バイトの3日間
2021年12月26日朝。今日から28日まではバイトで埋まっている。その後はお正月で親戚が集まるし、同窓会もあるから実家に帰る予定。
異世界は、行こうと思えばどこからでも行ける。
でも、しばらくいいかな・・。
サラサラの黒髪。切れ長の涼しげな目。金色の瞳。すーっと高い綺麗な鼻。薄い唇。高い身長に程よく鍛え上げられた肉体。頭には立派な角。まさに芸術。
「あれだけ素敵だと、相手がいないはずがない・・カミラさんも綺麗な人だったなー。胸もばーんって感じだったし」
自分の胸を見下ろす・・
「はぁ・・」
美男美女の二人は並んでいると絵画のようだった。片や平たい顔に似合わないストロベリーピンクの髪と瞳になっちゃってた私・・。うぅ・・痛いコスプレみたい。滑稽でしかなかった。
そう!勘違いしてはいけない!出会って2日たかが一度デート?したくらいで。身の程をわきまえなくては。異世界人が珍しかっただけ!次なんて約束してないし。連絡取りようもないし・・。
少し芽生えていた恋心は木っ端微塵に砕け散ったのでした。
今後のことを考えてみる。就活もしないとなんだけど・・
「私って、働かなくてもよくない?」
とか思った。お金持ちになっちゃったし。
「でもなー。一度は就職して働いてみたいよね。OLとか憧れる☆」平日OL。週末異世界冒険。そんな生活もいいかも・・
お正月明けは、冒険者ギルドに通って異世界でお仕事頑張ってみよう。冬休みが終わる頃にはE級くらいにはなっておきたい。
『比奈様ー。昨日のガチャの説明をー』
「あーちゃん。ごめんね。また聞いてなかったね」
アイテムSR「リボンロングブーツ」 5/6
・不壊
・スキル「透明化(10分)」着用時使用可
・気配遮断(無臭)
・譲渡不可
5セット効果:魅力アップ(大)
またすごい効果ついてる。これは常時履くようにしよう。新庄くん対策にいいかも。捕まる前に消えて逃げるべし!
『あと一つで揃いますね』
「そうだね。思ったより早く揃いそうだね。あーちゃん今日の無料ガチャ引くね」
まだバイトまで時間があるから、今日の無料ガチャやっとこ☆
ーーガチャガチャーーーコロンッ・・
スキルR「剣術」
剣の扱いが自然にできる。パッシブ
「うん。正月明けからの冒険に役立ちそう!いいね」
ミニチュアダンジョンだけでなくて、実際のモンスターと戦ってみようと決めたのだ。
さて、バイトに行きますか♪
家を出て徒歩10分の所にある古本屋さんが私のバイト先。店番とたまに近所への配達をやっていた。
「比奈ちゃんが辞めちゃうなんて寂しいわねー」
と、奥さん。
「良くしてもらってたのに、いきなりですみません」
「そんなのはいいのよ。暇な店だし。比奈ちゃんも就活とかで忙しくなるものねぇ。頑張ってね」
「はい。ありがとうございます」
古本屋「立花」は、夫婦でやっている小さい書店。古くから続いていて、希少な本も取り扱っている。コアなお客さんと常連さんで成り立っている。本を配達していた旦那さんが、ぎっくり腰で動けなくなったところに、たまたま通りかかった私が手助けしたのがきっかけで、それから気づいたらアルバイトとしてお店に通うようになっていたのだ。縁だね。
「でも、常連さん寂しがるわー。特に風間くん辺りが・・」
「風間さんですか?」
「ええ。とってもね」
「えーと。ちょくちょく顔は出しに来ますね。近所だし」
「うんうん!そうしてねー」
たしかに、風間さんは私がバイトに入ってる日に見ないことはないくらいの常連さんだった。噂をすれば・・
「比奈ちゃん!バイト辞めちゃうの!?」
焦った風間さんがやってきた。
思わず風間さんを見つめてしまう。
鑑定
風間 篤史 24歳 独身
レベル0
職業:作家
スキル:無し
比奈ラブ。だが奥手でなかなか行動に移せない。
うわーーーー。そうだったんだ!!!全然気づかなかった・・・・。
うん。見なかったことにしよう・・。
「遊びには来ますよー」
にこっと笑っておく。
「・・そっか」
その後、奥さんにこそこそ耳打ちをしていた。どうやら私がお店に顔を出したら連絡をすぐほしいと言っているようだった。奥さんはヘタレね!連絡先くらい聞けばいいのにと言っていた。レベルが高くなると、意識すれば小さい声まで拾ってしまうみたい。
