようとするんだ?」
「だって、アスさんが隊長のこと好きだから。隊長と話をする順番が先だとよかったのですが、悪いようにはしません。それとなくしっかりと応援させていただきます」
ユーリはニコッと笑った。
アスはできる限り自分の気持ちを隠してきたつもりだった。しかし、それが十分でなかったことに愕然とし、徐々に恥ずかしさが湧き上がってきた。
「俺は、隊長の気持ちを乱したくないんだ」
アスは自分の気持ちがアイナに知れることで、アイナに気を遣わせたくなかった。
「大丈夫ですよ。隊長はそんなこと気にしませんから。まぁ、だから厄介なんですけどね」
ユーリはまた笑った。
「シロウとはどうなんだよ」
アスはシロウのことに話を振って、逆にユーリを困らせようと考えた。
「あたしはシロウのことが大好きです」
ユーリが素直に認めたことに、アスの目論見が大きく外れた。
「ここに来た当初、とっても不安でした。そこにシロウがいてよかったです。あ、いや、当然皆さんがいてよかったですよ」
ちょっと照れながら笑うユーリの笑顔は、ユーリの気持ちを全て表しているように輝いて見えた。




