第9話:捕食者の嘲笑と、次なる獲物
「ひ、ひぃぃっ! なんだよこいつら……化け物かよ!?」
「退路がない! 助けてくれ――」
静寂が坑道を満たすまで、10分もかからなかった。
三十人いた初心者ギルドの連合軍は、アイアンの絶対防壁に阻まれ、アーチェの精密な射撃に射抜かれ、誰一人として『オフライン軍隊』の陣形を崩すことすらできずに全滅した。
「ふぅ……フィアちゃん、回復ありがとね! MP、全然平気そう!」
「うんっ! レンさんの言った通りにポーションを使ったら、全然MPが減らなくて……! 私、本当に役に立ててる……!」
フィアが感極まったように胸の前で両手をギュッと握りしめる。
人間に「役に立たないゴミ」と捨てられた少女たちは、今やお互いを信頼し合い、最高の笑顔を浮かべていた。
「レン、倒したプレイヤーたちが落とした素材とドロップ品、全部回収したよ! ……すごい量だ、これだけで中規模ギルドの蓄えくらいあるよ!」
ハックがホクホク顔で大きな袋を抱えて戻ってくる。
身の程知らずの侵略者どもは、自分たちの手で俺たちの資金と資材を運んできてくれた「カモ」に過ぎなかったわけだ。
「よし。これで鉱床の防衛実績もついた。……ハック、そろそろ次の段階だ」
「え? 次の段階……?」
俺はダガーを腰の鞘に収め、マップの広域図を開いた。
「これだけの人数を返り討ちにすれば、もう『初心者ギルドが群がれば奪える場所』じゃないことは周りに伝わる。……次に来るのは、手下を散々カモにされて面目を潰された『中堅ギルドの本隊』だ」
「ち、中堅ギルドの本隊!? 大丈夫なの!? 今までの連中とは装備もレベルも段違いだよ!?」
おどおどと青ざめるハックに対し、俺は冷ややかな笑みを浮かべた。
「都合がいいさ。雑魚を何千匹倒すより、中堅ギルドの幹部どもをハメ殺して装備を丸剥ぎする方が、俺たちの『オフライン軍隊』を一気に強化できる」
ステータスの高さに胡坐をかき、システムの裏仕様を知らない中堅ギルド。
彼らが総力を挙げて攻め込んでくる時こそ、俺たち『オフライン軍隊』が本格的に表舞台へと躍り出る瞬間だった。




