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狐の嘘と君の真  作者: 華宵 朔灼 / よぴこ
本編 -中学生-
22/59

10 武術に触れる話

 昼食を食べ終わった二人は、それぞれ携帯ゲーム機を持ち、対戦をする。

 当然午前中に蒼月が藍鉄に教えたゲームだ。


 「やっぱり月さんにはかないませんね」

 「いや、まあ、うん」


 きっと次来たときは負けるんだろうな、とか思いながら蒼月は自分の携帯ゲーム機をリュックサックに仕舞って外へと出る。


 「んじゃ、今度は鉄がお師匠様だな」

 「そうですね」


 山を登る為に着てきた長袖を脱ぎ、長ズボンの裾をめくりあげ、タンクトップと七分ズボンになった蒼月は、少し前に藍鉄が作ってくれた木刀を手に持って構える。


 「うりゃあ!」


 ぐいっと振り上げた木刀を藍鉄に向けて振り下ろすが、無手の藍鉄はひらりと躱し振り下ろした体制で留まる蒼月の手に手刀を落とす。


 「いてっ!」


 取り落とされた木刀を蹴って遠くへと弾き飛ばし、藍鉄は構えを解く。


 「鉄! もう少し加減してくれよ!」

 「本気でっていつもお願いしてくるのはどこの誰ですか………」

 「うっ………」


 藍鉄はため息を付いて弾き飛ばした木刀を拾い上げ、蒼月に渡す。


 「家で振ってます?」

 「勿論! 学校に行く前と夜寝る前に毎日振ってるぜ」


 蒼月は頷く。


 「それにしては握りが甘いんですけど………」


 藍鉄は、蒼月に握り方を再度教える。


 「え? こうだろ?」

 「違います。んーちょっとこっち来てください」

 「うん?」


 藍鉄は蒼月の背後から手を回し、その手を握りこんで型を教える。


 「ちょ、髪、くすぐったい」

 「はい、もう少し我慢してください………覚えましたか?」

 「覚えた! 覚えたからっ、ムズムズする!」


 硬質な蒼月の髪と違い、藍鉄の髪はやわらかいのと、藍鉄の方がわずかに蒼月よりも背が高い為、首が弱い蒼月は藍鉄からバッと離れて首を掻き毟る。


 「もー! くすぐったいんだよ!!」

 「それはすみません。月さんくすぐったいとこ多いんですね」

 「うー、余計なお世話だ!」


 残念な子を見るように見られて、真っ赤になって反論できずに唸る。


 「まあ、僕も自己流ですから。さあ、もう一回やりましょうか」

 「あ、うん! 次こそ!!」


 小回りの効く的には大振りは厳禁なのだと言うことをさんざんになって学ぶ蒼月である。


 「式で試してみます?」

 「え、いや。ヤメトキマス」


 実は習い始めて数日経った時、藍鉄の式紙である“人”を召喚して戦ったのだが、藍鉄の経験を諸に反映している“人”に木刀を取り上げられボコボコに叩きのめされた蒼月は、再度挑戦する勇気をいまだにもてていなかった。


 「そうですが………あ、僕の剣舞見せます? 戦闘用じゃなくて儀式用のですけど」

 「え、見たい! そんなの出来んの!?」

 「まぁ、一応陰陽師と巫女の子供ですから」


 今まで誰にも話したことのない出生のことについても、藍鉄は蒼月に話すようになっていた。

 それほどまでに信頼しながらも、やはり蘇芳については話すことを躊躇い、ため息しか出てこない。

 それを傍から見ていた蒼月だったが、演武の方に気を取られ、そのため息すら静謐な佇まいを演出する何かに思えてしまうのだった。

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