第2話:完璧なる肉壁と、路地裏の供給源
ルミナス平原の境界付近にある薄暗い森の中。森を貫くような咆哮を上げながら中級モンスター。
ベアウルフが飛び出してきた。太い腕を持ちクマのような強靭な体を持つ。
レベル1のアイアンからしたら瞬殺されてもおかしくない。
それでも強化した彼はもう最強だった。
ものすごい攻撃力を全弾パリィしてヘイトを稼ぎ続けた。
グサッ!
まぁ、、、、十分か。これがあれば一矢を報いることができるがそこまでしてやつらに逆らう気はない。
だってどうせ壊滅するのだから。
俺は満足げに頷くと、アイアンを引き連れて辺境街の最も治安が悪い裏路地へと向かった。
そこにぽつんと佇んでいたのは、古びた露店で途方に暮れる気弱そうな青年NPC――ハックだった。
「い、いらっしゃい……。でも、うちにはゴミみたいな素材しかないよ……」
プレイヤーたちから「存在価値のない露店」と見向きもされないNPC。
だが、俺の持ち越した攻略本にはこう記されている。
『特定手順で不要素材を売買し続け、裏パラメータを解放すると、全大陸の市場から最上級の錬金触媒を無制限に買い付け可能になる』
「ハック、この素材を買い取ってくれ。……今日からお前は、俺の『専属商人』だ」
俺が差し出した袋の中身を見たハックの目が、驚愕で大きく見開かれた。
最強の防衛役と、市場を支配する無限の供給ルート。
かつて俺を「雑魚」と切り捨てた巨大ギルドを叩き潰すための布石が、静かに揃いつつあった。




