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夕陽


 2086-04-07 ヴァリアブルシップ メインルーム


 『やっぱりあたしはここから見る夕陽の方が綺麗だと思うなぁ』

 シロウのヘッドセットにユーリの感嘆の声が響いた。

 ユーリはシロウのアシストでスミレにインサートを行い、スミレの視野にある陽が沈みかけオレンジ色に染まる風景を見ていた。

 「確かに、この時間のこの眺めは最高といっていいかもな」

 シロウの前のモニターにも共有された映像があった。

 『夕陽を浴びると、なんだかこの子の体が光っているような気がするんですよね。仲間に見つけてもらいやすいようにしてるのかな』

 ホンシュウに移動したVN-2082はアルビオンによってほとんどが消滅させられていた。そのため、いまだにこの生殖個体にたどり着くものはいなかった。

 いくら待っても仲間が自分のもとにやってこないことをスミレはどう思っているのだろう、ユーリはスミレの気持ちを考えると悲しくなった。

 ほぼ陽が沈みかけた時、視界が急に動いた。

 スミレが見上げた先には小型の飛行機が映っていた。

 『飛行機が・・・』

 「ああ、民間のものじゃなさそうだな」

 ユーリもシロウも、その飛行機は動かないスミレに気づかず通り過ぎると思った。

 「旋回した」

 『ってことは、ばれちゃいましたか?』

 「かもしれん」

 『この子、光ってたから目立っちゃったのかな?』

 陽は完全に沈み、先ほどまでの体の輝きはすっかりと消えていた。

 飛行機はしばらくその上空を旋回したあと、離れていった。

 「記録を確認しよう。戻すぞ」

 『はい。お願いします』

 少しして、コクピットが開くとユーリが出てきた。そしてすぐにシロウのもとへ駆け寄った。

 「始めるぞ」

 そう言ってシロウは端末パネルを操作し、モニターにスミレの視界の記録映像を流した。

 見上げたスミレの視界に小型の飛行機が映る。

 シロウは飛行機を拡大した。

 「やはりこれは軍のものだな」

 飛行機は急に旋回を始めた。

 「この旋回の仕方は、何か目的があってのものだ」

 「やはり、見つかっちゃいましたか」

 ユーリが肩を落とした。

 仲間を呼ぶために、仲間に自分を見つけてもらうために光っていたのかもしれないのに、まさか敵を呼び寄せてしまうなんて・・・、ユーリは大きくため息をついた。

 「とりあえず報告しよう」

 そう言ってシロウはアイナとアスに招集をかけた。



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