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狐の嘘と君の真  作者: 華宵 朔灼 / よぴこ
本編 -中学生-
30/59

18 呪詛と報酬の話

 藍鉄にとって、陰陽庁から通達される半強制的な霊災修祓は、貴重な現金収入の場だ。

 野菜や穀物、調味料や古着などならいつも請け負っている過疎村での仕事の報酬でもらうことができるが、日常で使用する紙や筆記用具などはそう簡単に貰うことはできないので、普通に街などに買いに行かなければならない。


 「これが今回の報酬だ」

 「ありがとうございます」


 初めはその紙すら作ろうとして見せた藍鉄ら双子だったが、使う紙の量の多さと、一体どうやって紙を作ったらいいか分からず、焼いた粘土板で動く人形ができてしまったりと迷走した結果、陰陽庁から通達される霊災修祓に現金収入を頼ることにしたのだ。


 「お、いくらもらった?」

 「多分同じだと思いますよ」

 「うん? ほら、今回少年が一番活躍したしな、俺らでいくらか出し合って奢ってやろうって話になってな」


 そう言って笑うその同業者の顔に、藍鉄はそれは悪いことを、というような顔をしてしまい、後ろからバシッと子供が気にするなと叩かれる。


 「それじゃー、私も一緒に行こうかなー?」


 会議の時とはあまりにも様子が違う藤菜の様子だが、オンとオフの差が激しいだけで、その本質は全く変わらない。


 「おや、藤菜さんもカンパになりますが?」

 「望むところよ!」


 藍鉄が答える前に、一体いくら藍鉄に驕ることができるか、という競い合いに話が発展する。

 藍鉄は、今回封筒をものすごく開けたくなかった。

 毎回貰っている金額よりも明らかに多い重量なのだ。

 しかも、何か悪い予感が、その封筒からビシビシと伝わってきたのだ。


 「えっと、僕が確認するのもフェアじゃないので、確認、してくれますか?」


 きっとそう言えば、藤菜は不思議に思ってくれるだろうと、藤菜の目を見てそういうと、藤菜は分かったと一つ頷き、手元に呪詛返しの札を握りしめて封筒を開ける。


 「なっ」


 たった一瞬だったが、何が起きたかを理解するには、その場にいた者には十分すぎる時間だった。

 藤菜その封筒を開いた瞬間、その封筒から出てきた闇が藤菜を覆い、藤菜の握っていた呪詛返しによって闇はそれを送った者の所へと帰って行ったのだ。


 「記憶干渉型?」

 「あの闇、追わせるぞ!」

 「本庁の関係者が?」


 飛び交う憶測から視線を外し、藍鉄は藤菜を見上げる。


 「ありがとうございました」

 「うん、そこで謝らないのが藍鉄クンらしいよ。ま、私はこういう方面が得意だからねー」


 藤菜は藍鉄の頭をぐりぐりと撫でた後、封筒の中身を確認する。


 「なんと! 私の倍入ってるよ!!」

 「なっ!」

 「マジで!?」


 思ったより高額なその金額に、さっきの呪詛の慰謝料が入っているのかもしれないと、被害に会う予定だった本人が楽観的に考えているのだから始末に負えない。


 「さて、この金額を全員でカンパできるかなー?」

 「してみせるさ!」

 「一度言ったことを覆せるか!」


 盛り上がるその集団は不思議と誰にも注目されない。

 別にわざと衆人観衆が不審人物として目を逸らしているわけではない。

 今ここに居る彼らは、なるべく認識されないように裏側を修祓するために居る者たちだ。誰にも認識されないように懐に気配を薄くさせる呪符を縫い付けていることなど常識なのである。


 「あの、僕はそのお金で紙と墨が手に入れば十分なので………」


 藍鉄のその言葉はきれいに無視され、藍鉄が行ったことがないと言う外国料理の店へと連れ込み、文具屋へとより、藍鉄が帰った後もどんちゃん騒ぎは翌日まで続いた。

 和装の集団が騒いでいるという異常な情景は、誰にも気にされることはなく日常に溶け込んでいた。

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