第4話:激戦地に掲げる旗
「クッなんなんだこいつ、他の敵とは比べ物にならん敵じゃねぇかよ!」
「こんな端にいるとかおかしいだろ。鉄甲グマ。こいつら中央付近の洞窟にいるんじゃないのか。
こんな辺境にいるモンスターじゃねぇだろ!絶対に上位のギルドが送り込んできたやつじゃん、、、」
「お前らサボンな!前衛は何をしてる!ヘイトがヒーラーに移ってんじゃねぇか!タンカーに固定しろ!」「いや無理です隊長!ヘイトが定まりません!」
『ん、あいつら何してんの」
俺等がやってきたのは大量の鉱石が取れる鉱山、黒鉄の鉱山地帯だ。
ココらへんを一部でも取れればかなり強くなれる。ちしきだけでは強くなれないのだ。
だから資源も大事である。そんなところギルドの支配に巻き込まれないように辺境から入ったのだがなぜか鉄甲グマと中級ギルドのパーティが怒声を上げながら激戦を繰り広げていた。ステータスのゴリ押しに頼る力こそ正義を唱える彼らは複雑な鉄甲グマの行動パターンについていけず陣形が崩れている。
「レン、、、、いくらなんでもアイツラから奪うことはできない。ヘイトが俺等に移らない限りは倒しても倒したことにはならない。」
物陰でハックが喉を鳴らす。
この世界では「最初に攻撃を当てた者」にボスの権利が発生するのが原則だ。だが――
「ヘイト(殺気)の計算式には『上限値の溢れ(オーバーフロー)』が存在する。短時間で完璧なパリィと弱点特大ダメージを叩き込めば、権利判定ごとこちらに書き換わる」
俺は隣に立つ小柄な少女――弓手のアーチェと、無骨な大楯を構えるアイアンに視線を送った。
「アーチェ、アイアン、行けるか?」
二人は静かに頷いた。
「アイアン、突撃。ヘイト固定。――アーチェ、射撃開始!」
ガキィィィィン!
強い衝突音がなったがアイアンは無傷、見事に100%パリィを成功させ鉄甲グマの動きを止める。
その隙にアーチェがめいいっぱい引っ張った弓から手を離し矢を射る。
かつてない集中力に溢れたアーチェは次々と鍛錬通り敵の弱点部位に矢を連発した。
大ダメージを連発するとヘイトは中級ギルドのパーティから俺等に移った。
「な、、、、一体どうなってるんだ!」
そう叫ぶ中級ギルドの人たちがただ立ち尽くす中俺等は体制を崩した鉄甲グマに
攻撃を当て続けとうとう倒した。
――【希少ボス『鉄甲グマ』の討伐を確認】
――【エリア貢献度判定:無名機関が100%を獲得】
――【『黒鉄の鉱山地帯・最南端エリア』の領有権を獲得しました】
「やった、、、、やったよレン!私達勝ったよ!」
嬉しそうに飛ぶアーチェの横で隠そうとしているけれど隠しきれていないアイアンのえみが見える。
広大な鉱山地帯、その最南端の一部でありながら俺等はそこに自信を持って旗を突き刺した。
かつて雑魚と蔑まれ、追放された男と、見捨てられた仲間たち。
大手強豪『天狼』をはじめとする巨大勢力がしのぎを削る激戦地に、
俺たちの反撃の拠点が確かに刻まれた瞬間だった。




