第21話:戦果の分析とさらなる最適化(エフィシエンシー)
「戦闘終了。……所要時間、6分42秒」
水路を埋め尽くしていた百人超の新参連合が全員光の粒子となって消え去り、静寂を取り戻した地下水道。
レンは手に持った手帳の数値を冷ややかに見つめ、小さくため息を漏らした。
「遅い。クレイの『第二フェーズ』発動までに18秒のタイムラグが生じた。原因は粘土ダミー生成時の魔力供給経路のボトルネックだな」
「えぇーっ!? 100人以上の大軍を一人も損害出さずに完封したのに、反省から入るのレン……!?」
ハックが端末を抱えながら目を丸くする。
その横では、アーチェが特注の長弓をキュッと握り直し、凛とした表情でレンに向き直った。
「レン、ボクの射撃精度はどうだった? 敵メイジの詠唱キャンセル、遅れてなかったかな……?」
「いや、アーチェの狙撃はミリ単位で正確だった。フィアのデバフ上乗セ『ヘヴィ・マッド』のタイミングも完璧だ。二人のおかげで敵の物理的密度をそのまま行動不可に変換できた」
「はいっ! レンさんの指示通りにMPディレイを計算してバフを維持できました!」
フィアが感極まったように胸の前で手をキュッと握りしめる。
アイアンも無言で大盾を納め、新顔の魔法Bot『クレイ』のコアに魔力を送って自己修復をサポートしていた。
「問題は資源の回収効率だ。100人分のドロップ品と装備が散らばりすぎている。ハック、クレイの粘土を使って『自動ドロップ回収・分解システム』を水路に組み込むぞ」
「うわぁ……敵を完封するだけじゃなくて、倒した後のドロップ品回収まで全自動化しようとしてるよこの人……!」
あきれつつも嬉しそうに作業に入るハック。
一方その頃――地上の掲示板や大手ギルドのチャットネットワークは、未曾有の大パニックに陥っていた。
『【朗報】新参連合100人、地下水道攻略へ突撃!』の書き込みからわずか10分後。
『おい、突撃した100人全員の生体反応が消えたんだが?』
『全滅……? 100人が一瞬で全員デスペナ喰らったのか!?』
『あそこはただのハメ技野郎の巣窟じゃない……足を踏み入れたら二度と生きて戻れない『殺戮空間』だ……!』
地上でオフライン軍隊は、正体不明の悪魔が潜む「都市伝説」として恐怖と共に拡散され始めていた。
「よし、ドロップ品のリサイクルライン構築完了だ。……さて、地上のバカどもがどれくらい恐怖してくれたか、次の『効率化』の実験体を待つとしようか」
暗闇の中、レンは冷酷な笑みを浮かべ、さらなる無敵のシステム構築へと手を動かし始めた。




