動向
2085-09-10 ヴァリアブルシップ メインルーム
「ご苦労様」
「お疲れ様です」
C・コクピットから出てきたアスとシロウにアイナとユーリが声をかけた。
「動かせないのは、やはりなんとも」
「同意・・・」
二人とも通常個体へのインサートで、アルビオンにやられて戻って来たのだった。
「あれを避けるとは、アルビオンの性能はかなり上がって来ているのか?」
自分の席に座ったシロウにアイナが聞いた。
「はい。性能は上がっていると思います。けど、パイロットはまだ機体にあまりなれていないような気がしました」
「そうだな。通常個体の行動を学習して、アルビオン同士が連携をとっていた」
アスは3機のアルビオンの動きを思い出していた。
「VN-2082も学習によるものなのか、動きは良くなってきてはいるが・・・」
確かに、以前はアルビオンにライフルを向けられればそのままやられていた通常個体も、ライフルの射線を予測するかのように避けることが多くなっている・・・。アイナはそう感じていた。
「あの機体がまともに動くようになれば、通常個体ではもう歯が立たなくなるかもしれません」
そう言いながらアスはシートに座ると、アイナに振り向き話を続けた。
「アルビオンが過去の記録と変わって来ているのは、干渉の影響と考えていいのでしょうか」
「そうだな・・・、そうだといいのだが」
アイナはアスを見たが、その目は別のものを見ているようだった。
西暦2729年9月 地球統合本部中央研究所観測室
薄暗い観測室で、マシスは記録されている時間の波を数ヶ月前に遡って何度も再生させていた。
「ここ。また出た・・・」
小さな波形が細かな周期で続く中、突然に倍ほどに振れる波が一瞬現れる。
それは7月あたりから現れ、8月になり日を追うごとに数を増した。
そして9月に入ると、不規則な出現だった波は規則性を持って現れるようになり、時には同調しさらにはっきりとした波となった。
「大きくなっている」
マシスは、波の力強さを感じた。
「そう、確実に動き出している」
この時マシスは確信した。