うん。聞こえなかったことにしよう・・。
2021年12月27日。
無料ガチャを回して、バイト後に、ミニチュアダンジョンでプチプチ。
アイテムUR「なりきりセット(冒険家)」
冒険に最適の服装とスキルが使用できます。熟練度あり。
2021年12月28日。
バイトも最終日。無料ガチャを朝一で回した。
アイテムR「高級菓子箱×10」
焼き菓子の豪華詰め合わせ。
奥さんに渡そう♪
こうして、残りの日はあっという間に過ぎたのでした。風間さんは最後の日まで毎日お店に顔を出していた。何度も話しかけられたけれど、連絡先を聞かれることはなかった。他の常連さんもとても寂しがってくれた。最後の日に旦那さんと奥さん、常連さん達から花束を貰った。
「ありがとうございます☆みなさん!お世話になりました!!」
「ひっ比奈ちゃん!これは僕からです」
風間さんからプレゼントを手渡された。
「開けてみてもいいですか?」
「もっもちろん!」
ガサ・・ゴソ・・・・可愛いブックカバーだった。
「うわー可愛い☆ありがとうございます。大切に使いますね」
「うん。そうしてくれると、嬉しい」
「風間くん、気がきくじゃないーふふっ」
「奥さん・・からかわないで下さい」
「もう少しねー積極「うわーー!!余計なこと言わないで下さい!」」
顔を真っ赤にして、わたわたしている風間さん。
めちゃくちゃ奥さんにいじられてる。この光景も見納めか。
バイトが終わって家の方へ帰っていると風間さんに呼び止められた。
「比奈ちゃん、少し話せないかな?」
「あ、はい」
歩きながら話すことになった。うちのアパートと風間さん家は古本屋さんを出て、同じ方向にあってご近所さんだったりする。
「就活始めるんだよね?どうするかとか決めてるのかな?」
「えーと・・」
「ごめん。困らせるつもりはないんだ。・・でも、僕にとっては重要で・・」
「実は、まだ何も決めてなくて・・」
「どの辺りに就職するとかも?」
「はい。親は地元に戻ってこいって言ってるんですけどね。こっちで就職も考えていたりで・・」
「もしかしたら、地元に帰ってしまう・・・・?」
「まだ1年はいますよ!」
「1年後・・」
風間さんの顔色が悪くなってきた。手で口をおさえてボソボソ言ってる。
「比奈ちゃんと会えなくなる?嘘だろ・・考えられない。こっちに残ってほしい。でもそんなこと言えない。なら、僕が比奈ちゃんを追いかけて、比奈ちゃんの地元に行く?それなら問題なしだ。うん。そうしよう。絶対そうする。バイトでも会えなくなるし、もっと会いたい。れ・・連絡先・・聞きたい。聞けない。あぁ・・・・」
あー。風間さん全部聞こえてます。連絡先知りたいけど聞けないんですね。この3日間、ずっとその調子でしたもんね。風間さんは3日間ずっとボソボソ言っていた。本人は知らないけど、私には全部聞こえていた・・。
どんどん、思い詰めていく風間さん。見てられない・・
「風間さん!これ私の連絡先です☆お友達ですから交換しときませんか?」
「へっ・・・・」
目を見開いて、すばやくメモを受けとる風間さん。
「ありがとう!!!ぼっ僕のも教えます!」
生き生きして、輝きを取り戻したようだ。とっても分かりやすい。能力を手にいれて、相手のこと知っちゃうと、なかなかほっとけなくなる。嫌じゃない。だからこれでいいんだと思う。
「比奈ちゃん、またねー」
「はい。風間さん、送ってくれてありがとうございます」
さて、今日も少しだけプチプチしときますか!
3日間のミニチュアダンジョンの成果
レベルアップ。ガチャポイント+562,300
レベル2797→3500
285,794,598ゴールド
魔石(超大)5,623こ
金銀財宝、武器、防具、アイテムたち
今回の比奈さんの幸運
☆スキルR「剣術」
☆アイテムUR「なりきりセット(冒険家)」
☆アイテムR「高級菓子箱×10」
☆豪華な花束
☆可愛いブックカバー
☆ダンジョン3日分
★好かれてる
風間さん
殺
無限プチプチ大量虐殺(程よく)




