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巣作り


 2085-03-20 ヴァリアブルシップ メインルーム

 

 メインルームに集合した4人は、大型モニターに映るVN-2082の動きを追っていた。

 それは、破壊されたキュウシュウの巣で2週間ほど前に突然確認されたマーカーの動きを記録したものだった。

 「巣の最も深い場所のこの動かないマーカーは、生殖個体だと考えられます」

 「あの爆発に耐えたということか」

 「かなり深い場所ですから」

 「他の個体も一時的に姿を消していたのか?」

 「さすがにあの爆発には耐えられないだろう」

 「ならば、卵から孵化したとか」

 「卵なら爆発に耐えるかもしれません」

 「問題はこの移動している個体ですね」

 「地中を移動している」

 「先頭を行く個体の後を追尾しているものもある」

 「つまり、生殖個体とその世話係ということか」

 やがて、地中を移動していた個体は動きを止めた。その周囲ではついてきたいくつかの個体が忙しなく動き回っていた。

 「新しい巣作り・・・、か」

 「過去の例だと、地上に出たあとは巣に戻り繁殖と共に活動を停止した。今回もそうだろうか」

 「でも、今回の場合、巣が破壊されたことによってVN-2082は地上に出た目的を果たしていないのではないでしょうか」

 「そうだな。今までとは状況が全く違う」

 「今までの巣の環境が悪くなったので、新たな生殖個体が生まれ巣を分けたのではないかと思います」

 「だとすると、新たな巣で繁殖し、そのあと再び地上に攻勢をかけるつもりか」

 「でも、キュウシュウはほぼ壊滅状態だぞ」

 「ホンシュウへと渡った個体のことを考えると、本州へ移動する手立てを考えているのかもしれん」

 「入ってみますか?」

 「わたしは遠慮しておく。戦闘ならともかく、他人の生活を覗くようなのは好きではない」

 「ユーリ、入ってみるか。サポートするぞ」

 「入ります!」


 VN-2082は発生のきっかけを人工的に与えただけで、その行動自体は自律的なものだった。そのため、VN-2082が集団でどのような行動をとっていくのかは、誰にもわからなかった。


 その後、生殖個体はたくさんの卵を産み、通常個体がその世話をする様子が観察された。

 思いもしなかった記録が取れたことに、ユーリは喜んだ。

 しかし、生殖個体が通常個体を食べている様子を見た時は、さすがに涙目でコクピットを出てきた。

 

 それからしばらくして、新たな巣で繁殖行動を終えたVN-2082たちは、活動を停止し眠りについた。




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