第19話:黒群の集結
「おい、聞いたか!? あの無名機関の隠れ家に、古代の激レア生産施設が眠ってるらしいぞ!」
「あんな小規模なチーム、俺たち新参ギルドが手を取り合って『数の暴力』で攻め込めば一発だろ!」
地上の公開掲示板で拡散された撒き餌は、レンの思惑通りに爆発的な反響を呼んでいた。
功名心に焦る初心者・新参ギルドのプレイヤーたちが、次々と廃都の広場へと集結していく。一つひとつのギルドは小規模で戦術も稚拙だが、その数は優に百人を超えていた。
「よし、野郎ども! 単発のスキルだろうが罠だろうが、この人数で一気に突入して物理攻撃を連打すれば、地下水道ごと圧殺できる! 突撃だぁぁっ!」
群集心理で興奮状態に陥った新参連合の集団は、松明と武器を掲げ、怒号を上げながら狭い地下水道の入口へと雪崩れ込んでいった。
――その頃、地下水道の最奥。
「レン、地上から大量のプレイヤーが降りてきたよ! その数、ざっと百人以上……完全に蜂の巣をつついたみたいになってる!」
監視モニターの数値を確認したハックが、緊張と興奮の交じった声を上げる。
だが、レンの表情には一切の動揺もなかった。暗闇の奥で静かに佇む自律型魔法ゴーレム『クレイ』の頭部を、冷ややかに見つめる。
「百人集まろうが、この狭い一本道の地下水道に入り組めばただの『動けない肉の壁』だ。前衛も後衛も潰れ合い、自爆覚悟の物理連打すら互いの邪魔になる」
アイアンが静かに大盾を構え、アーチェが闇の向こうへと弓を引く。
「ハック、全区画の退路をブロック。クレイ、魔導コアの出力全開。……愚かな新参連合どもに、完璧な絶望を見せてやれ」
湿った暗闇の通路に、百人の踏み鳴らす足音がジワジワと近づいてくる。
新生『オフライン軍隊』による、完全な殺戮陣形の火蓋が切られようとしていた。




