シロウ・タヌマの日記
2084-10-05
ずっと優位に進んできた戦闘が、ニホンでの戦いで急に劣勢になってしまった。
その時、特殊個体での戦闘により隊長がかなりのダメージを受けた。
ユーリと俺がうろたえる中、アスは冷静だった。
2084-10-06
検討会の隊長はいつもの隊長だった。安心した。
検討会で意見を聞かれた。率直な気持ちを伝えた。
今までに十分すぎるほどの干渉を行ってきたので、もうこれでいいのではないかと。
結論は違ったが、隊長の『戦闘の継続』に従うつもりだ。
それにしても一向に紐が引っ張られない。ただひたすら待つしかないのか。
2084-10-10
朝、ユーリの緊急招集で目覚めた。
イギリスにVN-2082の新たな反応が出たようだ。
2084-10-15
初めて特殊個体に意識を挿入させた。アイナ隊長が言っていったほど気持ちの悪いものではなかったと思う。
驚いたのは、VN-2082が自分の思い通りに動くことだった。
2084-10-17
アイナ隊長の後ろに付いてアルビオンとの戦闘。
アスが後方にまわってくれたので、戦闘に集中できた。
しかし、俺の動きはアイナ隊長にはまだほど遠い。挿入時間の長さがそうさせるのか、それとも相性なのか。
アルビオンはニホンのものと比べると旧型だ。かなり優位に戦える。
2084-10-18
何度もインサートを行っていた個体が眠りについた。
他のVN-2082もほぼ活動を停止したようだ。
イギリスでの戦いが終わった。
2084-10-24
ユーリがヴァリアブルシップのチャージ残量を気にして、隊長に何やら相談していた。
あと3、4年は問題ないだろう。流石に、チャージが切れる前に紐がひっぱられると思うが。
どうやら生殖個体の観察を始めるようだ。
2084-10-30
ユーリが観察を始めた生殖個体に、ユーリ自身が初めてインサートした。
隠れているからか、何も見えなかったと言っていた。
2084-11-03
暇潰しにいいものを見つけた。
ニホンのホンシュウを移動中のVN-2082にたまたまインサートした時のこと。通常個体なので行動のコントロールは出来ないが、森の中をゆっくりと移動していた。その時、いろいろな自然風景を視界が捉えていた。高くそびえる杉の木。その間に澄んだ水が湧き出て、沢を作り流れてゆく。群青の湖の湖面には陽が煌めく。まるで、それらを映しながら森の中をカメラが移動しているようだ。
この時代にはこんなにも綺麗な風景があったのだな。
2084-11-12
懇意にしている通常個体のマーカーが時折確認できないくらいに薄くなることがある。
インサート中でも起こるので、個体自体が消えたわけでもない。
ユーリの話だと、自然発生した生物ではないのでこの時間の中では不安定なのではないかとのことだ。
VN-2082は、この世界に生まれたことを何か考えたりするのだろうか。
しないよな。




