41 紫煙と支援の話
予約が5日になっていた(゜◇゜;)
蒼月は走った。
目指すは、誰も入れない社。
そんな曰く付きの場所なら、きっと何かあるだろうと、何もなければ無いで、さっき会った人にもう一回相談しようと、駆ける。
「くそっ!」
牢屋に一人残された蒼月は、固まった鉄の尖っている場所に縄をこすりつけて何とか手首の自由を勝ち取り、自由になった手で足の縄をほどき、牢屋を出た。
しかし地下がどうなっているかなんて蒼月には分からない。結局迷ってしまった蒼月を助けたのは、煙たいほど煙を纏った一人の青年だった。
「君、一体何してるのー?」
煙管から煙を吐き出した青年の甘ったるいにおいに少し咳き込みながら、蒼月はいきなり現れたその青年に警戒する。
「は? あんた時雨の仲間か?」
一応師匠になるのだろうが、こうなってまで師匠と敬うことなどできない素直な蒼月は、その青年を睨みつけて言葉を放つ。
「いやいや。あんなのと同じにしないでくれ。でー?」
クスクス笑って、時雨をあんなのと言ったその青年に肩の力が抜ける蒼月。
「俺は………上に行きたいんだ。友達が」
「君は藍鉄君の友達なわけかー………だったら早くここを離れた方が良いんじゃない?」
「鉄を知ってるのか!?」
「知ってるよー………それは今どうでもいいよねー?」
「あ、うん」
「そこの階段を上って左に行けば、藍鉄君が居ると思うな」
指差す方向に目を向ければ、さっきまで牢屋があった場所に階段がある。
変だとは思いながら、きっと攪乱の呪符でも貼ってあったのだろうと思い蒼月は頷きお礼を言うと駆けだした。
「時雨ってのは馬鹿だねー………ああ言う素直な子供は心を壊すか、使うなら染めないとー」
クスクスと笑いながら、その青年は蒼月を眺める。
「上から見てようかなー………あの子には別になんの義理もないしね」
喰われたらそれまでだろうと、紫煙に乗って牢屋から掻き消える青年。
当然走りさった蒼月の耳にそんな言葉は届かなかった。
「でも、あいつ一体何者なんだろう?」
名前も知らないのに、なぜか望んだら会えるような気がして、山を走る蒼月。
―――こっちだよ
考えようとした時、そんな声が聞こえた気がした。
―――こっちだよ
あったかいその雰囲気。
そこに社があるのだと、何となく理解できるそんな感じ。
「今から行くよ」
走る蒼月の姿は、突然目の前に現れた朱塗りの柱の先へと消えた。
―――お帰りなさい
そんな少女の声が蒼月の耳に届く。
―――お帰りなさい、待ってたの。
その少女の声は澄んでいた。
もう驚いている暇はない蒼月は、その声に聞く。
「ここにいろんな人が来られるようにするには、どうしたらいい? 教えてくれ!」
蒼月は、くすくすと笑う声に、問う。
また外へ放り出されは仕方ないと、大きな綱を握る。
―――お帰りなさい、長かった。本当に長かった。
しかし、その声は蒼月の声に応えない。
大きな縄の端を柱から解き、その端をしっかりと握り、声がする方向へと歩き出す蒼月。
―――お帰りなさい、待っての。
中央の、四方の扉が開かれた室内の大きい祭壇のある部屋の中央で、真っ青な炎が揺らり揺らりと揺らめいていた。




